Great Wall Restaurant (アメリカ - ニューヨーク)

いきなりだが、YoutubeにアップされているこちらのChow Meinのレシピ動画を見て欲しい。途中から再生されるようにしてあるので短時間で済む。

もう一つ、次の動画も同じく、Chow Meinのレシピ動画だ。ただし、それぞれEast Coast StyleあるいはEastern Styleとタイトルに入っている点に注意してほしい。

お分かりいただけただろうか?

ご覧いただいたようにアメリカ東海岸の一部では、たっぷりの白飯セロリなどを使った中華餡を掛け、わずかな揚げ麺をトッピングしたものを、「Chow Mein(炒麺)」と呼んでいる。New York Timesのこちらの記事では、親切なアメリカ人が中国から来たばかりの厨師に「Chow Meinとはこういうものだ」と教えるエピソードが紹介されている。そこにもちゃんとrice(ご飯)が含まれている。

NY TimesのChow Meinの記事

この事実を初めて知った時は、私も「なんだそりゃ」と驚いた。ここまでくるともはや麺料理ですらない。あんかけご飯=Chop Sueyに、前回紹介したMein gon(短くて太い揚げ麺)が組み合わさったのだろうとは思うが、歴史的な経緯は不明だ。実は今回、ニューヨークまで足を延ばした最大の目的は、このEast Coast StyleのChow Meinだったりする。2日目の夜に早速食べに行ってみた。

Great Wall Restaurant, Chinatown, NYC

向かったのはチャイナタウンの外れにある、Great Wall Restaurantという中華デリ。夜10時近く。マンハッタン島の夜風が冷たい。先客が2人いたが、2人ともここの店員らしい。食べているのはまかないだ。途中で見かけた店はポツポツ客がいるところもあったけど、ここは割と暇らしい。

Great Wall Restaurant 注文カウンター

ニューヨーカーでもご飯のChow Meinを知らない人は多いようだ。他の店だが、口コミサイトのYelpで「注文と全く違う品が出てきた」と怒りのレビュー投稿も見かけた。恐らくこの店でも同様のクレームがあったのだろう。メニューのChow Meinの欄にはわざわざ “Not Noodle”、”w. White Rice”と書いてある。丁寧なことだ。漢字表記でどう書かれるのかを知りたい。

Great Wall Restaurant Chow Mein menu

カウンターでHouse Special Chow MeinのSmall($6.75)とペプシコーラを注文し、会計を済ませてテーブルで待つ。しばらくして呼ばれた。トレイには注文した品に加えて、フォーチュンクッキーとポテトフライらしきものが入った小さな紙袋が付いてきた。

House Special Chow Mein(Small/$6.75)

サイズはSmallを指定したのに、渡された容器はずっしり重い。開けると米が2合くらい盛ってあった。この街はみんなどこか狂っている。いや、問題はそれではない。なんと、揚げ麺の姿が全く見当たらない。これではただのあんかけご飯、中華丼ではないか。もしかしたらこの店はこういうスタイルなのだろうか。頭に疑問を抱きつつ、もぐもぐ食べ始める。

揚げ麺がないだと……?

具はチャーシュー、鶏肉、エビ、玉ねぎ、モヤシ、白菜。味付けは醤油ベースで八角と旨味調味料を利かせてある。トロミはあまりない。セロリも入ってない。ご飯はインディカ米で粘り気がなく独特な香りがする。日本の米に比べるとライトな口当たりで、思ったよりサクサク食べられる。これなら2合もいけるかも知れない。

揚げ麺がないのにChow Meinと呼べるのだろうか。そんなことを考えながら1/3ほど食べたところで、あの小さな紙袋に入ったポテトフライを思い出した。

この小さな紙袋を忘れていた

「アメリカは何にでも芋をつけるなー。正直そんなにいらないのになあ」なんて思いつつ、包みを開けてみる。中にはポテトフライではなく、なんかクラッカーみたいな揚げ菓子が入っている。

……あ、そういうことか!!!!!

なるほど、これが揚げ麺か。この店はこうやって別添えで付いてくるんだな。って、絶対に分からんわ、そんなん! ふざけんな! Are you kidding me? ご飯にバラバラっと広げて、これでようやくEast Coast Style Chow Meinが完成した。万歳!!

この小さな紙袋を忘れていた

中華丼に似たあんかけご飯だが、この揚げ麺が加わることで味わいが一変……しない。するわけがない。混然一体になるかと思ったが、あまり餡にとろみがないので期待したほどでもなし。たぶんアメリカ人はこのクリスピーな歯応えが好きなんだろうけど、そこはあまり共感できない。もともと味は悪くないのだが、量が多いため半分くらいで食べ飽きてきた。食べ比べるつもりで他に2軒くらいリストアップしてあったけど、どこもこんな感じだろうし、もういいかな……。

うむ、揚げ麺を乗せても味はそんなに変わらない

屋号の通りGreat Wallばりの2合というご飯をどうにか完食。ホテルへ戻って成田空港で購入した太田胃散を服用した。もしニューヨークで人と違う体験をしたいなーと思ったら、このChow Meinを試してほしい。沖縄でチャンポンを注文したのと似たような経験ができることだろう。ちなみにフォーチュンクッキーのお告げは、「There is a prospect of a thrilling time ahead for you.」だった。

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Wo Hop (アメリカ - ニューヨーク)

ゴールデンウイーク+αでアメリカ東海岸のニューヨークとボストン、それとカンザスシティへ行ってきました! というか、まだいます! ネタが溜まっているから週三回ペースで更新したいけど、清書する時間がないという……とりあえず現地から一本目の更新でーす。


昨年ロサンゼルスへ行くきっかけになったBABYMETALのUSツアーが今年も始まる。今回のツアーはアメリカの中央から南部が中心で大都市での開催はない。ちょっと迷ったが、ゴールデンウィーク明けすぐのUSツアー初日には行ってみたい。そんなわけで3/1にチケットを確保したあと、アメリカ東海岸の焼きそば食べ歩きと組み合わせた旅を、具体的に計画しはじめたわけであーる。

