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キッチン中華あじたか

北海道レポ、4週目は函館ですっ!


以前も紹介したが、函館には独特なつゆだく焼きそばの文化がある。ただし現在、食べられる店はあまり多くない。当ブログで紹介したのは、松風町の鳳蘭と、ちょっと離れているが茅部郡森町にある太田屋の2軒のみ。今回の渡道では、他の店を巡るのも大きな楽しみだった。

函館 五稜郭町 キッチン中華あじたか

まず訪れたのは五稜郭のすぐ南、道立函館美術館の裏手にある中華キッチンあじたかという店だ。「あじたか」は漢字だと「味鷹」。お店に置いてあった雑誌記事のコピーによると、先代は昭和20年代から屋台を引いていて、昭和39年に本町で店を出し、平成2年に今の場所に移転したという。

キッチン中華あじたか 店内の様子

雨のそぼ降る8月の平日。午前11時の開店直後に訪問。客席はカウンター5席にテーブル3卓。2代目の店主が一人で切り盛りしている。自分が口開けだったが、すぐに年配のご夫妻が入店してきた。

キッチン中華あじたか 焼きそばメニュー

カウンターに着席してメニューを確認。推しているのは函館の王道、塩ラーメン。さらにゴッホ丼やミラノ風チャーハンなど変わったメニューも目立つ。しかし私の目的はもちろん焼きそばだ。ただ、ソースやあんかけなど焼きそばだけで5種類もある。

「ご注文はお決まりですか?」
「えっと、汁っ気の多い焼きそばというのは……」
「ああ、あじたか風焼きそばですね」
「ではそれを」

あじたか風焼きそば(780円)が件のつゆだくだった。料理名の下に「35年変わらぬ味、やわらかなあっさり五目焼きそば」と書かれている。

「つゆだくの焼きそばって函館独特なんですってね」
「そんなもんかねー、うちじゃ昔から出してるけど」
「お客さんでそういうこと言う人はいらっしゃらないんですか?」
「そういや以前、若者が3〜4人で来て絶滅危惧種と言われたよ(笑)」

あじたか風焼きそば 780円

店主とそんな会話をしつつ、注文から10分ほどで配膳された。スープ付きなのが嬉しい。

微妙なつゆだく加減の焼きそば

麺はシコシコ食感のストレート麺。具は豚肉、片栗粉をつけて揚げたエビ、削ぎ切りの白菜、玉ねぎ、タケノコ、玉子。玉子はかきたま風に溶いてあり半熟気味の仕上がりだ。そして天辺に紅生姜をあしらってある。

シコシコ食感のストレート麺もピッタリマッチ

つゆだくではあるが、ヒタヒタというほどでもない。ドロッとしたつゆで、天下一品を思い出させる濃厚な豚骨風味だ。これが目を見張るほど美味い。豚骨のコクと歯切れのよい麺、野菜の旨みや玉子の円やかさなどが渾然一体となって押し寄せる。

このつゆがめちゃウマなのです

「途中、お好みでソースを掛けてください」と店主が仰っておられたので、素直に後がけ。これがまたさらに美味い。コクのある豚骨に複雑な風味が加わって、より深みのある味わいになる。「濃厚な豚骨ラーメンを食べるときは、これからソースを掛けるようにしようかな……」なんて本気で考えてしまった。

豚骨スープにウスターソースがこんなに合うだなんて

はしたないけど皿に口をつけてスープも全て飲み干した。食べ歩きの際は、汁もののつゆはできれば残す主義なのだが、これだけ美味しくてはどうしようもない。

「ごちそうさま、美味しかったです」
「ありがとうございます。でも絶滅危惧種ですから(笑)」
「いや、この美味しさなら生き残りますよ(笑)」

そんな会話をしてお会計。消費税がついて800円也。溶き卵にソース後掛けとは全くの予想外、文句ない美味しさの焼きそばたった。同じ函館のつゆだく焼きそばでも、いろんなタイプがあって実に面白い。五稜郭を観光することがあったら、ついでにぜひ寄ってみて欲しいなー。

あじたか

店舗情報TEL: 0138-51-7515
住所: 北海道函館市五稜郭町36-7
営業時間: 11:00~20:00
定休日: 不定休
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主なメニューあじたか風焼きそば 780円