㐂多や

日本最北端の町・稚内では、あんかけ焼きそばを「チャーメン」と呼ぶ。その呼び方はオホーツク海沿岸の枝幸町の辺りにも、広まっているようだ。

枝幸町 北見枝幸駅跡

例えば、北見枝幸駅跡の目の前にある一級食堂。興浜北線の北見枝幸駅は、枝幸と同音の江差と区別するため、旧国名の「北見」を冠した駅だ。廃線になって久しいが、その駅前食堂として営業してきた店の、人気メニューの一つがチャーメンだ。

9月のシルバーウィークに、ここへ寄るつもりで枝幸まで足を延ばしたのだが、休業日に当たってしまった。これが二度目の訪問なのだが、二連続で振られて至極残念だ。まあ、またいつか来る機会もあるだろう。

枝幸町 食事処 㐂多や

代わりに訪れたのは「きたや(㐂多や)」という食事処だ。こちらも枝幸の人気店で、ランチタイムはほぼ満席。客席は丸テーブルが3つ、テーブル一つ。寿司を握るカウンターや、奥には座敷席もある。ちょうど帰ったばかりのテーブルに入れ替わりで着席できた。

食事処 㐂多や 店内の様子

メニューには寿司、定食、ラーメン、カレー、そばと、なんでも載っている。毛ガニの水揚げ量が多いことで有名な町だけあって、特に海鮮が良さげだ。カニチャーハンやカニ玉なんかの中華メニューにも目が行ってしまう。

食事処 㐂多や メニュー

注文したのはチャーメン(980円)と味噌ラーメン(850円)。チャーメンは醤油と塩があるとのことで塩を選択。あとから来た客が「塩チャーメン」と注文していたので、そういう指定方法が定着してそうだ。

チャーメン(鹽) 980円

10分ほどでチャーメンが運ばれてきた。器がでかい。直径23センチくらいで深さもある。その器にチャーメンが並々と盛られている。麺の様子を確かめようと箸で探ったら、餡の層がぶ厚い。食べる間に冷めないための配慮だろうか。

麺は中太で、焼き目しっかり

麺は中太で、焼き目をしっかり付けてあった。餡は指定通りの塩味。使われているスープには、ニンニクがしっかり効かせてあって自分の好みだ。

大粒なホタテの貝柱

具は豚肉、ホタテ、イカ、白菜、ニンジン、モヤシ、玉ねぎ、ピーマン、キクラゲ。大粒なホタテの貝柱と肉厚なイカの切り身が何個も入っており、それが軟らかくて実に旨い。野菜たっぷりなのも嬉しい。

酢とカラシで味変も

量が多いので、一緒に出された酢とカラシを使い、途中で味変してみたり。最後まで熱々で食べきる頃には汗だくになっていた。もちろん満腹。オホーツクの海鮮がふんだんに使われた、贅沢な味わいのチャーメンだった。

味噌ラーメン 850円

連れの味噌ラーメンの方も、スープを一口貰ってみたが良い味だった。和洋中、どれも美味しそうであれこれ試したくなる。

ちなみにこちらのブログ記事に北海道新聞の切り抜きの写真が掲載されている。それによると創業は戦前まで遡れるそうだ。

店の歴史は古く、戦前に樺太(サハリン)でそば店として創業。戦後引揚げ、1949年から江差で営業を続けている。

チャーメンはもともと醤油味で、あとから塩味が考案されたらしい。いかんせん、交通の便が悪いので再訪は難しいだろうが、いつか醤油味も食べてみたいなあ。

店舗情報住所:北海道枝幸郡枝幸町栄町469-1
営業時間: 11:00~14:00, 17:00~21:00
定休日: 不定休
ホームページ
主なメニューチャーメン(醤油・塩) 950円