田燕居
中国本土の焼きそば特集・8週目。今週は東北料理店などをご紹介しますけど超カオスですよ! 「そもそも焼きそばとは何ぞや?」と、禅問答のような問いかけをされている気分になる品々です。
中華系の飲食店を中心に宿泊施設や衣料品・雑貨などを全国で運営・企画・展開している際(きわ)コーポレーション。今回紹介する北京家庭料理店・田燕居(でんえんきょ)も傘下ブランドの一つだ。店舗は用賀にしかないが用賀店を名乗っている。
4月下旬、平日の昼下りに訪問。用賀駅から北に少し歩いた住宅街に店舗がある。子供乗せの付いた自転車が店頭に並び、店内では有閑マダム数組が遅いランチを取っていた。内装は落ち着いた雰囲気で料理の価格も少々お高め。さすが世田谷、と一人で納得。
手近な空きテーブルに着席。目的の品はグランドメニューなのだが、テーブルにはランチメニューしか置かれていない。断られるのを覚悟でホール担当の男性スタッフに訊いてみた。
「グランドメニューを注文しても大丈夫ですか?」
「この時間なら大丈夫ですよ」
時計を一瞥しての返事にほっとする。渡されたグランドメニューから目的の品を見つけて指し示した。
「この猫耳麺炒めをください」
猫耳麺炒め。漢字表記は「炒猫耳朶(1550円)」。日本語で「猫の耳の形をした手打ち麺の炒め」との説明が添えてある。
猫耳朶(マオアールドゥオ)は北京など中国の北部を中心に食べられている麺の一種で、文字通り猫の耳に似た形をしている。それを炒めた炒猫耳朶は、必然的に炒麺=焼きそばの一種ということになる。実際、この店のメニューでも「湯麺・炒麺」カテゴリなのだ。
「よかったらあちらにスープなどございますのでどうぞ」
ランチタイムはスープがセルフサービスなのね。キュウリと豆腐、かき玉子。出汁は鶏かな。美味しい。
ランチセットに付く小皿もサービスで出してくれた。野菜とシューマイを前菜として味わう。そして注文から10分あまりでメインディッシュが配膳された。この焼きそばブログでは見慣れないビジュアルの一皿である。
麺はモチモチ・プリプリの猫耳麺。小さく切った麺生地を、猫の耳のような形に丸まるよう、親指で押し伸ばして作った麺だ。具体的にはこちらの動画が分かり易い。ついでにイタリアのパスタ、オレキエッテと比べても面白い。
具は厚みのある干し椎茸と山芋、エビ、赤パプリカなど。緑の野菜は大根の葉か、辛子菜かな? 猫耳麺と大きさが合うように切り揃えられている。味付けは醤油メインでやや塩っぱめ。なんとも面白い食感の麺で美味しい。
最初は一粒ずつ箸で食べたが途中で面倒になり蓮華に変えた。ボリュームも意外にあったが最後まで食べ飽きず。とりあえずランチならこの一皿でお腹は十分満たされた。
デザートに杏仁豆腐もサービスでいただいた。マンゴーペーストが掛かって美味しい。満足してお会計。面白い食体験ができた。
以前も触れたが、中国では小麦粉そのものも麺と呼ぶため、麺類・麺食の範囲は幅広い。この猫耳朶はもちろん、前回紹介した山西亭の莜麺栲栳栳も含めて形状の自由度はめちゃめちゃ高い。たぶんバラエティ番組・黄金伝説のあの「チネリ米」さえ麺として扱うだろうなあ。
店舗情報 | TEL:03-3709-3910 住所:東京都世田谷区用賀4-17-8 パインパレス1F 営業時間:11:30~15:00 17:30~22:30 定休日:火曜(祝日の場合は翌日水曜) → ホームページ |
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主なメニュー | 炒猫耳朶(猫の耳の形をした手打ち麺の炒め) 1550円 家常炒麺(肉入り青菜入り焼きそば) 1150円 葱辣魷魚炒麺(イカと青ネギの辛味焼きそば) 1350円 蟹腿韮黄炒麺(たらばカニと黄にらの焼きそば) 2400円 |
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