Salem Lowe (アメリカ - セイラム)

前回、マサチューセッツ州フォールリバーという町のチョウメン・サンドイッチを紹介した。似たような品になるが同じ州のセイラム(Salem)という町には、チャプスイ・サンドイッチを名物にしている店がある。アメリカ式中華料理の代表的な料理、あのチャプスイのサンドイッチだ。

マサチューセッツ州 セイラム(Salem)

セイラム(Salem)はボストン中心部から北に25㎞ほどの距離にある。ボストンのNorth Stationから、Newburyport/Rockport Lineという鉄道でセイラム駅へとやってきた。この町では17世紀にセイラム魔女裁判と呼ばれる事件があったのだが、現在はそれを観光資源にしている。なんともたくましい。

干潟で貝を掘ってる人たち

駅に着いたらZagsterというアプリを使って自転車を借り、海岸沿いの自転車用ルートを伝って目的地へ移動。干潟では地元の人が貝を掘っていて、その周りには海鳥がお裾分けを狙っていた。長閑な港町の風景を眺めつつ自転車を漕ぐ。

Salem Willows Park, MA

セイラム・ウィローズ・パーク公園(Salem Willows)に到着したのは正午近くの時間帯だった。1858年に設立された公立公園でメリーゴーランドなんかも設置されている。地元では郷愁を唆るスポットとして知られているらしい。

セイラム・ロウ(Salem Lowe), Salem, MA

園内へ入ると広い駐車場になっていて、それに面して入り口から海岸までレストランや売店が一直線に並んでいる。突き当り少し手前の右手に店をかまえるセイラム・ロウ(Salem Lowe)が、今回の目的の店だ。夏期だけここで営業している中華料理の売店で、基本はテイクアウトだが、店内に飲食スペースもある。

セイラム・ロウ(Salem Lowe) メニュー1

メニューには昔ながらのアメリカ式中華料理が並んでいる。どの品の値段も安く、いかにも地元密着店という感じでお客さんがやってくる。Sandwichesの欄の筆頭にあるのが、ここの名物、チャプスイ・サンドイッチ(Ch. Chop Suey Sandwich $2.29)だ。

セイラム・ロウ(Salem Lowe) メニュー2

さすがにサンドイッチだけだとこのブログの趣旨から外れるので焼きそばもいただこう。サイドオーダーとして選んだのは一番小さなロースト・ポーク・ローメン(Roast Pork Lo Mein $2.24)。さらに缶のコカ・コーラ($1.12)も注文して、お会計は税込みで6ドルちょっと。うーん、安い。

こんなパッケージで渡されます

注文した品はすぐに出てきた。受け取って、適当なテーブルを探す。着席すると早速カモメが舞い降りてきた。獲物を狙う肉食獣の目だ。掠め取られないように注意しながらいただきます。

チャプスイ・サンドイッチ&ロースト・ポーク・ローメン

まずはチャプスイ・サンドイッチ。このブログでは何度も紹介してきたが、チャプスイはアメリカ式中華料理で、肉や野菜を炒めてとろみのついたスープを絡めた旨煮のこと。ご飯に掛ければ中華丼、揚げた麺に掛ければかた焼きそばだ。

Ch. Chop Suey Sandwich $2.29

ここのチャプスイの具はほとんどモヤシで、ほんの僅か、鶏肉も混じっている。メニューの正式名称 “Ch. Chop Suey Sandwich” の冒頭に”Ch.”って頭についてるのはチキンを指す。この量ではたしかに”Chicken”じゃなくて”Ch.”表記が相応しい。モヤシはぐずぐずになるまで加熱されている。しかし鶏出汁に塩味が程よく効いてて、これが実に美味い。

ほとんどモヤシ、わずかに鶏肉

バンズは表面カリッとしてフワフワやわらか。下側のバンズは、前回のチョウメン・サンドイッチと同じく、チャプスイに埋もれている。もちろんデロデロ。でもチャプスイとの相性はバッチリ。期待以上に良い味わいだ。人も食べ物も見た目やスペックで判断しちゃいかんね。

Roast Pork Lo Mein $2.20

ロースト・ポーク・ローメン(Roast Pork Lo Mein)は小さな紙の箱に入っている。映画やドラマでよく見るやつだが、こんなに小さなサイズもあるんだね。麺は平打麺で、具が赤いチャーシューとモヤシを使用。本来の中国語「撈麵(捞面/ローメン)」は混ぜ麺・和え麺で炒めていない。しかしアメリカでは混ぜ炒め焼きそばをローメンと呼ぶことが多く、この店もたぶん炒めている。

麺とチャプスイを絡めて食べても旨い

味付けは甘じょっぱくちょっとオイリー。醤油もついてくるが使わずじまい。ローメンにチャプスイを絡めて一緒に食べるのもなかなかいけた。手頃なセットだし、味以上に体験として大いに満足できた。味や価格などではなく、思い出と共に語られる食べ物。こういう品は国が違っても大切にしたいなあ。

麺とチャプスイを絡めて食べても旨い

ちなみにこのセイラムという町は、ラヴクラフトという作家が創作した『クトゥルフ神話』に登場する都市「アーカム」のモデルらしい。前回の経由地、プロヴィデンスはラヴクラフトの出身地ということもあり、同作品群が好きな方にとっては聖地巡りとしても楽しめるだろう。

そんなわけで、もしセイラムを夏に訪れる機会があれば、ぜひチャプスイ・サンドイッチをどうぞ。

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Mee Sum Restaurant Cocktail & Lounge (アメリカ - フォールリバー)

焼きそばパン。日本ならではの惣菜パンの中でも定番中の定番。ベーカリーでもコンビニでも欠かせない人気商品だ。炭水化物x炭水化物がもたらす手軽な満腹感が、食べ盛りの学生から絶大な支持を集めている。

みんな大好き焼きそばパン

ところで焼きそばパンの話題になると、「海外には、こんな突飛な組み合わせは無いだろう」なんて言う人がいる。しかし、実はそうでもない。グアテマラには「チャオミン・トスターダ(Chowmein Tostada)」があるし、アメリカにも「マジかよ……」と唸ってしまう驚きの品がある。

ボストンからフォールリバーまで日帰り往復

今回のアメリカ遠征では、ニューヨークで6泊した後、約350㎞離れたマサチューセッツ州の州都ボストン(Boston)に移動して3泊した。そのボストンへ移動した翌日に、同州のフォールリバー(Fall River)という町まで、丸一日掛けて長距離バスで往復してきた。焼きそばパンを一つ、食べるだけのために。

