香港麺 新記 三宿本店

中国本土で食べられている色々な焼きそばを先週から特集しております。2週目の今週は広東料理の「乾焼伊麺」からスタート!


「乾焼伊麺(干烧伊面・ゴンシャオイーミン)」も広東地方で一般的に食べられている焼きそば系の麺料理だ。この乾焼伊麺は前回紹介した「炒河粉」以上に日本では稀な存在である。横浜中華街でもメニューに載せている店は数軒あるのだが、食べ歩いたタイミングが悪かったのか、麺が仕入れられず今はやっていないと軒並み言われてしまった。

しかしそれでも諦めないのがこの私。世田谷の三宿に店を構える香港麺・新記で食べられることを突き止めた。新記は香港に本店がある麺料理が主体の店で、本場の味をそのまま提供しているそうだ。ありがたやありがたや……

香港麺 新記 三宿本店

訪れたのは3月中旬、平日の昼下がり。国道246号=玉川通りの三宿交差店にある松屋の2階が新記の三宿本店だ。鉄道だと東急田園都市線の池尻大橋と三軒茶屋のちょうど中間くらいに位置する。

2階の扉を開けるとそこは香港

脇道に面した階段で2階へ登ると屋号が掲げられた扉が現れた。フロアはそれなりに広く、テーブルが7~8ほど並べられている。半端な時間だが客の入りは7割ほど。スタッフの間で広東語が飛び交う様子はまさに本場・香港の雰囲気。

香港麺 新記 炒麺類メニュー

さてメニュー。「乾焼伊麺」には「焼き香港伊麺」という日本語訳が添えられていた。醤油王炒麺や新加坡焼米粉など、他にも魅力的な焼きそば類が多いが今日のところは乾焼伊麺(880円)を注文。

8分ほどで配膳。小皿のチリソースのほか、ランチタイムだからなのかスープとデザートも付いてきた。わーい。

乾焼伊麺(焼き香港伊麺) 880円

麺は「伊麺」あるいは「伊府麺」と呼ばれる揚げ麺の一種。「伊」は人の姓、「府」は家を指し、「伊さんの家で作られた麺」を意味する食材だ。清の官僚・書家だった伊秉綬という人物の館で出されたのが始まりとされている。

水やかん水を使わず小麦粉と卵だけで打つのが第一の特徴。それを油で揚げることでアルファ化させて食味を増し、さらに保存性も高めたいわば即席麺の元祖だ。この伊府麺がインスタントラーメンのルーツとも言われている。

「伊麺」「伊府麺」と呼ばれる揚げ麺を使用

乾焼伊麺はお湯で戻した伊府麺を具材や調味料と一緒に水分が無くなるまで炒め煮する料理だ。具材から出た水分を吸わせて麺を戻す調理法もあり。中華街では「伊麺煮込み」という日本語訳を充てている店もあった。袋麺の焼きそばチックな調理方法である。

では実食。平たい形状やコシの無さ、モソモソした食感は赤いキツネの麺を思い出させる。しかし玉子が使われているため、風味はずっと良い。

独特な食感と風味の麺、噛み締めると旨味が

具は豚肉・イカ・エビ・モヤシ・ニラで、味付けは醤油系。博多皿うどんのような濃厚さを予想してたが意外にあっさりした風味だ。麺を噛みしめると旨味がじんわり滲み出てくる気がする。別皿で提供されたチリソースや卓上の辣油で味わいを変えても、なかなか美味しかった。

付け合せの白湯スープはあっさり風味

付け合せの白湯スープもあっさり風味。スープ麺も美味しいんだろうなあ。デザートは杏仁豆腐。これも甘味抑え気味でさっぱりした感じ。全体的に蛋白な印象だ。これが本場の味なのだろう。

デザートの杏仁豆腐もあっさりした味わい

「感動的な美味しさ!」……とまでは感じなかったが、食べ慣れてくれば癖になりそうな味だった。なにしろ他に提供している手頃な店が見つからないので比較できないのがもどかしい。新記は三宿以外にも店舗があるようなので、興味を持たれた方は探してみてくださいまし。

新記 三宿本店

店舗情報TEL:03-3419-4123
住所:東京都世田谷区池尻3-30-10 山旺ビル2F
営業時間:11:30~翌1:00(日 ~24:00)
定休日:無休
ホームページ
主なメニュー乾焼伊麺(焼き香港伊麺) 880円

醤油王炒麺(醤油焼きそば) 780円
蝦仁炒麺(エビ焼きそば) 780円
牛肉炒麺(牛肉焼きそば) 780円
肉絲炒麺(豚肉細切り焼きそば) 780円
海鮮什錦炒麺(海鮮入り五目あんかけ焼きそば) 880円
炒米粉(焼きビーフン) 780円
新加坡焼米粉(シンガポール カレービーフン) 780円