吉香
平塚駅の西北西、プラザロード沿いにある吉香(きっこう)は焼きそばとお好み焼きの老舗である。この店の焼きそばが平塚市民のソウルフードとも呼ばれていると伝え聞いてやってきた。
店頭に陳列された食品サンプルからして、昭和の面影を非常に色濃く残す店構えだ。創業40年以上で以前は平塚市内に何店舗かあったが現在はこの本店のみが残っているそうだ。
六月中旬の平日、14:30に入店。お昼時はいつも混雑してるらしいが、この時間帯なのでさすがに先客は居ない。厨房の男性が店主か。ご夫妻でやってた先代の旦那さんが亡くなられた後、奥さんと息子さんとで今は営業されてるそうだが、恐らくその息子さんなのだろう。
店内にカウンターは無く、テーブルのみ。一人客なので二人掛けのテーブルに座ろうとしたら、お冷やを出していただいた際に「こちらへどうぞ」と四人用に案内してくださった。ま、これだけ空いていれば遠慮することもないな。
壁のメニューには焼きそばの他にもお好み焼きやモダン焼き、塩焼きそばなどが記載されている。少し迷ってから焼きそばのスペシャルミックス650円を注文。やがて厨房から鉄板で食材を炒める音がし始めた。この音と焦げた臭いが食欲をそそる。ちなみに客席に鉄板は無い。お好み焼きも客が自分で焼くのではなく店側で焼き上げて運んでくるスタイルのようだ。
やがて熱々のステーキ用のプレートに盛られて焼きそば登場。麺は太くて柔らかめ。量はかなり多い。スペシャルミックスの具は豚、イカ、エビと野菜=キャベツ。豚は薄切りだがイカは大きく柔らかな身だ。そしてトッピングに刻んだ焼き海苔。ぱっと見で全体が黒っぽい色合いなので味付けは濃いように思われたが、食べてみるとそれほどでもない。ネット上で「ナポリタンぽい」という評価があったが言い得て妙だ。確かにソースの陰に隠れてケチャップの風味が感じられる。「アルデンテ? なにそれ?」と開き直った、古きよきナポリタンの味である。
付け合せのスープも嬉しい。鶏がら出汁の中華風で小口切りにしたネギが浮いている。勢い込んで食べたら焼きそばが喉に詰まりそうになったが、このスープで事なきを得た。敷かれたプレートも縁の下の力持ちといった役処か、最後の一口まで熱々の焼きそばを味わえた。ふう、満腹だ。
ボリュームもあって独特の懐かしい美味しさ。かなりコストパフォーマンスの良い焼きそばだった。店主は代替わりしたが、今後もずっと地元民に愛される店であって欲しい。
店舗情報 | TEL:0463-32-7379 住所:神奈川県平塚市見附町3-17 営業時間:11:30~15:00、16:00~20:00 定休日:月曜日 |
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主なメニュー | 焼ソバ 豚肉野菜入り 550円 イカ野菜入り 550円 エビ野菜入り 550円 スペシャルミックス 650円 お好み焼 豚肉玉子入り 550円 イカ玉子入り 550円 エビ玉子入り 550円 スペシャルミックス 650円 モダン焼 750円 スペシャルモダン焼 850円 |
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