プロビデンスのバスでフォールリバーへ

その日はたまたま土曜日で、バスの本数が少ない日だった。昼までにフォールリバーへ着くには、ロードアイランド州の州都・プロビデンス(Providence)経由の便しか選択肢がない。ボストンを朝9時半に出て、プロビデンスのバスターミナルに10時半到着。フォールリバーを通る便が来るまで1時間の待ちあわせ。のんびりした旅だ。

Fall River Bus Station

11時半に乗り換えのバスが来て、フォールリバーのバスターミナルに着いたのが11:55。ここでさらに路線バスに乗り換える。ボストンの地下鉄やバスを利用できるチャーリーカード(Charlie Card)が、同じ州内のこの町でも使えて助かった。

Mee Sum Restaurant Cocktail & Lounge, Fall River, MA

フォールリバーは人口9万人弱の町だ。アメリカでこういう地方都市を訪れるのは、実は初めて。見慣れない町並みに多少の緊張感を抱きつつ、10分ほど路線バスに揺られて目的のバス停で降車。”Mee Sum Restaurant Cocktail & Lounge”(美心酒家)に到着したのは、お昼の12時半近くだった。

Mee Sum Restaurant 店内の様子

店舗はメインストリートの坂道に面して建っている。フロアは広く、ボックス席が多数並んでいる。落ち着いた雰囲気で、昔ながらのお客さんに愛されている老舗という趣だ。ランチタイムだけどお客さんは2グループくらい。土曜日は皆もっと遅い時間に利用するのかな。

Mee Sum Restaurant メニュー

手近なテーブルに着席。ウェイトレスがメニューを持ってきてくれた。ハキハキした受け答えと可愛らしい笑顔の、素敵なお嬢さんだ。メニューの表側にはチャプスイ(Chop Suey)をはじめとするオールドスタイルのアメリカ中華料理が並ぶ。テリヤキ・ステーキ(Teriyaki Steak)なんて品もある。

Mee Sum Restaurant サンドイッチのメニュー

目的の品は裏のアメリカ料理(American Dishes)の欄にあった。サンドイッチ(Sandwiches)のリストをよく見ると、チャプスイ(Chop Suey)やチョウメン(Chow Mein)が並んでいる。そう。実はこの町、フォールリバーの中華料理店では、チョウメン=カタ焼きそばを使ったサンドイッチ(Chow Mein Sandwich)が提供されているのだ。

Coca Cola $1.95

前述のウェイトレスさんに、チョウメン・サンドイッチ(Chow Mein Sandwich $5.25)とコカ・コーラ(Coca Cola $1.95)を注文。コーラで喉を潤しながら待つこと、ものの2分くらいでチョウメン・サンドイッチが運ばれてきた。なんともインパクトのあるビジュアルだ。

Chow Mein Sandwich $5.25

麺は平打麺をカリカリに揚げ、短めに砕いたもの。餡はダークソイソースと鶏スープを使っている。甘じょっぱい味付けだが、見た目の印象ほどしょっぱくはない。具はスライスした玉ねぎとセロリのみ。肉類はおろか、モヤシすらない潔さ。あまり日本では見かけたことのないタイプの餡だ。

カリカリの揚げ麺に濃い色の餡

餡の粘度は低目で、水分多くトロットロ。麺は加水率高めの生地を高温で揚げているのか、エアリーな揚げ具合だ。餡の水分ですぐに柔らかくなる。シンプルだけど美味しいチョウメン……いや違う、これはサンドイッチだった!

確かにこれはサンドイッチ……!

サンドイッチというだけあって、チョウメンの上には小さなバンズが乗っている。さらに麺の下にもバンズが埋もれている。ナイフで両断すると、すっかり餡が染みてデロデロな状態のバンズがチラリと見える。バンズ自体は精白粉を使ったふわふわの柔らかいタイプで、ほんのり甘い。それをチョウメンと合わせて食べると一体感が増す。ちゃんと美味しい。

ナイフとフォークでいただきます

いろいろ驚きつつ食べ進めていると、女性店主が「いかがですか?」と笑顔で声を掛けてくれた。「とってもユニークです、日本から来たんですが、その甲斐がありました」と答えたら、喜んでいた。日本には焼きそばパンがあるが、さすがにこのチョウメン・サンドイッチのスタイルは見たことが無い。

ところでアメリカにエメリル・ラガス(Emeril Lagasse)という著名なシェフがいる。彼はここフォールリバーの出身で、学生時代にこの店のチョウメン・サンドイッチを良く食べていたらしい。

この動画の3:22くらいからこの店が紹介されているが、彼のようにチョウメン・サンドイッチを油紙で包んでもらうのも美味しそうだ。実際、最後の方ではスプーンか箸が欲しくなった。それにしても懐かしの味を久しぶりに味わう有名シェフの嬉しそうな表情。世界中、どの土地でもこういう思い出の味というのはあるものなんだなと実感する。

レシートです

お会計は$7.70。丸一日と交通費を費やして遠い町までやってきたが、とても面白い体験できて満足だった。今回の旅の主目的の一つだっただけに、本当に来れて嬉しい。興味ある方はぜひフォールリバーへ! ちょっと遠いけどね。

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Yakitori Taisho (アメリカ - ニューヨーク)

ニューヨークにあるいろんな国がルーツの焼きそば(と広義の焼きそば的料理)を紹介してきたが、日本食レストランではどういった品が人気なのだろう? それを確かめに日本風居酒屋のYakitori Taishoを訪れてみた。一人だといろいろ頼めないので、2nd Ave Deliに同席してくれたMAOちゃんも一緒だ。わーい。

Yakitori Taisho, NYC

訪問したのは平日の夜、20時ごろ。場所は3番街(3rd Ave)の東8丁目(E 8th St)。MAOちゃんによると、この辺りは和食店や日本食材店が集まる日本人街らしい。店頭の「やきとり大将」の赤提灯を見て、同じ屋号の高円寺にある焼きとり屋を思い出す。

Sapporo Draft Beer $5.75

店は奥行きがあり意外に広い。まずはビール。サッポロの生ビール(Sapporo Draft Beer $5.75)があったのでそれで乾杯。最初はカウンターだったが、席が空いたということで一番奥のテーブルへ。それにしても店員さんに日本語が通じるというのは気楽だなあ。

焼きウナギロール&餃子

注文したのは焼きウナギロール(Yaki Unagi Roll $9.75)と餃子(Gyoza $6.75)。餃子は冷凍の既製品だが、それは仕方あるまい。お弁当に入ってそうな味である。

