きじ 本店
関西滞在3日目の夜は、2年ほど前に大阪へ越してきた友達と差し飲みすることになった。選んだお店は、新梅田食道街にあるお好み焼き屋・きじ本店。ミシュランにも掲載された超有名店で、東京の丸の内や品川にも支店がある。
8月上旬の平日。新梅田食道街へ着いたのは18時過ぎのこと。店の外まで伸びている行列にとりあえず並ぶ。10分ほどで団体客が退出して、待っている客は全員一度に入ることができた。
狭い階段を上り、手狭な感じのカウンターの端に2人で並んで腰掛ける。とりあえず生ビール(モルツ・450円)とジンジャエール(200円)で乾杯。
注文する品の選定は自分に任された。価格帯がリーズナブルだ。東京にも支店があるけど、あっちにくらべると3割くらい安い。苦手なものはないかを確認して、モダン焼(770円)とスジ玉(850円)に決定した。
モダン焼はこの店の名物だ。小麦粉を溶いた生地を使わず、玉子だけで焼き上げるという独特なスタイルで知られている。樹脂製のコップに生卵を割り入れ、出汁を注いでスタンバイ。
焼きそばが焼きあがったら、そのコップの中身をボウルにあけ、焼きそばをガーッと混ぜて鉄板に落とす。焼きそばは既に調理済みなので、ここからの調理はスピーディだ。
玉子に火が通った頃合いを見て、全体をひっくり返す。この時点での見た目はオムそばのようだ。しかし、そこにソースを塗って青海苔を掛ると、あら不思議、モダン焼の出来上がりである。
麺は中太の蒸し麺。具はイカ・豚・キャベツ。それらで作った焼きそばを玉子で綴じているわけだ。コテで切った断面をみると、麺と玉子が混然一体になっていることがよく分かる。
ソースはただ甘いだけでなく酸味やスパイスも効いたタイプだ。玉子自体にも出汁の味がついていて、多層的で複雑な味わいだ。この形状なので麺をズルズル啜るわけにはいかないが、小さくコテで切り分けて、熱々のをバクバクいただくのもまた違った食感で面白い。
焼きそばと玉子をかき混ぜるといえば、和歌山県御坊市のせち焼きも全く同じスタイルだ。もしかしたら御坊の元祖せち焼・山下で「焼きそばを卵でせちごうて(かき混ぜて)」とリクエストしたお客さんってのは、ここのモダン焼を食べたのかも知れないなあ、なんて思ったり。
飲み物を飲み干したので、チューハイレモンを一杯ずつお代わり。そうそう、スジ玉も忘れちゃならない。こちらはモダン焼と並行して作り始めたが、焼くのに時間が掛かるため、少しあとから出来上がった。
スジ玉は混ぜ焼スタイルのお好み焼だ。キャベツと卵・出汁を混ぜた小麦粉の生地を、鉄板に落として丸く形を整える。その上に大葉を一枚乗せ、牛スジの炊いたんと青ネギをドサッと盛り付ける。
鉄板側が焼きあがったら、ひっくり返してさらに焼く。じっくり焼き上げて、最初の面を上に戻す。マヨネーズを真ん中にポンと乗せ、それを混ぜるようにソースを刷毛で塗って出来上がり。好みで一味をと薦められ、友達の了解を得てたっぷり掛けてみた。
大阪ならではの厚みのあるフワッフワのお好み焼きだ。これもやはりコテでいただく。大葉の峻烈な風味が、ソースやマヨネーズに負けずに主張してくる。牛スジの触感・味わいも楽しい。うーん、これも美味いなあ。
お会計は3070円。一人1500円ちょっとという安さが嬉しい。大阪だとお好み焼きは基本的に一人一枚。こちらのお好み焼きもちょうどそれに見合うボリューム感だった。そばとお好みの両方でも、ちょっと頑張れば食べられそうだ。これなら一人で食べに来てもいいなあ。
ちなみにその後は同じ新梅田食道街にある樽・金盃へとハシゴ酒。エッグと焼みそは相変わらずの美味しさだった。
店舗情報 | TEL: 06-6361-5804 住所: 大阪府大阪市北区角田町9-20 新梅田食道街 1F・2F 営業時間: 11:30~21:30 定休日: 日曜 |
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主なメニュー | もだん 770円 焼きそば 600円 豚玉 680円 スジ玉 850円 ミックス 850円 |
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