長田タンク筋
8月前半、6泊7日で関西方面に遠征しました。最終日以外は毎日3軒ずつ焼きそばを食べ歩いたので、これから6週に渡ってご紹介したいと思います。まず今週は初日分から。なお、大阪でいくつか私用があっての遠征でしたが、その用事にもおいおい触れる予定です。
神戸の中心街、三宮。鉄道各社の路線が重なるターミナル駅に百貨店。山手には洋館が、海側には港が、ちょっと歩けば南京町も。そして階段を降りれば巨大な地下街まである。
その地下街の一角、さんプラザの地下一階に長田タンク筋という店がある。屋号は昔長田にあった道路に由来していて、店主はコナモンの聖地・長田の出身。（詳しくはこちら）その長田の「焼きそば」ならぬ「そば焼き」の味にこだわっている、そば焼き・そばめし・モダン焼の専門店だ。
訪れたのは8月上旬、平日のランチタイム。狭い間口を潜ると右手にカウンター、奥にテーブルが配置されていた。スタッフは女性3人、男性1人。7割ほどの入りで、待たずにカウンターへ座れた。卓上には長田自慢のばらソースが並んでいる。フルーティーな香りが特徴的なソースで、長田ではこのソースを偏愛しているコナモン屋さんが多いのだ。
メニューは長田風のそば焼が中心だ。長田もそうだが、神戸や姫路、海の向こうの香川県の一部では「焼きそば」「焼きうどん」ではなく「そば焼」「うどん焼」と呼ぶ店が多い。そのそば焼に加え、そばめしやモダン焼もある。どちらも長田が発祥とされる品である。
注文したのは牛スジぼっかけ焼きそば(630円)。お飲み物はいかがなさいます？ と訊かれ、誘惑に負けてグラスの生ビール(280円)もお願いしてしまった。8月の猛暑にはよく冷えたビールでしょ。
しばらくして厨房からチリトリに乗った焼きそばが運ばれてきた。焼きそばを鉄板に乗せたあとに、青ネギと牛スジぼっかけをトッピング。わー、美味そうー。写真を撮って食べ始めたあとに青海苔や鰹節、天かすを忘れたことに気が付いた。ま、いっか。
麺はシコシコの中太麺。一緒に炒められている具はキャベツのみ。味付けはもちろんバラソース。長田のそば焼は比較的薄めの味付けも特徴のひとつだ。以前紹介したいりちゃんや後日紹介するイカリに比べると、この店では割としっかりと味付けされていたが、こってりと呼ぶほどくどくはない。
トッピングは長田名物のぼっかけ。牛スジと賽の目に刻んだコンニャクを甘じょっぱく煮込んだもので、「スジコン」とも呼ばれる。うどんやごはんに掛けたり、お好み焼に混ぜたりと用途は広く、長田区はこれで町興しを図っているようだ。このスジコンが焼きそばのコクと風味を増し、食感にもアクセントを加えている。ばらソースと相まって実に美味い。
そういえばこの店のホームページによると、長田ではそば焼も箸を使わずコテだけで食べるそうだ。
これは長田だけではない現象かもしれませんが、そば焼きは。基本鉄板の前で食べる時、箸ではなく、コテで食べるのが基本です。コテで食べれるようになって一人前の「そば焼き好き」といえます。鉄板お前で食べる時に、店員に「箸をくれ」などというと心の中でチッと舌打ちされてもおかしくありません。コテで食べるから味わえる味わいもまた「そば焼き」の醍醐味なのです。（原文ママ）
女性の店員さんに確認したら、そばを切り分けて食べるらしい。「でも食べづらくて、私もお箸を使います」とはにかんでいた。
自分も試してみたが、案の定かなり食べづらく、コンニャクが2粒ほど足元に転がっていった。欧米人はナイフとフォークを器用に使うが、やはり慣れが大切なのだろう。自分はまだ箸のほうがよさそうだ。
ざっと食べ終えてお会計。店を出て少し歩いたところにある長田本庄軒には行列ができていた。丸亀製麺のトリドール社が運営するチェーンの焼きそば専門店だ。
以前も書いたが、ぼっかけという要素以外は長田風じゃないのに屋号に「長田」という地名を掲げている点が、私としてはとにかく残念だ。すぐそこにほんまもんの長田のそば焼がありまっせー、と心の中で呼びかけながら地下街を後にした。
| 店舗情報 | TEL:078-962-6868 住所:兵庫県神戸市中央区三宮町1-8-1 さんプラザ B1-020 営業時間:11:00～22:30 定休日:不定休(原則火曜日) → ホームページ |
|---|---|
| 主なメニュー | 素そば焼 380円 牛スジぼっかけそば焼 普通 630円 二つ玉(大盛) 760円 玉子入 680円 オム 780円 牛スジぼっかけそばめし 810円～ 牛スジぼっかけモダン焼 860円～ |