焼きウナギロールはこの店のオリジナル。甘辛いウナギの蒲焼とアボカドをご飯で巻いて、周りを炭火で焦がしてある。さらにマヨネーズと青のりをトッピングするという、なかなか不思議な組み合わせだ。これが意外に美味しい。

牛すじ卵とじ&チャーシューアボカド

続いて牛すじ卵とじ(Gyu Suji Tamago Toji $5.50)とチャーシューアボカド(Charsiu Avocado $10.75)。牛すじ卵とじは写真だと美味しそうだったのだが、これは失敗。すじの煮込み時間が短すぎるのだろう。あまりに硬すぎて半分以上残してしまった。

その代わり、チャーシューアボカドは大当たり。スライスしたチャーシューとアボカドにマヨネーズを掛けただけなのだが、それぞれの油脂の相乗効果で実に濃厚な味わいだ。酒の肴にはピッタリ。これ、日本の居酒屋で見かけたら注文したい。アボカドスライサー、買おうかな。

Stir Fry Noodkesのページ

そして焼きそば。こちらのメニューにはStir Fry Noodlesのページが用意されている。普通の焼きそばもあるが、口コミサイトのYelpで評判なのが、サーモンクリーム焼きそば(Salmon Cream Yakisoba $10.50)だ。

Salmon Cream Yakisoba $10.50

麺は中太のモチモチ麺。タラコの混ざった濃厚なクリームがサーモンの風味を包み込んで、麺との一体感を高めている。炒めてあるというよりは和えてあり、和風パスタのよう。「これも焼きそばなんですか?」とMAOちゃんに訊かれ、「店が焼きそばと名付けてある以上は焼きそばなのだ」と答えたら笑ってた。

中太麺に濃厚なサーモンクリーム

ボリューム的には、日本の居酒屋なら標準的な焼きそばの量だが、アメリカ人は少なく感じそう。仮に食事だとしたら、この4倍くらい出さないと満足しないんじゃないかな。ただ周りのグループも注文してたし、リピーターも多いようなので、この量も日本風と割り切って楽しんでいるのだろう。

Taisho Mojito $8.50

お酒もオリジナルのカクテルがあり、大将モヒート(Taisho Mojito $8.50)というのを試してみた。本来のモヒートはラム酒にライム・ミントだが、大将モヒートは柚子と紫蘇を使っているらしい。爽やかな甘さで口当たりの良い、美味しいカクテルだ。ただちょっと自分には甘すぎるけど。

ルーフトップバーからの夜景

適当なところでお会計してハシゴ酒。2軒目に訪れたVillage Yokochoという日本風居酒屋も、なかなか良い店だった。その後も無料で入場できるルーフトップバーから夜景を楽しんだり、ニューヨークの夜を堪能。あー、楽しかった。MAOちゃん、案内してくれてありがとねー。

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【雑誌掲載】5/24発売 GQ JAPAN 2018年07・08月合併号

雑誌掲載のお知らせです! 本日5/24発売のGQ JAPAN「おいしい東京(圏)飲み食い三昧 ザ・ヒットパレード 2018」特集の「グレートB級グルメ 百花繚乱」にて焼きそばを担当させていただきました!

GQ JAPAN 2018年07・08月合併号

イラストですけどあのお洒落な雑誌にデビューです。滅多にない機会なのでぜひお読みください。あ、表紙は自分じゃありませんよ!

おいしい東京(圏)飲み食い三昧 ザ・ヒットパレード 2018

ちなみにとんかつは『味の手帖』編集顧問のタベアルキスト・マッキー牧元さん、餃子は食べあるキングやメシコレで一緒に活動している東京餃子通信の塚田亮一さんが担当してらっしゃいます。

グレートB級グルメ 百花繚乱

その他のページも読み応えありますので、食べ歩きのお供にぜひどうぞ。

私です

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El Verano Taquería Citi Field (アメリカ - ニューヨーク)

せっかくニューヨークまで来たのだから、メジャーリーグも生で見てみたい! ニューヨークのチームの試合日程を確認したところ、滞在中にヤンキースのホームゲームはないが、メッツはあった。しかも5/4は平日なのにデーゲームだ。対戦相手はアトランタ・ブレーブス。よっしゃいったるかとネットでチケットを購入し、ニューヨーク・メッツのホームグラウンド、気温33度のシティ・フィールドへやってきた。ヒャッホー!!

Citi Field, NYC

しかし入場チェックでいきなりトラブル。なんとチケットが弾かれて入れない。ネットで購入したのはリセールチケットで、「他の人が既に使っている」と言われてしまった。販売会社にクレームの電話を入れろと言われたが、たぶんどうにもならないだろう。ただ、ここまで来て帰るのも悔しい。仕方なくダフ屋からチケットを購入。45ドルを30ドルに値切ったので、まあ良しとしよう。

El Verano Taquería Citi Field

というわけで気を取り直して球場へ入った。まずはビールとツマミを確保せにゃ。グランドで国歌斉唱が既に行われているなか、向かったのはバックスクリーンの裏手にあるエル・ヴェラーノ・タケリーア(El Verano Taquería)。ヴェラーノ(Verano)は「夏」。タケリーア(Taquería)というのはタコス(Tacos)などを提供するメキシコ料理店のこと。このブランドはここシティフィールドのほか、ナショナルズ・パークとサラトガ競馬場に出店しているらしい。

El Verano Taquería メニュー

行列に並んで10分弱。ようやく順番が回ってきた。注文したのはナチョス(Nachos $12.75)と生ビール(Draft Beer $10.50)。ちなみにアメリカではアルコールの購入時にID確認を求められるので、呑兵衛はパスポートを持ち歩く必要がある。注文した品を受け取り、カードで支払いを済ませ、近くのテーブルで一旦撮影してから、自分のシートへと移動した。

ナチョスと生ビールを確保

着席したらまずはビールだ。カーンと晴れた野球場ってのは、昼ビールの理想的シチュエーションのひとつだと思う。ただしこのサイズで$10以上ってのはツラい。「値段高いなー、でもMLBはどこもこんなものなんだろうなー」なんて思ったけど、あとで調べたらMLBで断トツで一番高いビールだった。対戦相手のアトランタ・ブレーブスの倍以上って、酷いな。

