ほその

群馬県伊勢崎市。ペヤングやきそばのまるか食品を生んだこの土地で、長年親しまれてきた焼きそば専門店がある。

まるか食品を擁する伊勢崎市

屋号は「ほその」。JRと東武線が乗り入れる伊勢崎駅の南口から、徒歩10分ほどの距離にある。店内の客席はテーブルが数卓とカウンター、奥には座敷もある。また持ち帰りは専用窓口がある。

伊勢崎市 ほその焼きそば店

メニューは焼きそばとおでんがメインだ。焼きそばはポテト入りも指定できる。ノーマルと値段は変わらない。この日の初訪問で注文したのは、ポテト入りの中(300円)とおでん(5個入り、300円)。どちらも安い。

ほその メニュー

訪れたのが土曜の昼ということもあり、店内は混んでいる上に持ち帰り注文が多数入っている。そのため出てくるのに少し時間が掛かった。しばらくしておでんが、その後に焼きそばが運ばれてきた。

ポテト入り焼きそば(中)とおでん

おでんは煮込みと味噌付けを選べる。今回は煮込みを選んでみた。大根・こんにゃく・玉子・さつま揚げ・ちくわが入って、一皿300円という安さ。味がよく滲みて実に美味い。

おでん(煮込み) 一皿5個入 300円

自分の出身地・静岡を始め、おでんとソース焼きそばを看板に掲げる店は全国にある。戦後にソース焼きそばが普及した際、その組み合わせが重宝されたのだろう。

ポテト入り焼きそば(中) 300円

一方の焼きそば。屋号が「ほその」だからというわけではないだろうが、焼きそばの麺は極細の平打ち蒸し麺を使っている。長い麺もあるがほとんどはかなり短く、もつれていないため、ほぐして食べやすい。お隣の太田市にある清水屋本店に似た麺だ。

トッピングの彩りが鮮やか

具は本来キャベツのみだが、ポテト入りを指定したので、賽の目のじゃがいもが入っている。初回はポテトなしがオススメらしいが、ついこちらを頼んでしまった。トッピングは青海苔・紅生姜・錦糸卵。緑と赤と黄色で彩りが鮮やかだ。

麺は極細の平打麺

味付けはあっさり&さっぱりしたウスターソース。しなやかな麺によーくなじんでいる。まろやかな味わいであとを引く。いくらでも食べられそう。隣テーブルの地元の若者2人連れが、やっぱうめー、最高だわと頷きあって食べていたのが印象的だ。自分も一皿平らげたのに、お代わりしたくなったほどだった。

あくまでも個人的な印象だが、全体としてペヤングやきそばに似ているように感じた。ペヤングの方が旨味が強いし麺も平打ちではないが、麺の細さやあっさりした味の方向性は近い。地元・伊勢崎の人気焼きそばを開発の参考にしたのかな、なんて漠然と考えたり。いつかまるか食品さんに確かめてみたいな。

こちら「ほその」さんは創業60年以上の歴史を誇る。店内に貼られていた上毛新聞の切り抜きから一部を引用しよう。

上毛新聞の紹介記事

平成12年7月、上毛新聞
調理場では店主の細野光江さん(79)が中華鍋を振るう。「子供が一歳の時、亭主に死なれ、女手一つでできる商売をと始めた。最初は味付けが分からなくて、お客さんに聞いた。うちの味は昔からのお客さんが作ったものです」。光江さんは半世紀を越える歴史を謙虚に語る。
(中略)
店ではお嫁さんのあさ江さん(47)が一緒に働いている。「私が丈夫なうちに手伝って、跡を継ぎたいと言ってくれてね」。光江さんがうれしそうに教えてくれた。

平成12年(西暦2000年)で「半世紀を越える」というから、創業は1950年(昭和25年)以前、戦後まもない頃だろう。闇市が繁盛していた浅草と東武線で繋がっている土地なので、駅前辺りに露店を出して、都内から食材を買い出しに来た客相手に焼きそばを提供したのかもしれない。

昭和43年ごろの写真

昭和43年ごろの写真も残っていた。看板からすると、当時はお好み焼きも商っていたようだ。おでんも煮込みと味噌付けの両方がある。

そしてこちらの「ほその」さん、長年昼だけの営業だったが、近年「yakisobar 直飛(ナオト)」いう屋号で夜の居酒屋営業を始めた。長くなるので、次回へ続く!