ニューヨークいってきましたの図

ゴールデンウィークが始まった4/28(土)に早速、旅に出発。成田から13時間のフライトを経てニューヨークに到着した。初日の夕食に訪れたのは、マンハッタンの中華街にあるWo Hopという中華料理店だ。

ニューヨークの中華街

Wo Hopは24時間営業で地元の人気店。午後8時くらいに訪れたら、順番待ちの列が外にまで伸びていた。空腹なうえに時差で眠いので別の店で済まそうかとも考えたが、ホテルから割と近いので少し時間を置いて再訪することに。2時間ほど経った夜10時過ぎ、店内は満席だが、順番待ちの列は消えていた。

Wo Hop, Chinatown, NY

店員に言われてドアの外で待っていると、あとから地元のご夫妻がやってきて、いろいろ話し掛けられる。今日ニューヨークに着いたばかりだと話すと、「この店を選んで正解よ」とのこと。しばらくして店内へ。先ほどのご夫妻と隣り合って座ることになり、いろいろ気遣っていただいた。

Wo Hop メニューの一部

さて、メニュー。一般的な中華料理が並んでいるが、Chow Meinは無印と”Canton Style”の2ブロックに分かれている。アメリカでChow Meinというと、両面をしっかり焼く”Pan Fried”や、カリカリに揚げた”Deep Fried”あるいは”Crispy”がある。西海岸では後者を「HK(Hong Kong) Style」と呼んでいたが、東海岸では違うのだ。”Canton Style”は「Pan Fried」。そして……

中国人のいるところ、青島ビールあり

「Roast Pork Chowmein($9.75)、それと青島ビールをください。
「Chow Mein は Old Styleですか? それともCanton Styleですか?」
「”Old Style”でお願いします」

Roast Pork Chowmein(Old Style) $9.75

そんなやり取りをして数分後。こんもり盛られた楕円の皿と、カラシの入った皿が運ばれてきた。パッと見はただのあんかけ焼きそばだ。餡の具はチャーシューの短冊切り、モヤシ、セロリ、ニラ、玉ねぎ。パプリカもちらっと入っている。味付けはは醤油ベースでやや甘め。粘度は低め。

スナック菓子に似たMein gon(面干)を使用

そして何より特徴的なのが麺だ。4~5センチほどしかない、短くて太い揚げ麺で、麺というよりはプリッツなどカリカリのスナック菓子に近い。現地ではMein gon (面干 miàn-gān)、あるいはCrunchy Noodles、Crunchy Chow Meinと呼ばれているらしい。

滲みたとこが美味しい

食器は箸でもフォークでもなく、スプーンを渡された。何もかもがユニークだ。カリカリした麺も、ほんのり餡が滲みてしんなりした部分もそれぞれ美味い。付け合わせのカラシも使ってみた。大したことなかろうと思ったが、しっかり辛く、つけすぎてむせた。

カラシが咽る辛さ

この何とも変わったChow Meinだが、思い出すのはLa Choyという食品メーカーの製品だ。同様の品を缶詰にしてChow Meinという名で販売していて、アメリカでは割と普及しているらしい。Facebookで知り合ったアメリカ在住の知人が、以前その商品=麺と具の缶のセットを送ってくれた。

味の方はまあ、なんというかスナック菓子にレトルトの中華丼の元を掛けたような感じで、正直そこまで美味しいものではない。ただ1960年代に「La Choy Dragon」というキャラクターを使ったテレビCMを盛大に打ったおかげで、アメリカでの知名度は高い。

恐らくそのLa Choyの商品が、ニューヨークのこのスタイルが普及したきっかけなのだと思うのだが、残念ながらただの推測で確証はない。それにしても、こんなに変化した品がまさか「Old Style」と呼ばれるまでになるとは、Chow Meinをアメリカにもたらしした中華系移民も予想しなかったろうなー。

山盛りのChow Meinを食べ終えて満腹。ご夫妻に挨拶して席を立つ。ビールも併せてお会計は14.15ドル。チップ加えて16ドル。安い。全くもって炒麺らしからぬChow Meinだが、実はこれでも炒麺の名残を留めている方なのだ。次回は留めていない品を紹介しよう。

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お好み焼 みかさ (神奈川県横浜市)

先日、戦前の名残を留める人形町のお好み焼き店、松浪を紹介したが、さらにもう一軒、貴重なお好み焼きが提供されている店を見つけた。横浜は野毛にある、老舗お好み焼き店、みかさだ。

野毛 お好み焼 みかさ

松浪でご一緒していただいた『お好み焼きの戦前史』の著者、近代食文化研究会さんを今回もお誘いし、その野毛のお好み焼き店・みかさを訪問してみた。

お好み焼 みかさの来歴

訪れたのは土曜日の昼下がり。浅草の染太郎を彷彿とさせる店構え。店頭の来歴で「風流お好み焼」と添え書きされている辺りも染太郎を思い出させる。創業は昭和28年(1953年)。『関西風でも広島風でもない『みかさ風お好み焼き』を』という謳い文句にワクワクしつつ入店。

お好み焼 みかさ 店内の様子

店内は落ち着いた雰囲気だ。畳敷きの座敷が左右にあり、天板が鉄板になっている座卓が2卓ずつ置かれている。掘りごたつではないが、座卓なので腰掛けるのが楽だ。先客が1組いて、生くじら焼きしゃぶなどでワイワイやっていた。

お好み焼 みかさ メニュー

こちらがお好み焼きのメニューだ。見慣れた品もあれば、「え? なにそれ?」という品もあり。その幾つかは既に絶滅したと思われていた、まさに生きた化石のようなお好み焼きなのだ。近代食文化研究会さんは、たぶん日本で最もこの凄さが分かる人なのではないかと思う。