Draft Beer $10.50

ビールのつまみはアメリカで人気のメキシコ料理、ナチョス(Nachos)。ベースはトルティーヤをカリカリに揚げた三角形のチップス。それに溶かしたチェダーチーズを掛けただけの簡易版ナチョスも多いが、ここのはなかなか豪華だ。アボカドのソース(ワカモレ/Guacamole)とサワークリームが掛けられ、粉チーズが振りかけられている。トッピングだが、この店はチキン・ビーフ・ベジタブルを選べ、ビーフを指定。ほかに黒いんげん豆(フリホレス/Black Beans)、トウモロコシ(Corn)、ラディッシュのスライスやハラペーニョのスライスなどが乗っている。

Nachos $12.75

先日、クラッカーのような揚げ麺に中華餡を掛けたChow Meinを紹介した。あのChow Meinを知った時、「穀物の粉を原料とするクリスピーなスナックに汁っ気のある具を掛けた料理」と捉えれば、このナチョスも同じ枠に収まるのではないかと思ったのだ。原料を小麦からトウモロコシにして形状を変え、掛ける具も中華からメキシコ風に……と、構成要素を少し入れ替えれば、ほら同じ! ま、納得できない人もいるだろうけど、それが今回ナチョスを取り上げた理由だ。

じっくり煮込んで細かく解した牛肉が美味い

牛肉はじっくり煮込んで細かく解してある。英語だとMexican Shredded Beef。メキシコではスペイン語で Carne De Res Deshebrada と呼ばれる。タコスやエンチラーダの定番の具だが、これが特に美味い。メニューに1620~1710calといういらん情報が書いてあったが、気にせず完食。素手で食べたせいでベタベタになった。「紙ナプキンをつけ忘れたな……」と箱の中をよく確認したら、フォークを見つけた。食べ始める前に気付くように入れてくれよ……。

メッツ無得点のまま試合は進む

ビールをお代わりしたくて、観客席をウロウロしている売り子に声を掛けようと思ったが、他の客に伝えている価格を聞いて驚いた。16oz(473ml)のペットボトルの水が$5.75。1L入ったスマートウォーターは$11.50。ビールは25oz(740ml)のロング缶で$20.45。なんと一本2200円以上! サイズは違えど、さっきの生ビールが随分と安く感じてしまう。さすがに缶ビールに2000円出すのはツラいので、財布と相談してお代わりは控えることにした。

「私を野球に連れてって」をみんなで合唱

試合はメッツが無得点でアトランタブレーブスが差を広げていく一方的な展開だ。地元客も途中で帰り始めるほどで、少しでも良いからメッツに見せ場が欲しいところ。ただ鳴り物の無い応援や敵の主力プレイヤーへのブーイング、”Kiss Cam“など、MLBならではの文化に触れられたのは貴重な経験で楽しい。中でも7回表終了時に観客がみんな起立して、『私を野球に連れてって(Take Me Out to the Ball Game)』を歌う様は印象的だった。

At the old Citi Field

結局、この日の試合は11対0という大差で、ニューヨーク・メッツがアトランタ・ブレーブスに完封負け。『Take Me Out to the Ball Game』の歌詞を口ずさみつつ帰路についた。ビールの値段はダブルスコアなのになー。

Let me root, root, root for the home team,
地元チームを応援しよう

If they don’t win it’s a shame.
勝てなかったら悔しいけど

For it’s one, two, three strikes, you’re out,
ワン、ツー、スリーストライクでアウト

At the old “Citi Field”
昔ながらのシティ・フィールド

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Kaieteur Liberty Restaurant (アメリカ - ニューヨーク)

はい、どーも。みなさんおなじみの長文記事です。前置きもめっちゃ長いです。いつものように我慢してお付き合いください。


「西インド中華(West Indian Chinese)」という料理のジャンルを私が知ったのは、ニューヨークの下調べ中のことだった。「インド中華(Indian Chinese)」はこのブログでも取り上げ、メシコレでも紹介したし、最近はメディアでも特集が組まれるほどには知られてきた。だが「西インド中華」を知る人は、エスニック料理好きにも少ないだろう。

インド半島西部ではない西インド

「西インド中華」の「西インド」は、インド半島西部のことではない。この場合の「西インド」は、カリブ海の西インド諸島や南アメリカの沿岸部を指す。「西インド中華」はそのエリアの料理ジャンルで、別名「カリブ式中華料理(Caribbean Chinese Cuisine)」とも呼ばれる。「初っ端から、ややこし過ぎだろ」と自分でも思う。

カリブ海の植民地時代

大航海時代、イギリスはカリブ海の島々の多くを植民地として獲得した。タバコ・砂糖・コーヒーなどのプランテーションが主力産業で、当初は黒人奴隷が主な労働力だった。しかし19世紀になるとイギリス国内で奴隷制度への批判が高まり、1807年の奴隷貿易法や1833年の奴隷制度廃止法が制定される。結果として農場経営者はアフリカ大陸から奴隷を連れてくることができなくなる。

イギリス国内で奴隷制度への批判が

代わりの労働者や召使いとして西インド諸島に連れて来られたのが、インド人と中国人だ。カリブ海諸国がイギリスから独立した後も、彼らとその子孫はカリブ海に留まった。カリブで調達可能な食材と調味料で作られたインド料理や中国料理に、ジャークチキンなどで知られるジャマイカ料理の影響も受け、現地独特のスタイルが生まれた。それが「西インド中華」「カリブ式中華料理」だ。

ガイアナ(Guyana)共和国(旧英領ギアナ)

南アメリカ沿岸部、ベネズエラの東隣に位置するガイアナ共和国(Guyana/旧英領ギアナ)は、その「西インド中華」が普及している代表的な国だ。Wikipediaによるとガイアナの人口は約76万人。インド系の割合が最も多く43.5%を占めている。黒人が30%、混血が16%、先住民族が9%。中華系は0.2%と少ない。ちなみに日本人はというと、外務省の資料によれば在留邦人はたった10人。年間の来日人数も10人と、日本にほとんど縁がない。

ニューヨークの西インド中華料理店MAP

元イギリス領やイギリス連邦という繋がりだろうか、アメリカのニューヨークやカナダのトロントにはガイアナ移民が多い。この記事によると、ニューヨークの西インド系住民は市内東エリア、クイーンズ区のリッチモンド・ヒルに集中していて、リトル・ガイアナ(Little Guyana)の異名もある。西インド中華料理店も多く、今回紹介するカイエトゥール・リバティ・レストラン(Kaieteur Liberty Restaurant)もその一つだ。

というわけで、ようやく本題に入る。はあ、長い前置きだった。

ニューヨークにあるカイエトゥール・リバティ・レストラン(Kaieteur Liberty Restaurant)へは地下鉄A系統で訪問した。平日夕方の車内は有色人種が多く、白人がちらほら。アジア人は一人もいない。最寄り駅で降りて徒歩数分。19時ちょっと前に店についた。

