豊楽食堂
南三陸町の志津川も津波の被害が甚大だった地域だ。豊楽食堂はその志津川で五十年以上続いてきたお店。経営者は80歳過ぎになる遠藤とよ子さん。被災してお店を失ったが、東京生まれのお孫さんがIターンして仮設商店街での出店が決まったそうな。(再開に至るまでの詳細はこちらが詳しい)
4月中旬、平日の昼下がりに訪問。瓦礫が片付けられた平地には草と砂ばかり。鉄骨だけになった防災庁舎が荒野にポツンと佇んでいる。震災後、三陸海岸を彼方此方訪ねたが、どうもこういった光景には慣れそうもない。
それでも国道398号=本吉街道沿いにある復興仮設商店街の南三陸さんさん商店街の周囲は活気を取り戻していた。駐車場の車も多く、この一角は明るい雰囲気を醸している。
案内板を頼りに豊楽食堂の仮設店舗へ。店内は正面に厨房があり、その手前にカウンター6席。左右にテーブル4卓、左手奥に座卓2卓という構成。励ましの寄せ書きや色紙があちこちに飾られている。例のお孫さんはホール係で「いらっしゃいませ!」と明るく接客してくれた。
メニューは麺類と丼物が数種類。先客のご夫妻はラーメンを食べていた。焼きそばは並盛と特大がある。だいぶお腹が空いてはいたけど、とりあえず並盛(500円)を注文しておこう。
調理はおばあちゃんが担当。鉄板でカチャカチャと炒めて、5分ほどで配膳。どれどれ、早速いただこう。
麺は深蒸しの極細麺でコシ強め。二玉くらい使っているのだろうか、かなりのボリュームだ。具はシンプルにキャベツのみ。トッピングに目玉焼き、紅生姜、刻み海苔。
茶色い麺だが味付けは醤油ベースだそうで、ほんのりと出汁の風味が香る。ところどころカリカリと歯応えがあって良いアクセントになっている。石巻と同じく中濃ソースを掛けるのが作法らしいが、ソースがなくても麺自体が充分美味しい。
「麺が美味しいですね」とお孫さんに訊くと「あれ、実は普通の中華麺なんですよ」との答え。ほへー、蒸す工程も自前でやっているのかな。手間のかかる調理法だ。食べ終える頃にはすっかりお腹がくちくなった。並盛でこれだ、特大が恐い。
震災を超えてお孫さんに伝えられた焼きそばの味。遠方なので頻繁に訪れることもできないけど、今後も末永く続きますよう願っております。
店舗情報 | TEL:0226-46-3512 住所:宮城県本吉郡南三陸町志津川御前下59-1 南三陸さんさん商店街 営業時間:11:00~19:00 定休日:水曜日 → ホームページ |
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主なメニュー | 焼ソバ 並盛 500円 特大 700円 醤油ラーメン 550円 五目ラーメン(塩) 700円 チャーシュー麺 700円 キラキラ丼 1500円 海鮮丼 1500円 ネギトロ丼 850円 |
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