しょうがてん 660円

まずは生ビールで乾杯して、小手調べに「しょうがてん(660円)」を注文。小麦粉を溶いた生地と紅生姜が入った、小さめのホーローカップが運ばれてきた。量は少なめでシンプルな構成だ。よーく混ぜて、熱した鉄板に広げる。この小麦粉の生地には揚げ玉とキャベツが既に入っているらしい。両面が焼けたらソースを塗り、青海苔を塗して出来上がり。

爽やかな生姜の風味

爽やかな生姜の風味と軽やかな口当たりが特徴的な、乙な味のお好み焼きだ。ソースは濃厚ソースもウスターソースがあり、どちらもサフランソースの製造元に特注しているオリジナルソースだとか。その辺にも老舗ならではのこだわりがありそうだ。

もちしゅうまい焼き 620円

続いて「もちしゅうまい焼き(620円)」。「しゅうまい」は戦前のお好み焼き店でおなじみのメニューだったらしいが、今は浅草の染太郎くらいにしか残っていない。時を経て染太郎では「しゅうまい天」というメニュー名になったが、『お好み焼きの戦前史』によると本来はあくまでもただの「しゅうまい」らしい。「しゅうまい」に「天」がつくはずがない、という理由については『お好み焼きの戦前史』をお読みあれ。

もちしゅうまい焼きの作り方

「もちしゅうまい焼き」を注文したら細長く切った餅が4本と具、小麦粉の生地の入ったホーローカップが運ばれてきた。具はエビ、ミンチ、キャベツ、玉ねぎのみじん切りだ。「え、これどうするの?」と思われるかも知れないが、作り方が書かれた紙も渡されるので安心して焼こう。

もちしゅうまい焼きの制作過程

まずは具を炒める。餅で囲んだ枠に少量生地を垂らし、炒めた具を入れ、残りの生地を注ぐ。染太郎で食べたことがあるが、あちらに比べると具も生地も多い。そのためちょっと餅の枠からあふれてしまった。さらに火が強すぎて焦げてしまったのもご愛敬。お好み焼きはこういうものなのだ。

見事に焦げた、もちしゅうまい焼き

焼きあがった「しゅうまい」を4つに切り分け、醤油とカラシて食べる。肉とエビ、玉ねぎの風味で本当に中華料理のシュウマイっぽい味わいだ。ほんとお好み焼きって、不思議な食べ物だよなあ。ちなみに「もちぎょうざ焼き」はしゅうまいと材料が違うそうで、食べ方も酢・醤油・ラー油を使うそうだ。

のげ焼きの材料

次は「塩崎さんも焼きそばを」と促されて注文した「のげ焼き(820円)」。他の焼きそばを差し置いて、敢えてこの「のげ焼き」を選んだ。運ばれてきたのは通常の焼きそばの材料。そして生玉子が二つ割られた丼だ。

麺を細かく刻みながら炒める

焼きそばの麺はやや黄色味を帯びた蒸し麵。その上にミンチとラード。下にはキャベツとモヤシが隠れている。熱したラードを引いて、ざざっと広げ焼きそばを作り始める。この時、そばめしの要領で麺を細かく刻みながら炒めるのが、みかさの「のげ焼き」の肝なのだ。

焼きそばを生卵とかき混ぜます

あらかた火が通ったところで、塩と胡椒、ソースと味の素で味付けして、麺を刻んだ焼きそばの出来上がり。その焼きそばを生卵の器に入れ、よーくかき混ぜる。混ぜたったらそれ鉄板に広げて焼く。要は焼きそばの玉子綴じだ。同様の品は、新梅田食堂街の「きじ」が提供しているモダン焼きや、和歌山県御坊のご当地グルメ「せち焼き」が知られている。しかし、まさか関東でも昔から食べられているとは思わなかった。

のげ焼き=焼きそばの玉子とじ

食べてみるとソースの味わいに玉子のまろやかさが加わって、すこぶる美味しい。フワフワの玉子と、モチっとした麺の食感も面白い。近代食文化研究会さんにも好評だった。ソース焼きそば入りの玉子焼き、もっと流行っても良いな。

焼きそば入りの玉子焼き、のげ焼き

女将さんの話によると、こちらのみかさは東銀座の歌舞伎座の近所にあったお好み焼き店を参考にして創業したそうだ。その店では「銀座焼き」という名で同様の品を出しており、それに倣って「野毛」の地名をつけて「のげ焼き」としたらしい。つまり昭和28年よりだいぶ前から、焼きそばを玉子で綴じて焼く食べ方が東京には存在していたことになる。これは個人的にちょっと衝撃だ。東銀座の店の来歴が知りたい。

【追記】近代食文化研究会さんから公開後に教えていただいたが、染太郎では昭和12年の創業当時から「おかやき」という名前で同様の品を提供していたそうだ。まさかそんなに古くからとは思わなかった。情報ありがとうございます。

さらに1つお好み焼きを追加注文。選んだのは「干しいかてん(700円)」。小麦の生地と紅生姜の間に、切りいかとも呼ばれる糸状に加工されたスルメが挟んである。

干しいかてん 700円

じゃりン子チエで堅気屋のおっちゃんがお好み焼きのレシピを滔々と語る回があるが、あのレシピにも使われていたのがこの細ーいイカだ。よーく混ぜて焼いたが、形質状、干しいかが玉になってしまった。それでもイカの風味を感じてなかなか美味しい。焼き上がりの画像はしょうがてんや野毛焼きと大差ないので省略。

おしるこ焼き 500円

最後にデザートとしておしるこ焼き(500円)をお願いした。ホーローカップ生地の下にはあんこが隠されていて、角切りの餅が入っている。これをよーくかき混ぜて焼き、両面が焼きあがったら、シロップを掛けていただくのがこちらのお汁粉だ。焦げやすいので焼くときは気をつけよう。