Kaieteur Liberty Restaurant

屋号の「カイエトゥール(Kaieteur)」は、ギアナ高地にあるカイエトゥール滝(Kaieteur Falls)のこと。226mもの落差があり、滝単体では世界一なんですと。窓にはネオンサインで「Guyanese West Indian Chinese Cuisine」の文字が光っている。ガイアナ式西インド中華料理。理解しているつもりだがどうにも混乱せざるを得ないジャンルだよなあ。

いろいろ気後れしそうになるけど、えいやっと入店。店内は奥行きがあり、フロアにはテーブル多数。常連は奥のバーカウンターに集まって、ビールを飲みながらクリケットの試合を見ていた。若くて可愛い女の子が二人で接客。あ、こりゃ人気店になるわ。

Kaieteur Liberty Restaurant 前菜メニュー

さてメニュー。日本で取り上げられることの少ない料理ジャンルなので、じっくり紹介しよう。まずは前菜のページ。筆頭は中華の揚げ海老ワンタン(Shrimp Wonton)。その右隣りはジャマイカ料理のジャークチキン(Jerk Chicken)だ。2行下にはインドのタンドーリチキン(Tandoori Chicken)。その左のバッファローウィング(Buffalo Wings)はニューヨーク生まれのアメリカ料理。下の方の”Cha Chi Kai Chicken“や”Chicken in Ruff“は、西インド中華独特の料理らしい。眩暈するほど自由な品揃えで、まさにLiberty。

Kaieteur Liberty Restaurant Chow Mein メニュー

そして焼きそばだが、Lo MeinとChow Meinがある。ニューヨークでChow Meinというとクラッカーだったりほぼご飯だったりするが、基本はカタ焼きそばだ。しかしこちらは混ぜ炒めスタイル。Lo Meinもアメリカだと通常は混ぜ炒め焼きそばを指すが、この店はもしかしたら炒めずに和えただけの本来の意味の「撈麵(捞面/ローメン)」かも知れない。今回はChow Meinにジャークチキンを乗せたジャークチキン・チョウメン(Jerk Chicken Chow Mein $10.99)を注文した。

それにしても、インド中華の影響は全く見受けられないのが興味深い。「マンチュリアン(Manchurian)」や「チリチキン(Chilli Chicken)」などは見当たらず、「Hakka Noodles」や「Schezwan Noodles」「American Chop Suey」などインドならではの焼きそば類もない。このことから西インドへのインド料理・中華料理の伝来の方が、インドでインド中華が成立するより早かったのではないか。という仮説が成り立つ。似た料理ジャンルなのに、こうも異なるとは本当に面白い。

Kaieteur Liberty Restaurant West Indian メニュー

あとはWest Indian Menuのカテゴリにあった豆スープ、ダール(Daal $3.00)もお願いした。ヒンドゥ教徒が多いのにCurry Beefはあるんだな。ちなみに各種カレーはライスや薄焼きパン・ロティ(Roti)、あるいはダールプーリ(Dhal Puri・エンドウ豆入りの薄い揚げパン)と一緒に提供されるらしい。インド本国と大きな違いがあるかは不明。

GUYANA & WEST INDIAN CREAM SODA

飲み物はクリームソーダ(Cream Soda $2.00)。冷蔵庫から取り出した瓶のラベルには「TOMBOY」というブランド名と「GUYANA & WEST INDIAN CREAM SODA」の文字。ラベルの裏にはカイエテールの滝が写真が印刷され、「カイエトゥール滝と同じくらい有名(As famous as Kaieteur Falls)」という謳い文句が添えてある。うーん、同じくらい有名というか、無名というか……。味は確かにクリーミーな甘さだが、色は透明で日本のクリームソーダとも、先日飲んだDr.Brownのクリームソーダとも全く違った。面白いなあ。

そして注文した品々が運ばれてきた。食べるぞー。

Jerk Chicken Chow Mein & Daal

ジャークチキン・チョウメン(Jerk Chicken Chow Mein)は、名前の通り炒麺(Chow Mein)に、ジャマイカ料理のジャークチキン(Jerk Chicken)が乗っている。まさに西インドならではの中華料理。ガイアナ本国にあるのかは未確認だが、ニューヨークの西インド中華料理店では置いている店が複数見つかった。

Jerk Chicken Chow Mein $10.99

麺はモチモチした中太の玉子麺。Lo Meinは公式写真だと平打ち麺だが、麺を使い分けているんだな。麺と一緒に炒めてある具は人参・玉ねぎ・白菜・いんげん豆などの野菜で、具は少なく麺が主体。トッピングにジャークチキン、キャベツの千切り、キュウリのスライス、青ネギ。量がめちゃくちゃ多い。焼きそばの味付けは甘じょっぱい。中華でお馴染みのたまり醤油=ダーク・ソイソースと砂糖が主体かな。

麺はモチモチした中太の玉子麺

焼きそば自体はごくオーソドックスな中華焼きそばだ。ただ、アメリカの一般的な中華料理店だと、これはLo Meinという名前で提供されるタイプだ。それがChow Meinの名で提供されている点が実に興味深い。ジャークチキンを除けばベジタリアン向けの品で、ケチャップも一緒に出してくるあたりは、ネパール式のチョウミン(Chow Mein)を彷彿とさせる。ただ麺の太さは明らかにこちらの方が太いし、焼きそば自体の味付けも辛くはない。

ジャークチキンめちゃうま

一方、トッピングのジャークチキンは濃厚な美味さだ。西インド諸島を原産とするオールスパイスのほか、様々な香辛料・調味料・食材を使ったタレに、肉をじっくり漬け込んでから焼き上げる。それがジャマイカのジャーキングと呼ばれる調理法で、豚や羊など鶏以外の肉も使う。

こちらのジャークチキンは鶏肉にタレがしっかり滲みていて、西京漬けや粕漬けのような複雑な味わいにスパイスの刺激がプラスされ、絶妙な塩梅だ。もっと肉に厚みがあって、パリッと焼いた皮もあるのが好みだけど、その辺りは店の個性だろう。これで十分に満足。これだけ肉が多いといつもは後半ツラくなるのだが、今回は期待以上に美味しくて嬉しくなった。

Daal $3.00

そして付け合せに注文したダール(Daal)。ネパール料理のダルバート(定食)で提供されるようなサラッとしたスープを想像していたが、ドロッとしたとろみがあってダルカレーと呼びたくなる。味付けもかなりスパイシーだ。Chow Meinにも試しに少し掛けてみたが、まあ悪くはない。

