焼きそばは飲み物。 池袋東口店

2019年2月17日

2月6日に新橋、8日に池袋と立て続けにオープンした焼きそば専門店「焼きそばは飲み物。」。前回紹介したニュー新橋ビル店の方が先にオープンしたが、実は池袋東口店の方が店の歴史は古い。前身は「やきそばる。」という焼きそば専門店で、さらにその前は「五坪」というカレー屋だった。いずれも「カレーは飲み物。」と同じ経営母体だ。

焼きそばは飲み物 池袋東口店

「焼きそばは飲み物。 池袋東口店」の店長・奥村哲也さんは、「やきそばる。」時代から同店を任されている。もともとは代々木八幡のバル「Vinok(ヴィーノック)」で腕を奮っていたイタリア料理のシェフだ。当時はイワシのコンフィをオリジナル焼きそばに乗せた「サカナソバ」などを提供していた。実はこの奥村さんが「焼きそばは飲み物。」の味を完成させた人物である。

池袋東口店 店長 奥村哲也さん

リニューアルした旧「やきそばる。」、現「焼きそばは飲み物。 池袋東口店」を訪れたのはオープン2日後の日曜夕方。カウンター6席ほどのこじんまりした造りは相変わらずだが、内装は新橋と揃える形で、だいぶ手を加えられていた。

焼きそばは飲み物 池袋 店内の様子

ベースの焼きそばはもちろん新橋と同じだ。当初、「やきそばる。」では「サカナソバ」に改良を加えた「サカナ塩やきそば」が注目されたが、やがて奥村氏は「焼きそばはトッピングより麺とソースが命」と開眼する。そこから理想の麺とソースの探求が始まった。そうして行き着いたのが自家製生蒸麺と自家製ソースだ。

焼きそばは飲み物 新橋店のソース説明

新橋店に貼られていた説明によると、爽やかな香りの甘口自家製ソースは動物性の脂を使わずに果物・野菜・香辛料のみで作られている。隠し味は南信州の「市田柿」とのこと。奥村さんによれば池袋で新橋の分も仕込んでいて、スパイスの調合も一から試行錯誤したそうだ。

スパイスを見せてくれた

麺は生麺を普通に茹でるのではなく、あらかじめ蒸して寝かせることで独特な歯応えと風味が生まれる。この麺を蒸すという工程はとても手間が掛かり、製麺所でもあまり引き受けたがらない。それを毎日自前で作業しているのだから恐れ入る。他店がもし真似ようとしても、きっと労力的に見合わないと判断されることだろう。

牛脂で麺を炒める

蒸し麺は茹でてから炒める。炒める際に使う脂は牛脂(ヘット)だ。具に使われている牛肉との相性を考慮してのことだが、それ以上にソースと牛脂が混じって乳化することで、求めているコクが生まれるそうだ。豚の脂(ラード)では、奥村さんが求めるコクや風味は得られないという。ここまでこだわったのが「焼きそばは飲み物。」のベーシックな焼きそばだ。この完成度があるからこそ10種の無料トッピングが活きてくる。

無料トッピングを3つまで選択可能

池袋東口店も新橋と同様に無料トッピングを3つまで選択できる。店頭の券売機で購入した「踊る! ソース焼きそば (並)」の食券を渡して、トッピングを指定。今回は「オススメ」と書かれた「1. スキヤキ卵」と、「6.パクチー」「7‥ワカメスープ」を指定してみた。

踊る! ソース焼きそば (並) 850円

新橋とは提供する際の鉄板の形・大きさが微妙に異なる。新橋は楕円だが、池袋は真ん丸でサイズはやや小さい。そのため盛り付けがうず高くなり、トッピング類もギュッと麺に被さる形になる。パット見、新橋以上に麺が見えない。大盛りや全トッピングだと、えらいことになりそうだ。

山のようにそそり立つ焼きそば

まずは麺だけで頬張る。蒸し麺ならではの歯ごたえと濃厚ソースのレベルの高さに驚く。次にベースのいろんなトッピングを混ぜつつ食べる。花鰹もピリ辛揚げ玉も牛肉スライスも、それぞれ異なる風味を焼きそばにもたらしてくれる。そしてパクチーと自家製ソースを一緒に頬張ると、それがエスニックな味わいに一変する。楽しい。

生卵で焼きそばは飲み物に近づく

スキヤキ風に溶き卵につけて食べると、ツルッとした喉越しと卵黄のコクが加わる。焼きそばは喉に詰まりやすいので、ワカメスープも嬉しい。焼きそばは飲み物ではない。しかし、生卵によって、焼きそばがいくらか飲み物に近づくのは間違いない。さらに飲み物に近づけてくれるのが「8.納豆ソース」だ。

納豆ソースでさらに飲み物へ

「8.納豆ソース」は再訪時に試してみた。ほんの少量でも完全に納豆の風味に制圧される。しかしそれがまた癖になる味わいなのだ。喉越しの滑らかさは生卵以上。ただ風味への影響力が大きすぎるので、投入するタイミングは半分以上食べ進めてからが良いと思う。

おそらく池袋店より新橋店の方が立地も良く、今後なにかと注目されることも多いだろう。ただ、それも奥村さんのこれまでの試行錯誤があってこそだ。味はどちらも同じはずだが、Vinok時代からの変遷を知る者としては池袋もぜひよろしくお願いしたい。