丸吉屋
牧之原台地から県道235号を静波海岸へ向かうルートが好きだ。晴れた日は茶畑の緑と駿河湾の青のコントラストが映えて特に気持ちよい。バイクで下るにつれて茶葉に混じる潮の香りが濃くなってゆく。
下った先の牧之原市――正確には旧榛原郡静波町に当たる地域――に丸吉屋(まるきちや)という食堂がある。置いているのは麺類のみ。頗る安くて地元民に人気だとか。この食堂に紋次郎焼きそばなる品があるらしい。何それ?
訪れたのは2012年4月下旬、休日の昼下がり。市街地の外れに鄙びた看板を発見。年季を感じさせる店構えだ。暖簾を潜ると「いらっしゃいませー」とメガネのお姉さんが迎えてくれた。客席はテーブルが3つほどで座れるのは10人ちょっとだろうか。先客は二組、4人ほどだったが昼時には順番待ちになることもあるらしい。空いているテーブルに腰掛けてメニューを眺める。
見事にラーメンや焼きそばなどの麺類しかない。ラーメンも焼きそばも350円という情報があったが、最近値上がりしたようだ。先客は皆ラーメン類を食べていたし、カレーラーメンなんて品も少し気になるが、目当てだった紋次郎焼きそば(500円)を注文した。
お冷を自分で汲んで店内にあった漫画雑誌を読みながら待つ。母親だろうか、厨房には年配の女性がもう一人居て、二人で切り盛りしているようだ。途中で焼きそば持ち帰りの注文も入ったりしてなかなか忙しそうである。10分弱待って、「お待たせしました」とお皿が運ばれてきた。
麺は中細の縮れ麺。具はキャベツとモヤシと鶏肉。この鶏肉が紋次郎焼きそばの特徴で、普通の焼きそばだと豚になるらしい。青海苔は掛かってないが、紅生姜と4つ切りの茹で玉子が脇に添えられている。油がかなり濃い目でソースは酸味の効いたタイプを使っている。ボリュームもあり、なかなかガツンとくる焼きそばだ。評判になるのも分かる。
紋次郎焼きそばと普通の違いについては会計の際に訊いてみた。「鶏だと、ちぃっと風味が変わるだいね」とはお姉さんの弁。他の店だと鶏より豚の方が高いこともあるが、その辺は挽肉かどうかの差かも知れない。
なおネーミングの由来だが、「鶏肉→歯に挟まりやすい→爪楊枝を使う→木枯らし紋次郎」だとか。……。考案された年代が何となく想像できてしまう。今時の世代に通用するかどうかは別にして、今度は紋次郎ラーメンも食べてみたいな。
店舗情報 | TEL:0548-22-0367 住所:静岡県牧之原市静波2829-1 営業時間:11:00~18:00 定休日:木曜日 |
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主なメニュー | 紋次郎焼きそば 500円 焼きそば 並 400円 大 500円 紋次郎ラーメン 600円 ラーメン 並 400円 大 500円 |
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