ボリュームに苦戦しつつ、なんとか完食

焼きそばのボリュームに苦戦しつつも完食。超満腹でお会計は17.40ドル。20ドル札を渡し、「お釣りは取っといて」と告げて店を出た。これまで中米のグァテマラや南米のペルーボリビアで土着化した中華料理を紹介したことがあるが、西インド地域も実に個性的な進化を遂げていた。ジャークチキンと炒麺とダール。こんな組み合わせを楽しめるのは、現地かニューヨークかトロントくらいだろう。日本で食べられないのが残念だ。他の店、他のメニューも食べてみたいなー。

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S’MAC (アメリカ - ニューヨーク)

アメリカ人が大好きな料理のひとつ、マカロニ・アンド・チーズ(Macaroni & Cheese)。「マッケンチーズ(Mac’n cheese)」という略称で親しまれ、特に子供には大人気だ。茹でたマカロニに溶かしたチーズを絡めただけのレシピもあるが、現地で高評価なのはそれをオーブンでしっかり焼き上げた伝統的なスタイルだ。つまりこれも一応は「焼いた麺」と言える。

S'MAC, NYC

せっかくなので本場のマカロニ・アンド・チーズを一度食べておきたい。そう考えて訪れたのは、1番街(1st Ave.) の東12丁目(E 12th St.)にある、「S’MAC」というマカロニ・アンド・チーズの専門店。そう、なんと専門店まであるのだ。”Sarita’s Macaroni & Cheese”というのが正式な屋号らしい。マッケンチーもだけど、アメリカ人て略すの好きなのね。

Sarita's Macaroni & Cheese

この夜はブロードウェイでライオン・キングを観劇した。動物のパペットを操りながら、華麗な歌とダンスを披露する演者にも、ち密に計算されつつも大胆で大がかりな舞台装置や演出にも感動した。チケット代は高かったけど、それに十分見合うだけのとても素晴らしい舞台だった。

S'MAC 店内の様子

その余韻も冷めぬまま、地下鉄で移動。22時過ぎにS’MACに到着。オレンジ色を基調とした内装はチーズをイメージしたものだろう。デザインに統一感があってとてもセンスが良い。平日のこの時間なのにテーブルは3割くらい埋まっていた。事前に評判は知っていたが、ほんとに人気店なんだな。

S'MAC メニューの一部

メニューにはマッケンチーがずらりと並ぶ。店がオススメする組み合わせ以外にも、チーズや具のカスタマイズも自由に行えるらしい。今回注文したのはベーシックな「All-Amercan」。サイズは一番小さな”Nosh”($6.50)から順に、”Major Munch”($9.75)、”Mongo”($16.75)、”PARTAY!”($43.00)と増えていく。もちろん最小の”Nosh”($6.50)をお願いした。

ビールの代わりにDr.Pepper

マカロニ・アンド・チーズにはビールが絶対合うはずなのだが、残念ながら置いていないと言われる。仕方なく無難にDr.Pepperを。フォークを渡され、空いてるテーブルに着席した。テイクアウトの注文がたくさん入ってるようで、自分の注文した品が出てくるまで20分ほど掛かった。「マッケンチー」イコール「ファストフード」という先入観があったが、伝統的なスタイルはスローフードなんだな。

All-Amercan(Nosh) $6.50

S’MACのMac’n cheeseは深いスキレットで供される。持ち手に鍋つかみが被せられているが、実際、スキレットは熱々で絶対火傷するやつだ。表面はうっすらとキツネ色に焦げている。くつくつと音を立てて湯気を上げている様が食欲をそそる。

表面にはキツネ色の焦げが

マカロニは日本のマカロニサラダでよく使われるまっすぐなタイプではなく、エルボー・マカロニ(Elbow Macaroni)やエルボー・パスタ(Elbow Pasta)と呼ばれるタイプを使用している。長さは短く、文字通りエルボー(肘)のように曲がっているのが特徴だ。

エルボー・マカロニとブレンドチーズ

またメニューの説明文によると、「All-Amercan」はアメリカン・チーズ(≒プロセス・チーズ)とチェダーチーズをブレンドしてあるらしい。そのチーズがまるでラクレットのように、たっぷりとエルボー・マカロニに絡んでくる。分かりやすい美味しさだが、焼くという一手間でマカロニとチーズの一体感が増していて、絡めただけのマッケンチーより味わい深い。ただ濃厚すぎて食べ進めるうちに段々と味に飽きてくる。

卓上の調味料類

卓上にはチリペッパーやハインツケチャップ、胡椒などが置かれている。それらを使った味変もいろいろ試してみたが、結局タバスコが一番しっくり来た。サイズが最少だったこともあって、難なく完食。とてもアメリカらしい一皿だった。

最少サイズを難なく完食

カスタマイズでブルーチーズやブリーチーズ(白カビチーズ)を選べば、より多層的な味わいが楽しめると思う。店の雰囲気ではなく単に味わいを楽しみたいなら、デリバリーかテイクアウトがオススメかも。そしてビールと一緒に味わってもらいたい。あー、ビールが欲しかった……

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2nd Ave Deli (アメリカ - ニューヨーク)

前回のRuss & Daughters Cafeを訪れた日曜日。朝に続いてちょっと遅めのランチもユダヤ料理店を訪れた。2番街(2nd Ave.) の東33丁目(E 33rd St.)にある2nd Ave Deliという店で、こちらもユダヤ料理=コーシャフードの人気店だ。

2nd Ave Deli, NYC

2nd Ave Deliへは、友達に紹介してもらったニューヨーク在住の日本人・Maoちゃんと2人で訪問した。SNSで連絡を取り合い、店の前で待ち合わせ。便利な世の中だ。初めましての挨拶を済ませて、早速店内へ。デリと名乗るだけあって、店頭は持ち帰りの総菜が並んでいる。奥の客席は日曜の昼下がりで混んでいた。その中を2人掛けのテーブルへと案内された。

2nd Ave Deli メニュー

こちらの売れ筋はサンドイッチ。特にパストラミサンド(Hot Pastrami Sandwich $21.50)が評判だ。今回初めて知ったのだが、パストラミは東欧系のユダヤ人が製法をアメリカに持ち込んで普及したそうで、やはりユダヤ料理に数えられている。注文はそのパストラミとタン(Tip Tongue $24.95)のサンドイッチ。ドリンクにクリームソーダとレモネード。さらにデザートも注文した。一人より二人の方があれこれ食べられてありがたい。

