忠岡屋
焼きうどん特集。関西のディープな店が続きます。
大阪の泉北地域、堺と岸和田の間に忠岡町という町がある。2012年現在、日本一面積の小さい町だが、人口密度は全国の町村の中で第4位。小さいからといってなかなか侮れない町なのだ。
その忠岡の下町情緒あふれる裏路地に、忠岡屋という食堂がある。昭和23年創業、今年で64年目の老舗なのだが、この店の一番人気が創業以来変わらぬ味の焼きうどん。WEBでは「しゅるの焼うどん」でヒットする品である。
訪れたのは4月中旬の土曜日。店への道は車では通れないほどの狭さである。土地勘皆無の不安に駆られつつ、スマフォの地図だけを頼りに無事到着。見事に老舗食堂然とした外観だ。暖簾を潜って引き戸を引くとすぐ目の前にテーブルがあり、店主ご夫妻が一人のお客さんと談笑していた。最近、ネットの紹介記事を見て訪れる人が多いとか、何となく身に覚えのある話題である。
「いらっしゃい、どうぞどうぞ」
にこやかな店主がテーブルから立ち、壁沿いに設えられているカウンター席へと促してくれた。客席は10人も入れないくらいの数しかない。腰掛けて頭上の壁に貼られているメニューを確認。趣のある筆遣いだ。
目的の焼きうどんの他にはうどんや丼物、オムライスなどがあった。割安感のある価格帯だが、20年くらい値上げしていないそうだ。
「さて、何をつくりましょか?」
「では焼うどん(600円)を」
奥さんがモロゾフプリンの空きカップに注がれたお茶とお冷を出してくださり、ご主人は厨房で中華なべを振るい始める。出来上がりを待つ間、「私もネットで」と先ほどの話題にも交じってみた。歯切れの良い泉州弁で「あらまあ、お客さんも」と喜んでいただけて何より。
そんなことを話しつつしばらく待つと、「はい、焼うどんー」とホカホカの湯気が立ち上る皿が目の前に置かれた。
見ての通り一般的な焼うどんとは随分異なる。出汁でつゆだくになってるから「汁(しる)の焼きうどん」と呼ばれ、さらに女将さんが泉州訛りでそれを「しゅるの焼きうどん」と呼んだため、どうやらそのまま通り名になったようだ。寒い日だったので温かい料理はありがたい。早速いただこう。
麺はコシのあるシコシコのうどん玉。具は牛肉、玉ねぎ、長ネギ、人参、竹の子。そして特徴的なのが昆布と鰹節をたっぷり使った出し汁による味付け。出汁の旨味に野菜の甘味も加わって他所にない豊かな味わいである。熱々でボリュームもあって実に美味い。好みで七味を掛けても美味い。
麺と具を食べ終わって出汁が残ったが、余りに美味しくて飲み干してしまった。店主曰く、元々は岸和田で台湾人が営んでいた明陽軒という店の焼きうどんがルーツで、材料も味付けも創業以来全く同じとのこと。他サイトの紹介記事を読むと他のメニューも美味しそうだ。
「おおきに、またきてやー」
600円ではもったいないほどの満足感を得て店を出た。ご夫妻が元気にお店を続けてる間にぜひともまた来て、今度はオムライスを試したい。
店舗情報 | TEL:0725-32-1941 住所:大阪府泉北郡忠岡町忠岡中2-2-33 営業時間:11:00~18:30 定休日:日曜日 → ホームページ |
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主なメニュー | 焼うどん 600円 他人うどん、カレーうどん 500円 肉うどん 450円 月見、玉子、わかめ、あんかけ、かやく、たぬき、きつね 400円 そば、うどん 350円 親子丼、他人丼、肉丼 600円 玉丼、木の葉丼、きつね丼 550円 焼めし、オムライス、チキンライス、カレーライス 600円 ライス 大180円 小150円 吸物100円 |
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