餅入りクロンボにシロップ掛けて

お好み焼きの戦前史』に紹介されている「おしるこ」は、薄く焼いた小麦の生地を切ったり曲げたりして器を模写し、その中に餡子を入れたものだ。みかさのおしるこ焼きとはだいぶ異なるが、お好み焼きは自由なのが本質なので、いろんなタイプの「おしるこ」があったのだろう。なお餅が入っていないのは人形町・松浪と同じく「くろんぼ」と呼ばれていたそうだ。やはり政治的な配慮でメニューから消えたらしい。

サービスの柚子シャーベット

お会計をお願いすると、サービスで柚子シャーベットまで出していただいた。お酒もたくさん飲んで、一人3000円ちょっと。女将さんから他にもいろいろと貴重な話を伺えて、とても参考になった。ネットにはこちらの口コミも多々あるが、『お好み焼きの戦前史』を読んだ後に訪れてみると、こういう稀有な側面に気付くのではないだろうか。そういう食の楽しみ方も癖になりますよ。

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【テレビ出演】4/27 TBS系列『あさチャン!』

テレビ出演のお知らせです! 4/27(金)、TBS系列で放送されている朝の情報番組『あさチャン!』に出演します! 私が出る時間帯は7:40〜50くらいの予定だそうです。たぶん出番は僅かだと思いますけど、良かったらご笑覧くださいませ〜。

【出演番組】あさチャン[email protected]系列
【放映日時】 2018/4/27(金) 朝5:25〜
【公式サイト】http://www.tbs.co.jp/asachan/

あさチャン

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来集軒 (東京都台東区)

西浅草にある1950年(昭和25年)の創業の来集軒。ルーツをたどると東京最古の製麺所とも言われている1910年(明治43年)創業の来集軒製麺所なんだとか。ちなみに同年には東京ラーメンの元祖とも呼ばれる来々軒が同じ浅草で創業している。(実は来々軒より古い支那そば屋が浅草に存在していたが、それはいつか別の機会に触れよう)

西浅草 来集軒

来集軒を訪問したのは4月下旬の土曜日のお昼時。4月とは思えない暑さの日だ。国際通りから合羽橋方向に少し入った辺りに看板が出ていた。客席は4人掛けのテーブルが3卓と6人がけの楕円テーブルがひとつ。1人客は楕円テーブルの方へ案内される。開店直後のため先客は2人だけだったが、あとから続々と入って来た。詰めて着席、相席が当たり前のようだ。

来集軒 メニュー

さてメニュー。周りの壁には色紙がぎっしり貼られている。焼き餃子は無くてシューマイやワンタンがある。その辺りに戦前の支那そば屋らしい風情を感じる。こちらではシューマイが名物で、微塵切りの玉葱と片栗粉を混ぜた餡を使い、豚肉は使っていないそうだ。足利のシューマイに酷似している。卓上の大きな醤油刺しは中身がソースで、それを掛けて食べるらしい。

来集軒 卓上調味料

焼きそばはソース焼きそばやカタヤキがあるが、今回注文したのは台湾めん(850円)。台湾めんというと台南担仔麺や台湾牛肉麺、あるいは名古屋名物の台湾ラーメンを想像してしまう人が多かろう。しかしこの店の台湾めんは何故か焼きそばなのだ。

台湾めん 850円

似たような命名では小伝馬町・皆楽園の「上海麺」がある。しかしあちらはちゃんと「炒麺」に分類されていた。来集軒の場合は焼きそばと一言も書かれていないので注意しよう。と言ってる間に、注文から5分ほどで焼きそばの皿とスープが運ばれてきた。

塩味の中華焼きそばです

麺は手もみ風の平打麺。茹でたあとに水で締めているのか、ツルッとしたテクスチャでシコシコした弾力がある。具は豚肉、キャベツ、モヤシ、キクラゲ。てっぺんに刻んだチャーシューをトッピング。

味付けは塩味だが、かなり強め

ボリュームはほどほど。見た目の白さそのまんまで味付けは塩味だが、かなり強め。チャーシューも醤油の味わいが強く、おまけに脂もたっぷり。ギトギト、ガッツリした塩焼きそばだ。

台湾的な要素が全然見当たらない

豚肉とチャーシューの両方使いというのも、ちょっと珍しい。食べていると喉が乾いてくるが、今日みたいな暑い日はこの濃いめの味付けが一層美味しく感じる。ただ台湾的な要素が全然見当たらないのは気のせいだろうか。ま、それが面白い点なのだが。

付け合せのスープは油膜が張ってます

付け合せのスープはネギを浮かせた醤油味。湯気が立ってないので温いのかと思ったら、油膜が張っているだけだった。レンゲがないので直接唇を付けて啜ったら、あやうく火傷しそうになった。あぶないあぶない。

食べ終わってお会計。帰る頃にはほぼ満席になっていた。あとから来た客のうち2組が「ソース焼きそば2つとシューマイ」を注文していた。うーん気になる。次回来ることがあれば、自分もソース焼きそばとシューマイにしてみようっと。

【2018.04.23追記】なお、来々軒が来集軒製麺所の麺を使っていたのでは、という説もあるが、それは誤り。『お好み焼きの戦前史』からの孫引きになるが、『にっぽんラーメン物語』で来々軒の三代目尾崎一郎が、来々軒の製麺方法は青竹を使って伸ばす方式だったと証言している。

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からくさや 両国店 (東京都墨田区)

一日遅れとなりました。今週分の記事でございます。どーぞー。


「ペヤングにベビースターをトッピングすると激ウマ」。そんな噂を耳にして、先日実際に試してみた。うむうむ、確かにウマい。ペヤングを提供している店をこれまで何件か紹介したが、こういうアレンジも面白い。

ところで博多にもベビースターラーメンをトッピングした焼きそばならぬ焼きラーメンを提供している店がある。屋台をルーツにしたKenzo Cafeという店で、モツ鍋なども評判とのこと。そして今回紹介する東京の「からくさや」でも、そのKenzoスタイルの焼きラーメンが食べられるのだ。

