小吃城堡(馋嘴臭豆腐)
最近、「ガチ中華」がメディアで話題に上ることが増えてきた。中国本土出身者向けのメニューや業態が特徴で、メインターゲットに日本人客を想定していない。高田馬場もガチ中華が急増するエリアの一つ。今回紹介する店も高田馬場にある。ネットでは「馋嘴臭豆腐」という名前で紹介されていたが、出前館の「小吃城堡」という屋号が正式かも知れない。念の為に併記しておこう。
住所の建物に着いたが立て看板などは出ておらず、壁に複数の料理名を冠した小さな表札があるだけだ。臭豆腐が名物なのはなんとなく察せられるが、「馋嘴」が読めない。調べたところ「馋嘴」は「chán zuǐ 」と発音し、「食いしん坊」や卑しいなどの意味らしい。繁体字だと「饞嘴」と表記する。日本の漢字辞典を調べると「饞」の音読みは「サン」、「嘴」は「シ」なので、カタカナ表記だと「サンシシュウドウフ」になるのかな?
恐る恐る階段で地下へ降りてみる。降りた正面がていくテイクアウトの受け取り口で、右奥が厨房だ。こちらの店はどうもテイクアウトとデリバリーがメインで営業しているらしい。ただ手狭だが右手に客席スペースもある。
厨房に店員さんがいたので、「イートイン、大丈夫ですか?」と声を掛けてみた。「はい、大丈夫です」と日本語で返ってきた。よかった、日本語が通じる。客席に置かれた荷物を急いで片付けてから、そちらへと案内された。イートインのお客さんは普段あまりいないんだろうな。
メニューは料理名も解説も簡体字だけで、日本語は一切なし。写真はごく一部だが、中国東北地方の屋台料理や軽食(小吃)が中心のようだ。スペアリブを使った煮込み料理(排骨炖土豆・排骨炖豆角)や各種串焼き、タニシのビーフン(螺蛳粉)やフライドチキンのバーガー(炸鸡汉堡)などもある。
今回はあらかじめ予習しておいたので迷いがない。注文したのは「名物烤冷面」(560円)に「加火鸡面」(200円)のトッピング。それから看板メニューの「网红香辣臭豆腐」(580円)。あと青島ビールもお願いした。
すぐにビールが、続いて烤冷面と臭豆腐が運ばれてきた。料理はそれぞれの料理名が書かれた紙のカップに盛り付けられている。キッチュなデザイン含め、屋台風で面白い。
「烤冷面」(Kǎo lěng miàn)は「焼き冷麺」とも訳される中国の屋台料理で、このブログでもこれまで何度か紹介してきた。。じゃがいもや緑豆のでんぷんから作られた四角いシートを広げ、いろいろな具を巻いて焼く。仕上げに甘辛いソースを塗って、切り分ければできあがり。メニューのカッコ書きされていた「肠+蛋」は、ソーセージ(腸)と玉子(蛋)が最初から入っていることを示している。
「火鸡面」(Huǒ jī miàn)は韓国の激辛インスタント焼きそば、「プルダック炒め麺(プルダックポックンミョン)」の中国語訳だ。以前は新大久保あたりでないと入手できなかったが、最近は日本語のパッケージでも出回るようになり、目にする機会も増えてきた。
韓国で一番辛いというプルダック炒め麺。以前食べたけど、もう一袋残っていたので今度は野菜入れてみた。多少ましになったけど、やっぱりめちゃ辛い。あと今度は茹ですぎてしまった。まあ、美味しいとはほど遠いけど、面白い品だとは思います。 pic.twitter.com/OXadfrCF70
— 塩崎省吾/焼きそばおじさん (@SaltyDog_wow) January 19, 2016
この店ではその「火鸡面」を「烤冷面」の具として追加できるのだ。もっちりしたデンプンの生地の間に、太麺の激辛焼きそばがたっぷり入っている。チーズも使われていて、かなりジャンクな味わいだ。「烤冷面」がお好み焼きにやや似ている料理なので、プルダック炒め麺の辛さを除けば、モダン焼き的な食味に感じる。
なお、あまりに辛い品なので、注文を厨房へ通したあとに戻ってきて「辛いけど大丈夫ですか?」と確認された。私は何度か食べた経験があるので問題ない旨を伝えたが、苦手な人はご注意を。人を選ぶだろうが、自分はかなり好みの味だ。
そして「网红香辣臭豆腐」。臭豆腐はこれまで何度か食べたことあるが、ルーツの地域によって店ごとにスタイルが異なる。こちらの臭豆腐はカリカリというよりガリガリに揚げた豆腐を、発酵ダレに絡めたものだった。生唐辛子やパクチーなどトッピングされていて、こちらもかなり刺激的な味である。おまけに臭い。美味しいのだが臭い。
ちなみに「网红」(wǎng hóng)は「ネットの有名人」のことらしい。中国語話者にとっては、面白いネーミングなのかな。
烤冷面と臭豆腐を食べていると、美人の女性スタッフが話しかけてきた。まだ20代っぽい見た目だが、雰囲気からするとオーナーか店主さんかな?
「辛くないですか?」
「辛いけど美味しいです」
中国の動画共有サイトbilibiliを「火鸡面 烤冷面」で検索すると、同様の品がいくつか見つかる。この女性に、「烤冷面」に「火鸡面」をトッピングするのは一般的な組み合わせなのか尋ねてみた。すると「この店ではお客さんにリクエストされて始めた」とのこと。なるほど、もしかしたら本土での経験者がリクエストしたのかも知れないなー、なんて想像が膨らむ。
全て完食して、お会計は2100円。ゲップすると臭豆腐の香りがする。新型コロナ対策でもちろんマスクをつけて帰ったが、マスクの中の臭いがなかなかキツかった。手加減抜きのガチ中華は、ちょっとした海外旅行のような体験ができて楽しいなあ。
店舗情報 | 住所: 東京都高田馬場3丁目23−5 リベラル高田馬場 B1 営業時間: 11:00~23:30 定休日: 年中無休 → ホームページ |
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主なメニュー | 名物烤冷面 560円 加火鸡面 200円 网红香辣臭豆腐 580円 |
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