リゴレット バー アンド グリル

頃は6月上旬、平日の7時過ぎ。なぜかいきなり六本木ヒルズである。とある料理が目的で、ここの5階にあるレストラン、リゴレット バー アンド グリルにやって来た。六本木ヒルズの中でも屈指の人気店。普段、駄菓子屋とかセンベロ酒場をウロウロしてる私的にはアウェー感が半端ない。

釜ヶ崎での一人飲みよりも緊張する六本木ヒルズ

この半月くらい前、様子見にひとりで店をのぞいてみたのだが満席で入れず。予約必須で、なおかつスキンヘッドのおっさんが一人で入るような店ではなかった。誰かを誘って日を改めねば。でも誰にしようと少し悩み、「六本木ならあの人だな」とメシコレで六本木・赤坂担当を担当している公式キュレーターbrax3さんに声を掛けてみた。

六本木 リゴレット バー アンド グリル

「あそこはおっさんだけだと2人でもキツいですよ」
「まじっすか」
「ちょっと心当たりにも声かけてみますね」
「よろしくお願いします」

そうしてbrax3さんが女性2人を誘ってくださった。ひとりは同じメシコレ・キュレーターたっちゃんずパンケーキ部・もんちゃんさん。もうひとりは2人の飯友で、ナレーションやラジオのパーソナリティなどもされている女優のせきぐちきみこさん。わーい、ラッキー。目的はその料理なんだけど、こういう事態は大歓迎である。そんな感じでこの日4人が集まることとなった。

何度目かの乾杯

当日はお店で直接待ち合わせ。もんちゃんさんは顔なじみだが、せきぐちさんは初対面。うわー、さすが女優さん、お綺麗な方だ。まとっているオーラが違う。ちょっと遅れてbrax3さんも到着。我々男性陣はビール、女性陣はイチゴのカクテルでスタート。その後はスプマンテのロゼへと移行した。

季節の魚のカルパッチョ 1200円

このお店はスパニッシュイタリアンというコンセプトで、イタリア料理とスペイン料理を得意としている。さらにアメリカンダイナー的なスタイルも取り入れており、タパス料理やピッツァ、パスタやバーガーなどが人気とのこと。特にタパス料理が一律500円で、この界隈では割とリーズナブルな店なのだ。

フルーツトマトと蔵王モッツァレラのカプレーゼ 500円

まずはカルパッチョにカプレーゼ、ケサディージャなどでスタート。このブログ、焼きそば以外は中華かエスニックばかりで、こういう料理が並ぶのは珍しい。慣れない料理名で舌を噛みそうだけど、たまにはいいよね。トマトとオリーブオイルの組み合わせは鉄板だなー。

カジョス(スペイン風モツ煮込み)

呑兵衛なのでモツ煮込みも外せない。イタリアだとトリッパ、スペインだとカジョス。そういえば先日紹介したペルー料理店・アルコイリスにも牛のハチノスの煮込みがあったっけ。ブラジル料理屋でも食べたことあるし、ラテン文化圏でのハチノス煮込みの普及ぶりは凄いな。

乾杯して前菜をつまみながら一通りの挨拶が済むと、今回の集まりの趣旨を訊かれた。

「なぜこの店に?」
「ここ、焼きそばないですよね?」
「えっと、話せば長くなりますが……」

スペインにミガス(Migas)という料理がある。「ミガス」は「パンくず」を意味する単語で、食べ残しのパンを小片に刻んで(あるいは千切って)、チョリソーや野菜と炒めたものだ。もちろんいわゆる焼きそばとは大きく異なるが、以前紹介した中国の炒餅炒年糕、スリランカのコット・ロティに通じる料理ではある。中国ではパンも「麺包」で麺の一種。そう考えるとこれも炒麺と言えるのではなかろうか。いささか強引ではあるが。

メニュー拡大

そのミガスを一度食べたく思い、都内のスペイン料理店やバルを検索してメニューを軒並みチェックしてみた。が、なかなか見つからず。もともとミガスは家庭料理で、現地でもちゃんとしたレストランではまず出していないらしい。東京でも手頃な価格で常時提供している店はほとんどなく、あるいは付け合せのクルトンタイプだったりする。そんな中、ここ「リゴレット バー アンド グリル」で求めているスタイルのミガスを出していると知ったのだ。

「ふーん、そういうわけなんですね」
「なるほどねー」

幸いにも参加者のみなさんは興味を持ってくださったようだ。全員が食通というか食いしん坊なので、こういう益体もない話を楽しんでくださるのがありがたい。そんな迂遠な話を経て、お待ちかねのミガス登場! おー、これがそうなのか! うん、全く焼きそばではないな!

ミガス 500円

メニューの日本語表記は「生チョリソーとバケットのソテー」。親指大の賽の目に切られたバケット、斜め切りのチョリソー、そのほか牛肉やオニオンなどをトマトソースで炒めてある。その上に両面焼き(ターンオーバー)の目玉焼きを乗せて、刻んだバジルをパラリ。

フライドエッグを崩してと……

メニューには「フライドエッグをくずしてからめながらお召し上がりください」と書かれている。そうしましょう、そうしましょう。半熟の黄身がタラーっと魅惑的にあふれ出る。それを絡めてパクリ! ふむふむ、旨い。

トマトソースの染みたバケット、歯応えもあり

バケットにはトマトソースがよーく染みている。なおかつカリッとしたクリスピーな部分も残っている。トマトの旨味とチョリソーの刺激的な辛さで後を引く美味しさだ。期待以上に美味しくて嬉しくなる。なによりも「パンを炒める」という発想が素晴らしい。これが細く切ったパンだったら、もっと焼きそばっぽく……とか考えてしまう。

店内の様子

個人的な目的を果たした後はオリーブやピクルス、ハムの盛り合わせでペースを落ち着かせて胃袋の小休止。食いしん坊が揃ったので話題は自然と料理ネタに。特にもんちゃんさんの専門分野、パンケーキの話は面白かった。お好み焼きはパンケーキ? どら焼きはどうなの? などなど。ホットケーキを自分で焼く駄菓子屋さんの話もしてみたり。

ハム・サラミ5種 盛り合わせ 2400円

最後はピッツァで締め。ナポリピッツァ専門に食べ歩いているJaffaさんが4人共通の知り合いなので、誰も「ピザ」とは言わない。「ピッツァ」である。「ピザ」と呼ぶとJaffaさんに叱られてしまう。10インチサイズをハーフ&ハーフで2枚平らげ、すっかり満腹になった。

ピッツァ ハーフ&ハーフで

お会計は一人あたり5000円ちょい。いやー、楽しかった。目的も果たせたし大いに満足。幹事を引き受けてくださったbrax3さん、参加者のみなさん、ありがとうございました。それにししても焼きそば目当てでスペイン料理店に行くってのは、自分くらいなものだろうなあ……。ミガス、もっと流行れー。

RIGOLETTO BAR AND GRILL