墨田区石原 からくさや 両国店

基本的にご当地ものは現地で食べる主義なのだが、ベビースターとの相性がどんなものか確かめたくなり、訪問することに。からくさやは墨田区の石原にある。最寄り駅はJR総武線の両国駅か、地下鉄の蔵前駅なのだが、どちらからもかなり歩く。

そうですか、プレミアムモルツですか

日曜の夜に訪問。直前の誘いにも関わらず塩見なゆさんが来てくださった。19時過ぎに入店。店内は結構混んでいる。とりあえずビールで乾杯。プレミアムモルツを飲むの、久しぶりだなー。

お通しのもろキュウ

お通しはもろキュウ。キュウリというと夏のイメージだが、血圧が気になるおっちゃんとしては嬉しい。シャクシャクと齧りながら、メニューを物色。

からくさや メニュー

実は1軒目に近所のペーパームーンでハワイ風焼きそばをつまみに軽く飲んできた。あまり品数を頼めないが、とりあえず名物のモツ鍋は外せまい。1人前(1050円)から注文できるのが嬉しい。

モツ鍋 1人前 1050円

鍋がセッティングされ、カセットコンロ着火。だいぶ温まってきた頃に天辺にトッピングされたニンニク味噌を豚骨スープに溶かす。キャベツ、モツ、ニラが良い感じで煮えてきた。塩見さんが片口に取り分けてくださったのを早速いただきます。

モツ鍋 1人前 1050円

モツは厚みのあるシマチョウ。脂がプルプルと震えている。頬張ると口の中で溶けた。味付けはやや濃い目だが、キャベツやニラに滲みるとちょうどよい塩梅になる。ニンニクの欠片も余さずいただいた。

焼そばに見えるばってん焼ラーメン

男梅サワーとか酎ハイレモンなどお代わりして、お次は目的の焼きラーメン(750円)。店内のポスターには「焼そばに見えるばってん焼ラーメン」とある。こちらのオーナーさんが件のKenzo Cafeの前身の屋台で修業されていた。その縁で同じスタイルの焼きラーメンを提供しているそうだ。

焼きラーメン 750円

しばらくして濛々と湯気を立てた鉄板が運ばれてきた。博多ラーメン用の細いストレート麺と豚肉・キャベツ・ニラ・モヤシが炒めてあり、紅生姜・生卵、そしてベビースターラーメンが乗っている。ベビースターはわざと砕いてあるのか、一本一本が短い。

食べる前によーく混ぜる

「食べる前によーく混ぜてください」との店員さんの言葉に素直に従い混ぜてみる。生卵が鉄板の熱で半熟気味に固まった。ベビースターもしんなりしてくる。焦げたキャベツも食欲をそそる。

味付けは意外なくらい甘い

味付けは意外なくらい甘い。焼きラーメン発祥の店、天神の小金ちゃんではソースの風味が強かったが、こちらの焼きラーメンはだいぶ異なる味わいだ。しっかり混ぜ過ぎたせいか、ベビースターのカリカリした食感は薄れてしまったが、なかなか乙な味だった。

目的の品を平らげたところで、さっくりとお会計。ここからまさかもう2軒ハシゴするはめになるとは、さすが塩見さん。ついつい釣られてご相伴してしまったが、翌朝が結構きつかった。

ちなみに北海道の帯広にも焼きラーメンの文化がある。博多のそれと食べ比べてみるのも一興だろう。機会があればお試しあれ。

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丸長 新井薬師店 (東京都中野区)

東池袋大勝軒の山岸一雄氏を輩出したことで知られる丸長のれん会。もちろんつけ麺(つけそば・もりそば)が同会の名物なのだが、基本的につけ麺専門店ではなく大衆中華だ。しかものれん分けなので各店の裁量が大きく、つけ麺も他のメニューも店ごとに個性がでる。(丸長のれん会の歴史については、刈部山本さんが現会長にインタビューしたこちらの記事が分かりやすい)

そして中には焼きそばを置いている店も存在する。実は以前、丸長のれん会で焼きそばを提供している店を総ざらいしたことがある。これがその一覧だ。

丸長のれん会 焼きそば系メニュー一覧

調査時点で既に閉店してある店は調査対象から外した。焼きそばを提供している店自体があまり多くない。提供していてもソースやあんかけ、カタ焼きそばなどタイプは店ごとに全くバラバラだった。ただ大勝軒を名乗る店はソース味が多いという、そんな傾向はある。そしてこの調査の結果、焼きそばを置いている現存店で創業年数が最も古いのが丸長新井薬師店だと分かった。

丸長 新井薬師店 外観

丸長新井薬師店(薬師丸長)は西武新宿線・新井薬師前駅の南口を出たすぐ目の前にある。昭和29年創業。カウンター7席だけのこじんまりした店だ。2つ離れた駅に住む私は、学生の頃からちょくちょくつけ麺(この店では「つけそば」)を食べに寄らせてもらっている。

つけそば 600円

もともとこのエリアは中野大勝軒・中野栄楽・野方大勝軒・沼袋丸長など、丸長のれん会の店が多かった。つけ麺が食文化としてしっかり根付いていて、私もそれらの店でちょくちょくいただいた。残念ながら次々と閉店して、今では中野大勝軒と丸長新井薬師店くらいしか残っていないが、今でも客は十中八九、つけ麺を注文する。

丸長 新井薬師店 メニュー

そんな丸長新井薬師店で敢えてヤキソバ(700円)を注文してみた。これまで私もここではつけそば(600円)しか食べたことがないし、他の客が焼きそばを注文しているのも見たことがない。

丸長 新井薬師店 カウンターの調味料

注文を受けて店主は食材を皿に準備した。熱した中華鍋に油を引き、キャベツ、人参、茹でた麺を順次投入。味つけしつつ混ぜ炒め、最後にチャーシューを入れ、少し炒めてできあがり。

