中華一番
前回・前々回と、四月に町中華好きのマニア仲間で巡った鹿児島の店を紹介した。その中で鹿児島の町中華の特徴というのが、なんとなく見えてきた。
たとえば焼きそばでいうと、鹿児島の町中華に置いてある焼きそばは、ほとんどが揚げ麺を使ったカタ焼きそばだ。大まかだが、そんな共通点がある。これもその土地ならではの「土地中華」だろう。
今回の鹿児島食べ歩きで、参加者全員が揃って最初に訪れたのは、鹿児島市吉野町にある中華一番だ。県道16号線=鹿児島吉田線の吉田中前交差点から脇道に入った一角に、赤い看板と暖簾が掲げられていた。
入って左手がカウンター。右手には小上がりが二卓。突き当りの壁には大きな石鯛の魚拓が飾られている。さらに左手の奥にはやや広めの座敷に、大きめの座卓が用意されている。土曜の昼前、開店直後なので、我々が最初の客だった。
メガネをかけたおっさん五人の中華マニアと運転兼アテンド役のプラス一名。結構な人数なので奥の座敷へと案内された。左から焼売マニアのシュウマイ潤さん、ラーメンマニアの井手隊長。奥に座っているのが私。右奥から餃子マニアの塚田亮一さん、料理芸人のクック井上。さん。そんな並びだ。そういえば、これは完全に主観だが、鹿児島の大衆的な中華屋は、こういった座敷席も多いように感じた。
着席したら注文だ。卓上のメニューには麺類から定食、一品料理がずらっと並んでいる。焼麺系は「ヤキソバ」「カタヤキソバ」「炒めビーフン」の三種があり、いずれも770円だ。「カタヤキソバ」に「人気!」マークが付いているので、それをチョイスした。
ドリンクメニューだが、ここにも鹿児島ならではの特長が見て取れる。鹿児島の大衆中華は、焼酎が安いのだ。瓶ビール660円に対して、焼酎の水割り・お湯割りは220円。あまりの安さに五人とも色めきだった。
焼酎を五杯頼んでから、各自それぞれ専門ジャンルの品々を注文。前述した通り、ここが一軒目でまだ午前中だが、充実した鹿児島旅を願って乾杯!
注文してすぐ厨房から何かを揚げる音が聞こえ始め、香ばしいゴマ油の香りが漂ってきた。注文を受けてから揚げるオンデマンド方式だ。ライブ感が楽しい。
やがて運ばれて来たのは、山盛りのカタヤキソバ(770円)だ。あんがたっぷりとかかっている。キャベツ・モヤシ・キクラゲ・小松菜など、たっぷりの野菜と豚肉が傷められている。
揚げ麺のサクサクでエアリーな食感に皆が驚きの声を上げる。甘めのあんが滲みて、少し柔らかくなった部分もめっちゃウメーン! 卓上のお酢を適量かけて、甘さが中和された塩梅もまた良し。レベル高いなあ。
この店のように、鹿児島の中華屋さんでは炒めそばよりもあんかけ、しかもカタヤキの方が推されていた。中には混ぜ炒めを置いていない店も多い。この店のヤキソバもおそらく混ぜ炒めではなく、あんかけではないかと思う。拙著『あんかけ焼きそばの謎』を読むと、この傾向の理由がわかるかもしれない。
汁系の中華麺は、井手隊長が醤油ネギラーメン(770円)をオーダーしてくれた。細切りの豚肉とたっぷりのネギが浮かび、さっぱりした味付けのスープに香りと風味を添えている。皆で取り分けて、あっという間に食べてしまった。
餃子は一人前440円を二人前。きれいな焼き目でクリスピーな歯ごたえ。中の餡はニラの味わいが特徴的だった。焼酎のつまみにもちょうどよい味加減だ。
焼売は残念ながら置かれておらず。以上の品々をザッと一気に平らげてお会計。観光客が寄らないであろう、地元仕様の中華屋さんだが、レベルの高さをヒシヒシと感じた。この土地でしか味わえない、まさに「土地中華」だ。
現在、『愛にいこう。鹿児島』というキャンペーンで、お得に鹿児島市を訪問できる。ぜひこの機会に訪れて、実体験してみてほしい。
| 店舗情報 | 住所: 鹿児島県鹿児島市吉野町3073-19 営業時間: 11:00〜14:00 17:00〜22:00 定休日: 火曜 |
|---|---|
| 主なメニュー | カタヤキソバ 770円 醤油ネギラーメン 770円 ギョウザ 440円 焼酎 220円 |







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