ふきや 博多バスターミナル店

開けましておめでとうございます。2020年もよろしくお願いいたします。


昨年末に、3泊4日で九州北部への旅を慣行した。巡ったのは、博多・久留米・佐世保だ。例のKindle本の下巻のための調査が目的の旅だが、これまで訪問を果たせていない課題店もいくつか抑えた。

最初に訪れたのは、ふきやというお好み焼き店。創業して40年を超えるお好み焼きチェーンで、福岡市で数店舗を展開し、長らく市民の味として親しまれてきた。

博多バスターミナル

かねてより人気だった天神のビル地下店は、2019年の2月にビル解体のため閉店した。新たな旗艦店的存在は、博多バスターミナル店だろう。今回はそちらを訪れてみた。

ふきや 博多バスターミナル店

訪問したのは平日の午後1時近く。何人かすでに順番待ちの人がいる。名簿に名前と人数を記入しておくと、しばらくして名前を呼ばれ、注文を訊かれる。注文したのは焼きそば(600円)と、お好み焼きの肉玉(700円)、生ビール(550円)。なかなか来る機会のない店なので、焼きそばとお好み焼きを両方食べてみることにした。

ふきや メニュー

焼きそばは大盛り指定くらいしかできず、味付けや具のオプションはなし。肉玉は女性向けの小サイズを指定した。ここ、ふきやでは、お好み焼きは無料で大や特大を指定できる。その代わりといってはなんだが、女性客の場合は小さめのサイズを作るらしい。

生ビール 550円

名簿に名前を書いてから15分くらいで店内へ。カウンターに通され、すぐに生ビールが運ばれてきた。目の前の鉄板では、いかにもバイト始めたてという風情の女の子が、店長さんらしき男性スタッフに教わりながら、覚束ない手付きで焼きそばを焼いている。

たどたどしく焼かれる焼きそば

「もしかしてあれ、オレの焼きそばなのかな」と思ったら、出来上がった焼きそばを手に「賄い、いただいてきまーす」と去っていった。なるほど、賄いだったのね。微笑ましい一コマだ。

バイトに教えていた店長さんらしき男性スタッフの仕事ぶりは、見ていて気持ち良い。本人の動作がテキパキしているのはもちろん、注文が次々と入る中、落ち着いて従業員やバイトに的確に指示を出している。私の焼きそばはその方が焼いてくれた。

焼きそば 600円

熱した鉄板に油を引いて、イカ・肉を置く。えびは入らない。麺をひと玉乗せ、ほぐし炒める。魚粉を振りかける。キャベツとモヤシを加え、混ぜ炒めてソースで味付け。盛り付けて青のりを振り掛けて出来上がりだ。

ボリュームはほどほど

麺は平打ちの茹で麺で、パッと見は細いうどんにも見える。あまり腰のない、しなやかな柔らかさだ。青森・黒石市の平打ち麺や、四国・四万十市、はまや製麺の麺に似ている。福岡では、うどんも柔らかめのが好まれるから、こういう麺質なのかな。

平打ちのしなやかな麺

味付けはあっさりしたソース味。焦げと魚粉とがないまぜになった、ざらっとした黒い粒々が、食感にアクセントを加えている。具の中では、大ぶりに刻まれたキャベツの存在感が印象的だ。オリジナルマヨネーズを混ぜると、コクが増す。個人的にはソースのみが好みかな。

オリジナルマヨネーズを混ぜると、コクが増す

ところで博多に「博多 うま馬」というラーメン屋がある。この日の夜にたまたま通りかかって、「昭和15年から平べったい麺やってます」との宣伝文句が目に入った。

昭和15年から平べったい麺

めし通の記事によると、博多のラーメンは今のような極細麺ではなく、もともとは平たい麺だったらしい。

そういえば北九州市戸畑の貫太郎が使っていた戸畑チャンポンの蒸し麺も、平打ち気味だった。福岡と同様に北九州も平打ち麺が主流だったの可能性もある。

ふきやの麺が平たいのもその辺の名残りなのだろうか。焼きそばはラーメンに比べて、良くも悪くも流行とは無縁だ。そのため昔の麺の特徴がそのまま受け継がれていたりする。そんな風に焼きそばの歴史を追うと、失われたラーメンの歴史が垣間見えることもあって、実に面白い。

閑話休題。焼きそばを食べ終えたあと、だいぶ経ってから肉玉が出てきた。オーダーの伝達ミスもあったのか、入店から30分以上掛かった。

小サイズを指定したが、そうとは思えない大きさだ。一般の店なら普通サイズだろう。ふきやのお好み焼きは、「腹に溜まる」「ボリュームが凄い」と評判だ。他の客が注文した特大サイズを横目に見たが、たしかにあれは満腹になる。

肉玉(小サイズ) 700円

生地はキャベツと小麦粉がぎっちり詰まっていて、フワッと感はなし。厨房では大きなボウルに刻んだキャベツと小麦粉を次々と投入し、混ぜて生地を作っている。それを鉄板に広げて焼く際、思いっきり上から抑えるため、密度が高い。噂に違わぬ食べ応えである。しかし、その記事が美味い。

ぎっしり詰まった生地が美味い

ソースも甘口のオリジナルマヨネーズも、生地の味わいの引き立て役だ。しっかり焼かれて肉はカリカリ。ベーコンをカリカリに焼いたような凝縮された旨味を感じる。大阪や広島とは全く異なる方向性のお好み焼き。こういうアプローチもあるんだな。

お会計は1850円。食べ過ぎて胃が重い。しかし来てよかった。地元密着型のヘビーなお好み焼き。今日もテキパキと焼かれ、福岡市民の胃袋を満たしていることだろう。