ヤキソバ 700円

麺は太麺。この店で何度も食べているつけそば用の麺だ。焼きそばも茹でたあとに水で締めているらしい。しなやかなコシがあり、モチモチ・シコシコした食感。ボリュームもたっぷり。つけ麺は麺が美味しくなくちゃ始まらないもんなあ。

つけそば用の太麺を使用

麺が主体で、具はシンプルかつ少な目という印象。使われているのはチャーシュー、キャベツ、人参だけで、青のりも紅生姜もない。味付けは醤油系かと思ったが、まさかのソース味。それもかなり濃厚なガッツリ系だ。甘味も酸味も強く、スパイスもほどよく利いている。

味付けはかなり濃厚なソース味

量が多く味も濃いため苦手な人もいるかも知れないが、麺自体が美味しくて私はスルスルと平らげることができた。ネギ入りのあっさりスープも美味しかった。注文時に餃子も頼もうかと思ったが、焼きそばだけで満腹だ。

付け合せのスープはあっさり風味

意外にもソース味の焼きそばでちょっと驚いたが、モチモチ麺が印象的な一皿だった。メニューの中ではつけ麺が断トツ人気で、次がラーメン系だろうけど、機会があればぜひ焼きそばもお試しあれ。たぶんビールにも合うはずだ。

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松浪 (東京都中央区)

「お姉さん、『くろんぼ』一つ!」

ポリティカル・コレクトネスとしては完全アウトな台詞を、お好み焼き屋で口にする私。そこに至った経緯から話そう。

今年1月に『お好み焼きの戦前史』という衝撃的な本に出会った。戦前の膨大な文献を収集・整理してお好み焼きの歴史を詳らかにした一冊で、これまでの定説を幾つも覆している。もちろん焼きそばも大いに関わっており、私がこれまで食べ歩いた経験を重ねて読むと、目からウロコがボロボロ落ちた。Kindle版のみという点に抵抗がある人もいるかも知れないが、お好み焼きの歴史に興味がある人は必読と言えよう。

昭和26年創業 人形町 お好み焼き 松浪

著者は近代食文化研究会さん。会を名乗っておられるが実質は個人のようで、Twitterでも日々やり取りをさせていただいている。それに触発されて書いたのが先日の長文コラム『支那料理屋のヤキソバ考』だ。そのうちに一度ぜひとも直接お会いしてみたくなり、ここ人形町のお好み焼き店・松浪で対面することになったのだ。本を勝手に宣伝しつつ、その日の様子をお伝えしよう。

人形町 松浪 看板

ここ松浪の創業は昭和26年(1951年)。昭和27年に砂糖と小麦粉の統制が解除される、その前年だ。2016年12月にリニュ―アルしたそうで、店舗は真新しい。ただ畳敷きの座敷に鉄板を設えた卓袱台が並ぶ光景は、恐らく往年とそれほど違わないだろう。まずは初対面の挨拶を交わして、ビールで軽く乾杯。

松浪 お好み焼メニュー

さて、この店には戦前のお好み焼き屋で提供されていたメニューがいくつも残っている。近代食文化研究会さんも「まさか今でもあるなんて」と驚くほど。冒頭で述べた「くろんぼ」もそうだし、最初に注文した「キャ別ボール(800円)」もその一つだ。

キャ別ボール 800円

「キャ別ボール」はここだけの独特な表記で、通常は「キャベツボール」と書く。高見順『如何なる星の下に』で惚太郎(浅草・染太郎がモデル)の品書き一覧にも出てくる料理だ。池波正太郎は「キャベツと揚げ玉を炒めたもの」と証言しているが、ここ松浪ではキャベツと和牛そぼろが出てきた。

キャ別ボール 800円

店員の女の子に作り方を訊くと、「ラードを引いてキャベツに火が通るまで混ぜ炒めてください」との答え。肉に味が付いているので、ソースなどは足さなくて良いとのこと。言われた通りに作ると、ものすごーくシンプルなキャベツと牛挽肉の炒め物が出来上がった。甘めに味付けされた和牛そぼろは、神戸市長田のスジコンにも通じる味わいだ。あまりの素朴さに二人とも思わず頬が緩む。

続いては「牛てん(800円)」。今はお好み焼きの品書きは「○○焼」や「○○玉」という表記が一般的だが、浅草の風流お好み焼・染太郎を始め、古い店は「○○天(てん)」という名前で提供している場合も多い。その理由が『お好み焼きの戦前史』の「天ものの謎、とける」という節に実に明快に書いてある。興味のある方はぜひ読んでみて欲しい。

牛てん 800円

こちらの牛てんはお椀サイズの器で出てきた。底にキャベツの千切りが敷かれ、小麦粉を水で溶いた生地がそれを覆い、見覚えのある和牛そぼろが乗っている。お前、さっきもいたよな。鉄板にゴマ油を引き、生地と具をよく混ぜて丸く広げる。現代は大阪で流行したせいか厚く焼くのが好まれるが、恐らく戦前のお好み焼きは熱効率を考えても薄かったのではないかと思う。

牛てんは混ぜ焼きです

ところでお好み焼きの歴史というと、大阪風の「混ぜ焼き」と広島風の「のせ焼き」のどちらが先だったかが議論されがちだ。しかしそれについても『お好み焼きの戦前史』の「具は混ぜて焼くか、のせて焼くか」という節に、当時の証言付きで結論が書かれている。その点だけでもこの本は読む価値があると思う。

ウスターソースの酸味が利いてます

焼きあがったところにウスターソースを塗り、青海苔を振りかけて出来上がり。これも素朴な味わいだ。生地に山芋でも混ぜてあるのか、さくっとした食感。酸味勝ちのウスターソースと甘めの肉そぼろであとを引く美味しさだ。

