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一富士

静岡県中部の焼きそば特集も3週目。いよいよ本丸、静岡市です。今週は駿府城を擁する葵区から3軒ご紹介。個性派揃いですよ!


将軍職を退いた家康公が居を移した駿府城。江戸、明治と経るに従い、天守は失われ本丸堀は埋められてしまった。それでも中堀や石垣はなかなかのもの。大御所様の御威光と当時の威容を充分に留めている。

静岡市の中心 駿府城

その駿府城の少し北側、長谷通商店街に一富士という店がある。昭和3年創業の老舗で軽食や冷菓を商っているのだが、ここの焼きそばがかなり特徴的なのだ。

静岡市 長谷通商店街 一富士

訪れたのは昨年の11月中旬、平日の昼過ぎ。店舗は最近建て替えたようで随分と新しい。内装もモノトーンを貴重とした落ち着いた雰囲気。もっと駄菓子屋然とした店をイメージしていたが良い意味で裏切られた。

店内は奥に細長く、テーブルが5卓置かれている。壁には近所にある静岡高校野球部のペナントが沢山飾られていた。同校出身者にとってはここが思い出の味らしい。

一富士 メニュー

食事メニューは焼きそば、冷やし中華、中華そばの三種のみで、後は甘味の類だ。それぞれ400円・500円と書かれているが、100円の差が盛りの違いなのか具の違いなのか、さっぱり分からぬ。

丁寧な接客なおばちゃん姉妹が注文を取りに来た。

「焼きそば、400円のをお願いします」
「400円より500円のがいいですよ」
「ほう、じゃ500円のにします」

薦め上手だ。つい乗せられて500円のにしてしまった。厨房から炒める音が聞こえ始め、お冷を飲みつつ待つこと5分少々。注文した焼きそばが運ばれてきた。

焼きそば 500円

麺は細麺。具はざく切りキャベツ。写真だと向こう側に回ってしまったが、短冊切りにした薄焼き玉子と、ちょっと焦げた厚切りチャーシューがトッピングされている。見た目からして独特だ。この麺がじっくり焼かれていて硬く、ゴムのような歯応えがある。郡上八幡のパリパリ焼きそばを思い出した。

ゴムのように固い麺

さらに色は茶色いが味付けは塩・胡椒だけらしい。油脂の風味が漂う程度の薄味で卓上のソースを好みで掛けるのがこの店の流儀なのだ。酸味強めのウスターが癖になる。美味しさに量が物足りなく感じるほど。500円にして良かった。チャーシューも食べ応えがあって大満足。

アイス最中 100円

帰り際、創業以来の名物というアイス最中(100円)もお土産に一つ購入。これはテイクアウトのみで店内不可。何故か壷の形をしている皮にその場でアイスを詰めてくれた。甘さ控えめの懐かしい味わい。昭和3年からの変わらぬ味に舌鼓を打った。

中華そばや冷やし中華(冷やしラーメン)も密かに人気だそうだ。暑い時期に来たらそっちも注文してみようかな。

一富士

店舗情報TEL:054-246-6405
住所:静岡県静岡市葵区長谷町18
営業時間:12:00~18:00くらい
定休日:基本的に無休
主なメニュー焼きそば 400円 500円

冷やし中華 400円 500円
中華そば 400円 500円
アイスもなか(テイクアウトのみ) 100円