あたりや
私が焼きそば担当として末席を汚させていただいている食べあるきオールスターズ「食べあるキング」。通称、食べキン。月に一回の定例会を設けたり、様々なコラボ企画など催していただいたり、各ジャンルに精通した方々の専門的な知見を得られる貴重な場だ。
その食べキンで野菜や農畜産物を担当されているベジアナ・小谷あゆみさんは兵庫県・尼崎のご出身。彼の地なら昔から馴染みのお好み屋さんがあるに違いないと思って訊ねたところ、「あたりや」というお店を教えていただいた。最寄駅は阪神電鉄・出屋敷駅。創業は昭和26年(1951年)というから、今年で65年という歴史ある老舗だ。さらに、こちらの記事によると、元々は焼きそば屋としてスタートしたらしい。おー、これはぜひとも行っておかねば。
というわけで前回の中華料理・麒麟(Kirin)を出たあと、ポケモンを探しつつ阪神電鉄の深江駅まで歩き、出屋敷駅へと移動。改札から徒歩1分ほどの店舗へ着いたのは、13時を回った昼下がりのことだった。
間口が狭いので小さな店かと思ったが、入ってみたらめっちゃたくさん鉄板台が並んでいる。奥の方は向こうの路地まで続いていて、裏手にも出入り口があった。昼休みはとうに過ぎている時間帯なのにかなり混んでいる。奥の方の鉄板台に着席。
メニューはもちろんコナモン中心。標準的なお好みは「豚焼」という表記で、卵が入ると「豚玉焼」になる。卵が貴重だった時代の名残だ。たこ焼もあるが、これはあの丸っこいやつではなく、たこ入りのお好み焼のことだろう。そして焼きそばではなく「そば焼」という表記。長田あたりでは多いが、この辺でもそう呼ぶんだなあ。
「チャンポンそば焼(900円)、ください」
「おそばのチャンポンですね」
「それと小ビール(400円)も」
「キリン? アサヒ?」
「キリンで」
しかしなぜかアサヒの瓶を持ってきた。「あれ? アサヒでしたっけ」と疑問形で渡される。
「キリンでしたけど、アサヒでもええですよ」
「すんませーん」
既に栓は抜かれているので、まあ仕方あるまい。こんなやり取りも楽しいものだ。グビリと飲って8月の日差しで火照った身体をクールダウン。
ところで今回注文したチャンポンそば焼。これまでも全国各地のいろいろな焼きそば系の「チャンポン」を取り上げてきたが、この辺りのお好み屋で「チャンポン」というと、海鮮主体のゴージャスな具材を指す。同じ兵庫県でも姫路市まで行くと「チャンポン」は焼きそばと焼きうどんの混ぜ焼きになったりして、ややこしさが半端ない。
そのゴージャスな具材を含む材料一式の盛られた皿が運ばれてきた。「すんません、お兄さん、よろしくお願いしますー」と皿を置いて去っていく。あ、自分で焼くのね。なるほど、了解。天辺には味の素がキラキラ煌いているが、適量の化学調味料は全く気にしない主義なので問題なし。
まずは鉄板に油を引き、麺を左半分のスペースに広げる。野菜を皿に残して、右半分で豚肉と海鮮を焼く。海鮮の加熱は控えめにしたかったが、豚肉と一緒盛りだったので良く焼きになってしまった。コテで豚肉を一枚ずつ剥がすのにも慣れないとなあ……
頃合いをみて麺をひっくり返す。本来ならここで麺と豚肉・海鮮を混ぜ炒め、空いた右側にキャベツを広げ、麺をその上に乗せて少し蒸すというのが望ましいメソッドだ。しかし慌ててしまって、海鮮の上にキャベツをドサっとやってしまった。あーらら。
こうなったら仕方ない。「時すでにお寿司」とか言いつつ、そのまま混ぜ炒め、麺と合体してソースで味付け。青海苔と削り粉をトッピングして出来上がり。完成してみれば、どう作ろうが大差ないと自分に言い聞かせていただきます。
麺は太い蒸し麺でシコシコした食感。具は豚肉・イカ・エビ・タコ。野菜はキャベツのみ。短冊切りやざく切りではなく、お好みに使うのと同じ粗みじん切りで、かなり細かめに刻んであった。相対的に海鮮の存在感が強調されている気がする。
味付けは卓上のお好みソースだ。控えめの味付けにしたつもりだが甘口で濃厚。食べ応えのある麺と豪華な具でビールが進む。味の素も効いているんだろうけど、馬鹿舌なので正直よくわからん。汗だくになって食べ終えた。お会計は1300円。
「あーうまかった、ごちそうさんでした」
「おおきに、いつもありがとう、またきてな」
地元に愛される老舗お好み屋さんは最後まで好印象だった。ビールの銘柄を間違えても、魔法の粉がキラキラしてても、微笑ましくて許せてしまう。この辺のそば焼きという呼び方も好きだなあ。小谷さん、いい店を教えてくださって、おおきにありがとー!
店舗情報 | TEL: 06-6413-1692 住所: 兵庫県尼崎市竹谷町1-22 営業時間: 11:00~22:00 定休日: 月曜(祝日の場合は翌日の火曜に) |
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主なメニュー | そば焼 550円 いかそば焼・肉そば焼 650円 いか豚そば焼・いか肉そば焼 750円 チャンポンそば焼 900円 お好み焼 550円~ |
ディスカッション
コメント一覧
わあああ、あたりややーーーー!
すてきな紹介うれしいです。
自分のソウルフードをこんなに丁寧に紹介してくれるなんて。
こんなに嬉しいとは。
ブログ、書かれる側の気持ちを知りました。
わたしはだいたい豚玉とミックス焼きそばを頼みます。(チャンポンなんて言い方さえ意識してなかった。)
焼きそばのおいしさの秘訣は、きらきら光る昭和の味の魔法の素なんですよ〜。サイコーーー!
出屋敷の「あたりや」、また一刻も早く行きたくなった。
あたりや行ってくれてほんまありがとおーーーーーー!!!http://ameblo.jp/ayumimaru1155/entry-10007571904.html
ベジアナさん、コメントおおきにありがとーー!(笑)
歴史もあって温かくて美味しくて……
観光客を当て込んで作った味と違って、地元の方々に長年愛されてきたものは、やはりハズレはないですね!
すばらしい、いや、そばらしいお店でした!ヽ(^o^)ノ