ソースはウスターソースのみという潔さ

ちなみに「とんかつ」や「お好み焼き」用として親しまれている濃厚ソースは、戦後の昭和23年(1948年)にオリバーソース社が初めて販売した。中部以東でお馴染みの中濃ソースはさらに時代が下ってから。この店はウスターソースしか置いていないが、創業した年代的には正しいと言える。

食事・甘味メニュー

そしてお待ちかね、焼きそば(800円)だ。メニューには五目焼きそばも載っているが、敢えて無印の方にした。

焼きそば 800円

運ばれてきた皿には蒸し麺が乗せられ、その下にはキャベツとモヤシが敷いてある。蒸し麺の上にはいつもの和牛そぼろ、またお前か。それと微塵切りの紅生姜。これも熱した鉄板にラードを引いて、ざっと食材を広げて適当に炒める。

見た目は今の焼きそばとほぼ同じ

あらかた火が通ったところでウスターソースのみで味付け。焦げたソースが香ばしい。青海苔を掛けて出来上がり。見た目は現代とほとんど変わっていない。というか、終戦直後からのソース焼きそばを散々食べているから、自分が見慣れているだけかも知れない。

後からソースを足すとちょうど良い塩梅に

食べてみると味付けが薄すぎた。完全に自分のせいだが、味付けが濃すぎて失敗するよりはましだ。後からソースを足すとちょうど良い塩梅になった。和牛そぼろの甘さと風味で、長田風のぼっかけ入り焼きそばっぽくもある。甘じょっぱく味付けした挽肉って万能なんだなあ。

あんず巻きは記事を細長く広げます

あれこれ話し込みつつ、デザートの甘味へ。まずはあんず巻き(650円)。近代食文化研究会さんがぜひ食べてみたいと仰っていた品だ。鉄板にゴマ油を引き、小麦粉の生地を細長い楕円状に広げる。

あんず巻き 650円

両面が焼きあがったら、その上にシロップ漬けのあんずと餡子を乗せる。餡子だけの「あんこ焼き」は今でも置いている店がちらほらあるが、あんず巻きは私も初めてだ。それをくるりと巻いて出来上がり。あんずの酸っぱさと餡子の甘さ、ゴマ油の風味で期待を超える美味しさだ。

包んだ姿が可愛らしい

このあんず巻き、実は2つ作ったのだが、私が作ったのはもう写真撮るのも憚られるほど形が崩れてしまった。まあ、失敗しても笑いながら問題なく食べちゃえるのが、お好み焼きの楽しさだろう。

くろんぼ 550円

そして最後に注文したのが冒頭の台詞にあった「くろんぼ(550円)」。注文すると水に溶いた小麦粉と餡子が、漆器の片口で出された。まずはこれをよーく混ぜる。たぶん混ぜあがった色がメニュー名の由来だろう。良いとか悪いとか、現代の基準で当時をはかるのはダメ、絶対。

小さめのパンケーキ状に両面を焼く

熱した鉄板にゴマ油を引き、小さめのパンケーキ状に両面を焼く。ただそれだけなのだが、食べてみるとさっぱりした甘さで今でも十分に通じそうな美味しさだ。普通に女性受けしそうなスイーツなのだが、名前が名前なので人に勧めづらいのが難点か。

これがくろんぼ、さっぱりした甘さ

なお、この「くろんぼ」だが、店によっては「エチオピア」という名前で呼んでいたそうな。その由来も『お好み焼きの戦前史』の「メモ:忘れ去られたお好み焼き3 エチオピア」という節に書かれている。そういうのが許される時代だったんだなあと感慨深くなるエピソードだ。

また『お好み焼きの戦前史』で述べられている戦前の定義に基づけば、この日食べた品は焼きそばもキャベツボールもデザートも全て「お好み焼き」である。なかなか受け入れがたい概念なのだが、説得力があって実に興味深い。

ビールも何本か飲んで、お会計は1人3000円ちょっと。氏の人となりや具体的にどんな会話をしたかは敢えて書くのを控えるが、とても濃密で示唆に満ちたお話を伺えた。自分も昨年から本を書きたいなんて言ってるけど、いよいよ本気で取り組みたいなあ。近代食文化研究会さん、ご一緒していただきありがとうございました!

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巨牛荘 石原本店 (東京都墨田区)

巨牛荘の石原本店を訪れたのはいまから8か月も前、昨年7月のことだ。だいぶ時間が経って今さらという気もするが、お蔵出し的にサクサクッと紹介しよう。

巨牛荘 石原本店

六本木や半蔵門にも店舗がある巨牛荘は、1977年(昭和52年)創業の人気焼肉店。石原本店の最寄駅は両国駅や蔵前駅だが、どちらからも徒歩で10分くらい掛かる。

まずはビールで乾杯

この日は4人で予約し、小上がりへと案内された。まずはビールで乾杯。後から次々と客が来たが、予約のないグループは何組も断われていた。人気ぶりが伺える。

巨牛荘 石原本店 メニュー

名物のプルコギやケジャンを始め、メニューには焼肉屋の定番が並んでいる。この日はアラカルトでいろいろ頼んだ。

ケジャン 2700円

こちらは巨牛荘名物のひとつ、ケジャン(2700円)。ワタリガニの韓国風醤油漬けだ。4つ割りにされたカニを加え、断面からチューチュー吸う。クリーミーで味付けは控えめ。良い前菜だ。

納豆ユッケ 1080円

こちらも名物、元祖を謳う納豆ユッケ(1080円)。肉は生食用の馬肉を使用しているとのこと。卵黄・納豆とよく混ぜていただいた。相性バッチリ。蛋白質の三重奏だ。

キムチ盛り合わせ 920円

キムチ盛り合わせ(920円)も外せない。良く漬かっていて箸休めというよりはツマミとして美味しい。

ハラミ(1250円)とタン塩(1400円)

焼肉はハラミ(1250円)とタン塩(1400円)。コンロに網を敷き、イイ感じで焼きあがったところを頬張る。こりゃ美味い。特にハラミが柔らかくて幾らでも食べられそう。処理が上手なんだろうなあ。

