よしかや
富山市南部の旧八尾町(やつおまち)は浄土真宗・聞名寺と真言宗・蓮勝院の門前町として発達した。市街地中心部は昔ながらの街並みが残る景観地区で、なかでも石畳の諏訪町本通りは往年の趣を色濃く残している。風の盆や曳山祭などの祭事には随分賑わうという。
その諏訪町本通りから一本南、国道475号線=「なりひら通り」と「ごうどうの坂」の交差点に「よしかや」という焼きそばとお好み焼きの店がある。「よしだ焼きそば店」という屋号も使われていたようだが、いつ頃からか「よしかや」と呼ばれるようになったそうだ。
訪れたのは昨年10月中旬の平日、14:30。間口は狭いが奥に長い造りで、客席はカウンターが4席、天板が焼き台になっているテーブルが3卓ほど。中途半端な時間だが先客は2組居た。全員が焼きそばを食べている。
店員さんは女性二人。見た目の年齢差からすると恐らく母娘だろう。年配女性の方は奥の方で定連らしきご婦人方と何やら話し込んでおり、若い方の店員さんが空いているテーブルへと案内してくれた。
「いらっしゃいませ、何にしましょう? と言っても焼きそばとお好み焼きしか無いけど」
お好み焼きは時間が掛かるそうだが、そもそも焼きそば目的なので問題ない。豚肉焼きそばの並(550円)を注文。焼きそばはカウンターの向こう側にある鉄板で調理するようだ。お冷やをいただいて漫画を読みながら待つこと5分少々。
「青海苔と紅ショウガはどうされます?」
「あ、お願いします」
やがて皿に盛られた焼きそばが運ばれてきた。
麺は細めの縮れ麺。具はキャベツと豚肉のみで、青海苔と紅ショウガの微塵切りがトッピングされている。食べてみると麺に結構コシがある。ソースの味は甘からず辛からずだがやや濃い目。油を多めに使ってしっかりと炒められ、キャベツはしんなりしている。量はほどほど。
特筆すべき特長はないが無難な美味しさだ。単品だと食事としては少し物足りないかも知れないが、小腹の空くこの時間帯の虫養いには丁度良い。
食べている最中にソフトクリームを買い求めに来た客が居たが、今はシーズンオフで4月まで無いそうだ。雪国富山の10月にしては温かい日だったので気持ちは分かる。
男性二人組は私が食べ終わる頃に帰ったが、奥の方では相変わらずおばあちゃんと定連の会話が続いている。私も漫画を一冊読み終えるまで、食後10分ほど席でのんびり。八尾の町並みもこのお店も、時間が緩やかに流れているように感じられた。
店舗情報 | TEL:076-454-2262 住所:富山県富山市八尾町上新町2797-1 営業時間:10:00~18:00 定休日:不定休 |
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主なメニュー | 焼きそば 豚肉、いか 550円 大盛 700円 ミックス(豚肉&いか) 650円 お好み焼き 豚肉、いか、こんぶ 550円 ミックス(豚肉&いか) 650円 |
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