Dr. Brown's Cream Soda $2.95

クリームソーダ(Cream Soda $2.95)は「Dr. Brown’s」というブランドの缶入り製品。このソーダはコーシャに即した飲料(Kosher Soda)で、1869年の発売以来、ニューヨークのユダヤ系アメリカ人の間で飲まれている品らしい。日本で一般的なクリームソーダとは全く違って、色が茶色く、コクのある甘さだ。他のテーブルでも飲んでいる人がちらほらいた。

サービスのピクルス&サラダ

サンドイッチの前にキュウリのピクルスとコールスローサラダが運ばれてきた。鮮やかな緑のキュウリは日本の浅漬けそのもので、とても食べやすい。色がくすんでいる方は酢にしっかりとつけてあり、頬張るとキュっと口を窄めてしまう酸っぱさだ。今回の旅は野菜が不足しがちなので、こういうサービスはとても助かる。

パストラミ&タンサンド

そしてお待ちかねのサンドイッチだ。ライ麦パンを使うのが定番で、分厚い方がパストラミ。他のテーブルでもほとんどのグループがこのサンドイッチを食べていた。一方のタンもなかなかの厚さだ。どちらもさすがに20ドルを超えるだけのことはある。

パストラミ めっちゃ美味い!

半分に切られたサンドイッチを、Maoちゃんとそれぞれの皿に取り分け、早速頬張る。うーん、めっちゃ美味い! 分厚いスライスを一枚挟むのではなく、薄切りを重ねることで食べやすくなり風味も増す。ボリュームが心配だったが、ペロリといける量だ。タンの方もあっさりした味わいで美味しいが、やはりパストラミが好みだなー。

2nd Ave Deli メニュー その2

ここまで読んで「あれ? 焼きそばは?」と思われたかも知れない。実は今回はデザートなのだ。注文したのはヌードル・クーゲル(Noodle Kugel $8.50)。東欧系ユダヤ人の間ではロクシェン・クーゲル(Lokshen Kugel/קוגל אטריות)と呼ばれる料理で、麺の入ったプディングのこと。

2nd Ave Deli メニュー その2

作り方はこの動画が分かりやすい。茹でたパスタに卵とレーズン、サワークリーム・チーズ・バターなどを加え、オーブンでじっくり焼き上げてある。実際、中にはちゃんと玉子麺(Egg Noodle)が入っている。しっとり重ためのケーキという味わいで、割と好みの甘さ加減。なぜ麺を使うのかは謎だが、材料を知らなければ麺に気付かないのではと思えるほどなじんでいる。

中に麺が入っているんです

焼きそばのイメージから物凄く遠いが、これも一応は「焼いた麺」だ。焼きそばにも和歌山県御坊市のせち焼のように、麺を玉子で綴じて焼き上げるスタイルもある。味付けは全く違うけれど、技法としては似てなくもないと言えまいか?

最後にチョコレートソーダをショットグラスで

こちらの2nd Ave Deliでは、最後にチョコレートソーダをショットグラスで出してくれるのが習わしだ。それをぐっと飲み干してお会計。チップ込で70ドルを超えるという、かなり良い値段のランチになってしまった。でも同席したMaoちゃんも「これまで食べたパストラミサンドで一番美味しい」と喜んでくれたので良しとしよう。

日本人にはあまりなじみのないユダヤ料理だけど、その食文化の奥深さを体験できて満足だ。もしニューヨークを訪れることがあれば、ぜひ試してほしい。

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Russ & Daughters Cafe (アメリカ - ニューヨーク)

アメリカは移民の国。先週は中華系の料理店を紹介したが、今週は別の民族の料理店を紹介しよう。まずはユダヤ系アメリカ人だ。

Russ & Daughters Cafe, NYC

ユダヤ系アメリカ人は全米各地に分布しているが、中でもニューヨークは特に多いらしい。Wikipediaによれば、「ニューヨーク市はイスラエルのグッシュ・ダン都市圏に次ぐ世界第2位のユダヤ人密集地帯」だそうだ。彼らの料理は「コーシャ(Kosher/כָּשֵׁר)」と呼ばれる。概要をコーシャジャパン株式会社のサイトから引用しよう。

「コーシャ(コーシャー、コシェル、カシェル、カシュルート等と日本語表記することもある)フードとは、イスラム教徒のハラールフードのように、ユダヤ教徒が食べてもよいとされる「清浄な食品」のこと。ユダヤ教の聖典には食べてもよい食品、食べてはいけない食品が記されており、敬虔なユダヤ教徒は、5000年前の昔からその規律を厳格に守って生活しています。

ちなみにニューヨークのユダヤ人は、意外にも中華料理と関係が深い。ユダヤ人はクリスマスを祝わない。しかし飲食店は全て閉まってしまう。そんな中で営業しているのが中華料理店。結果的にニューヨークのユダヤ人はクリスマスに中華料理を食べるようになったという。現在ではコーシャに則った中華料理店もあるほど、ユダヤ系アメリカ人の間には中華料理が根付いているそうだ。

Russ & Daughters Cafe 店内の様子

今回紹介するのはユダヤ料理=コーシャフードの人気店、ラス&ドーターズ・カフェ(Russ & Daughters Cafe)だ。こちらの記事によると週末は2時間半も待つこともあるとか。日曜の朝9時に訪れたのだが、既に大勢が順番待ちをしていた。「こりゃ長引きそうだなー」と覚悟したが、1人だと告げるとちょうど1つだけ空いていたカウンター席へと促された。ラッキー♪

Russ & Daughters Cafe メニューの一部

さて、メニュー。ユダヤ料理=コーシャならではの見慣れない料理名が並んでいる。スモークサーモンがこの店の一押しだが、他にも興味深い品々ばかりだ。Noshes(軽食)の冒頭にあるKnish(クニッシュ)は、東ヨーロッパ系ユダヤ人の伝統的な具入りパン。後日、有名な老舗ベーカリーでいただいたが、どっしり重い食べ応えのある品だった。

Kasha Varnishkas & Cherry Shrub

この日、朝食に注文したのはカーシャ・バーニッシュカス(Kasha Varnishkas $7)のポーチドエッグ付き($9)。それとチェリー・シュラブ(Cherry Shrub $6)という飲み物もお願いした。

Cherry Shrub $6

「シュラブ(Shrub)」というのは飲用に甘くした酢のこと。こちらのチェリー・シュラブはさくらんぼ、白バルサミコ、花椒、そしてライムが使われている。花椒は四川料理に使われる山椒、舌が痺れるあの「麻」味の元だ。こんな組み合わせがあるのか、という味わいだが、飲み進めると美味しく感じてきた。インド料理店で飲んだジャルジーラを思い出す。酢とフルーツとスパイスのカクテル、意外にありだな。