プルコギ(一人前・1500円)

そしてメインディッシュのプルコギ(一人前・1500円)だ。最初に3人前、追加で2人前、計5人前をいただいた。鍋はジンギスカンで使うドーム型の鉄鍋だ。

サンチュで巻いていただきます

プルコギは店員さんが焼いてくれる。焼きあがったプルコギはサンチュに乗せ、キムチを添えて巻いて頬張る。柔らかで美味い。甘辛のタレが後を引く。

うどん(1玉・330円)

〆にうどん(1玉・330円)を2玉注文。この焼きうどんが巨牛荘の真の一番人気らしい。焼いてくれた店員さんによると「プルコギよりもうどんが出ます」とのこと。

肉汁とタレで焼きうどん

うどんは鍋の周囲に溜まった肉汁とタレをしみこませながら、じっくり焼いてくれる。やがて出来上がった焼きうどん。熱々でゴマの風味が香ばしい。コシの無いモチモチ麺が実にうまい。この日はやらなかったがケジャンのタレやキムチを加えても美味しいそうだ。

コシの無いモチモチ麺

ジンギスカン風の焼肉の仕上げに焼きうどんを作るのは全国にある。例えば秋田県小坂町のホルモン幸楽や、京都府舞鶴市の八島丹山。先日紹介したホルモン千葉もそう。焼肉のこういう締め方は、肉の旨味を余すところなく味わえるのが嬉しい。

2時間ほどの滞在でお会計は一人6000円ちょっと。あー、美味しかった。ちなみに2軒目には私の案内で、すぐ近所にあるペーパームーンへと梯子して、ハワイ風焼きそばなどをいただいた。こちらも好評で満足満足。

巨牛荘 石原本店

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亀戸やきそば (東京都江東区)

亀戸に新しい焼きそば専門店が誕生した。その名も亀戸やきそば。3/12にオープンして、その3日後くらいに知り合いから情報が寄せられた。亀戸の辺りは意外と焼きそば専門店が無いエリアなので興味津々。早速その週末に行ってみた。

亀戸駅東口 亀戸やきそば

場所はJR亀戸駅の東口を出て、そのまま道沿いに東へ150mくらい歩いた右側だ。看板の亀のキャラクターが愛らしい。外に券売機があるのだが、たまたま故障しているタイミングで、店内で直接注文してくださいとのこと。

亀戸やきそば メニュー

店内は淡いピンクを基調とした若干ファンシーな内装だ。奥に長く、客席はカウンターが7席のみで、半分が埋まっていた。厨房は男女で切り盛りしている。注文したのは亀戸やきそば(並・680円)と本日のスープ、甘海老のビスク(100円)。合計金額を直接支払う。

亀戸やきそば 店内の様子

こちらでは生麺を使っている。茹で上げたのを鉄板ではなくフライパンで混ぜ炒めている。やがて「おまたせしましたー」の声。注文から配膳まで5分あまり。生麺を使っている店にしては早い方だと思う。早速いただきます。

まずカラフルな盛り付けが楽しい。やはりSNSでシェアされることを前提にしているんだろうなあ。

亀戸やきそば+本日のスープ

麺は中太の生麺。茹で時間を短めに抑えているのか、ホギ、モチっとした歯応えあるコシはなかなかのインパクト。店頭に「丸山製麺・謹製」という看板が掲げられていたので、そちらに特注しているのだろう。

亀戸やきそば 680円

味付けのソースは予想以上にスパイシー。短冊切りのキャベツもちらほら混じっている。焼きそば自体は生麺とキャベツを使ったオーソドックスとも思えるソース焼きそばだ。しかしこちらではトッピング類がそれを進化させている。

豚焼肉とスクランブルエッグが良い

最も特徴的なのは味の染みた豚焼肉。甘めに味付けされていて、ソースのスパイシーさとのコントラストが面白い。絶妙な火加減のスクランブルエッグも実に良い。

神保町みかさはわざと黄身を崩した目玉焼きで麺と玉子の一体感を作り上げているが、このスクランブルエッグも発想が面白い。調理の様子を見逃したが、あらかじめある程度の量を作ってあるのだろうか。

青海苔・揚げ玉・紅生姜

その他のトッピング、青海苔・揚げ玉・紅生姜も文字通り彩りを添えている。それにしてもカリカリの揚げ玉トッピングはすっかり定番だなあ。以前は、揚げ玉は一緒に炒めるのが当たり前だったのだが隔世の感がある。

ホギ、モチっとした歯応えある麺

全体のボリュームはほどほど。オリジナリティあふれて完成度の高い美味しい焼きそばだった。郡上八幡のまるみつに彩りや構成要素がちょっと似ているのが興味深い。甘海老のビスクもコクがあって良い箸休めになった。

青海苔・揚げ玉・紅生姜

食べている最中に持ち帰りも含めた地元のお客さんが次々やってきて、カウンターは満席に。年配のお客さんも複数いらっしゃっていたのが印象に残った。「ごちそうさまでしたー」と外へ出たら券売機は既に直っていた。

こちらの店主がどういう経歴で、どうしてこの焼きそばに至ったのか気になる。スクランブルエッグやビスクなどから推測するに、西洋料理に携わっておられたのではと思うのだが……。手が空いたタイミングを計って一言ご挨拶をさせていただくつもりだったが、お忙しそうなのでまた再訪の折にでも訊ねてみようっと。

【追記】
後日、再訪。お話を伺ったところ女性がこちらの店主さんで、余所でフレンチのシェフをやっておられる旦那さんが、焼きそばのレシピを考案したそうだ。開業当初に比べて麺のコシはやや抑えられ、モチモチ感が増していた。味付けもややマイルドになり、より完成度が高まっていた。この日も地元のお客さんが次々と訪れていた。

何度食べても美味しい

亀戸やきそば

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