お食事処ふみ
食堂の焼きそば特集。今週が最後になります。西日本の店を3軒ご紹介。
紀伊半島の付け根を横断する吉野川は和歌山県に入ると紀の川と呼称が変わる。その名を冠した紀の川市は平成の大合併で誕生した比較的新しい市だ。今回紹介するのはその紀の川と平行に走る国道24号沿いのお食事処ふみ。
訪れたのは一昨年の4月上旬。平日の正午。大型車輌を何台も受入可能な広めの駐車場が、いかにも幹線国道沿いの食堂らしい。その端っこにバイクを停めて暖簾を潜る。
店内も意外に広く、テーブルやカウンターが比較的無秩序に置かれている。先客はタンデムライダーのカップルの他、2・3組。ホールの女性に「お好きな席にどーぞ」と促され、一角のテーブルに腰掛けた。
お冷やとおしぼりを受け取るついでに焼きそば(700円)を注文。他のメニューはラーメンや丼、定食などがある。セットメニューに『焼きそば定食』の文字を見つけて「あー、関西っぽいなー」との感想を抱いた。壁には「定食のごはん・味噌汁おかわり自由」との張り紙もある。なるほど、トラックの運ちゃん向けにはボリュームが欠かせないが、そこは完全にクリアしてそうだ。
入り口の脇には本棚があり、少年ジャンプや漫画の単行本がぎっしり詰まっている。芸能人らしき色紙も多いがちょっと古そうだ。ちなみにトイレは古式ゆかしき坊ちゃん式。
さてさて、そんな感じで店内を観察していると注文した品が登場した。ステーキ用のプレートに乗せられ、濛々と湯気を立ててる焼きそばが目の前に置かれる。この鉄板がここの焼きそばの特徴なのだ。量はかなり多い。
麺は中細ストレートでかなり柔らかめ。蒸し麺ではなく茹で麺を使っている。具はキャベツに豚肉、ニンジンが少々。そして卵が一つ炒める際に混ぜられているらしく、黄身や白身の破片が散見された。トッピングは青海苔と紅ショウガ。「よかったらお使いください」とソースを渡されたが、デフォルトで充分シズル感に溢れている。
熱々の鉄板で火傷しない様に気をつけて食べる。プレートに面した部分は焦げ、パリパリとした食感が美味しい。味付けはやや甘め。食べているうちに気がついたがキャベツの割合が妙に高く、食べても食べてもなかなか減らない。
もしかしたら、この鉄板焼きそばの主役はキャベツなのではなかろうか。使われている中華麺は主食ではなく、キャベツの引き立て役の具に過ぎない……そう考えると柔らかい茹で麺を使っていることも少し納得できる。キャベツのソース炒め、そば入り。そんなことを何となく考えてたら、突然、はっと思い当たった。
「あ、これは御飯にあう焼きそばなのだ!!」
そう、この焼きそばを食べてる最中に突然御飯が欲しくなったのである。炭水化物と炭水化物の強力タッグ「焼きそば定食」。関西ではごく普通に提供されているが、東日本で育った人間にはやはり違和感がある。しかし、この鉄板焼きそばを食べてみると「焼きそばをおかずに御飯を食べる文化」もすんなり納得できそうだ。
トラックの運ちゃんの胃袋を満たすため、御飯に合う焼きそばを試行錯誤した一つの成果、鉄板焼きそば。単独で食べても勿論美味しいが、お腹に余裕があるなら定食も試してみたい。
店舗情報 | TEL:0736-73-6800 住所:和歌山県紀の川市東野64 営業時間:11:00~14:00,16:00~00:00 定休日:無休、ただし火曜は昼営業のみ |
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主なメニュー | 特製 鉄板やきそば 700円 特製 鉄板やきうどん 700円 やきそば定食 750円 やきうどん定食 750円 |
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