そしてカーシャ・バーニッシュカス(Kasha Varnishkas)。「カーシャ(Kasha)」はスラヴ諸語で「粥」を意味する。これも東ヨーロッパ系ユダヤ人がアメリカに持ち込んだ料理で、カーシャ・バーニッシュス(Kasha Varnishkes)という表記もある。もともとヘブライ語は母音がないから、他の言語へ音写する際に表記揺れが多くなるのかな。

Kasha Varnishkas w/ Poached Egg $9

玉ねぎを茶色になるまで炒め、茹でた蕎麦の実とファルファッレ(蝶型のパスタ)を加えてさらに混ぜ炒めた料理だ。作り方に興味ある方はこちらの動画が参考になるだろう。皿から漂う油脂の香りが食欲をそそる。炒める際には鶏油を使うのが伝統らしい。

蕎麦の実とファルファッレという異色の組み合わせ

味付けは塩と胡椒でごくあっさり。余計なものを加えていない分、玉ねぎと鶏スープの旨味が際立って、とても芳醇な味わいだ。蕎麦の実とファルファッレという異色の組み合わせも、風味と食感を補い合って期待していた以上に美味しい。ポーチドエッグを絡めても合うなー。ボリュームも結構あって、牛丼を食べた程度の満腹感を得られた。

ポーチドエッグを絡めても合う

レバノンのレバニーズライス(Lebanese Rice)やエジプトのコシャリ(Kushari/كشرى)など、地中海沿岸には米とパスタを一緒に炒めて煮込んで炊き上げる技法がある。調理の手順や材料はだいぶ異なるが、このカーシャ・バーニッシュカスも発想が何となく似ているな、と感じた。蕎麦やパスタを一応は混ぜ炒めているので、当ブログで紹介してみたが、いかがだったろう? 日本でユダヤ料理というと中東イスラエルの料理が多いが、アメリカや東欧系の料理を食べられる店もあるようなので、機会があったらお試しあれ。

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Delight 28 Restaurant (アメリカ - ニューヨーク)

ニューヨークの中華街から、もう一軒紹介しておこう。店名はDelight 28 Restaurant。漢字表記では「喜運來大酒家」。こちらのブログで紹介されている「伊勢海老焼きそば」に興味が沸いたのだが、正確にはロブスターだった。英語の口コミでは “Lobster with Crispy Noodles” という呼び方が一般的なようだ。ロブスター焼きそばはロンドンのMandarin KitchenPearl Liangで食べた経験があるが、揚げ麺は初めてだ。

Delight 28 Restaurant, Chinatown, NYC

この日は昼に食べ過ぎたせいでお腹がなかなか減らず、訪れたのは閉店一時間前の午後8時半くらいになってしまった。フロアは広く、丸テーブルがゆとりをもって多数並べられている。ただし閉店時間が近いためか客は少なく、左側の半分は照明が落とされている。

客の中でも常連というか顔役というか、そんな雰囲気の中国人の一団が際立っていた。中央のテーブルに陣取り、店員が笑顔で周りに立ち、大声で笑ったり怒鳴ったりを繰り返している。周りを一切気にせず騒げるメンタリティが、ある意味でうらやましい。

一人だと告げると、厨房からも件の一団からも近いテーブルに案内された。自分としては騒がしいのは勘弁してほしいのだが、店側としては離れた席だと配膳とか接客が面倒くさいのだろう。そんな都合が空けて見える接客だ。まあいい、閉店間際に来る方が悪いのだ。

Delight 28 Restaurant Lobster Menu

さてメニュー。目的の品は「蝦(Shrimp)」のページにあった。ロブスター(Lobster/龍蝦)は3種あり、ロンドンで食べたときと同じく値段は時価(Seasonal Price)だ。選んだのは鼓汁炒龍蝦(Soute Lobster with Black Bean Sauce)。ロブスターの豆鼓ソテー。本来は「双龍蝦」と言って2尾のロブスターを使うらしいが、一人なので1尾にしてもらった。

青島ビールの代わりにハイネケン

「Crispy Noodles(揚げ麺)も一緒にください」
「Crispy Noodles? ビーフでいいか?」
「いや、ロブスターと一緒に」
「ああ、Togetherな、分かった」
「あと青島ビールも」
「青島あったかな、見てみるわ」
「よろしく」
「なかった、ハイネケンでいいか」
「OK」

Lobster w/ Crispy Noodles

そんなやり取りをし、しばらくするとロブスターが運ばれてきた。食べた殻はこの皿に置け、と白い皿を指し示す。あー、中国本土の人はテーブルに乗せるからな。閉演間際にテーブルクロスとか床がが必要以上に汚れるの、嫌だもんね。さて、食べよう。

ロブスターは文句なく美味い

ロブスターは文句なく美味い。Black Beans Sauce というだけあって粒の豆もちらほら混じっているけど、味は葱と生姜、ニンニクが効かせてあり、ロンドンで食べたのとそこまで変わらない気がする。あちらは盛り付けに緑の野菜も添えていたが、ニューヨークではほぼロブスターだけだ。

揚げ麺も好み

そして麺。ロンドンの蒸し麺も良かったが、ニューヨークの揚げ麺も好みだ。ロブスターの旨味が滲みている。でも麺の量が多すぎ。2尾に使う分の揚げ麺を盛っているんじゃないかな。途中でロブスターとのバランスが崩れ、麺だけ1/5くらい残してしまった。デザートにオレンジとお汁粉、温かいお茶を出してくれた。この辺りは好印象。

デザートにオレンジとお汁粉

ただ料理そのものとは直接関係ないのだが、食べている最中にすぐ隣のテーブル数卓で、スタッフたちで賄いを食べ始めたのにも興ざめしてしまった。離れたテーブルがいくらでもあるのに、客がいるのを気にしなさすぎじゃないのかね。まあ、それが大陸らしいといえば大陸らしいけど、急かされている気がして落ち着かない。

レシート

会計は42ドル。ロンドンより3割くらい安い。しかし伝票を示しながら「チップの金額はここに書け」としつこく言ってくるのもあまり気分が良くない。一応は15%払ったけど、サービスという点ではロンドンで体験したような満足感は得られなかった。せっかくちょっと高めの食事をするなら、ここで無くて良かったかも。ニューヨークの中華街でシーフードを得意とする店は、他にいくらでもあるからね。

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