篠田そば店

2014年3月22日

千葉県の木更津周辺には焼きそばを看板メニューにしている店が点在している。君津市平山駅前の志保沢商店が恐らく最も有名だろうが、それ以外にも地元民が通う隠れた名店がいくつかある。今回紹介する篠田そば店もそんな店の一つだ。

所在地は金田漁港近くの入り組んだ住宅街。車やバイクなら東京湾アクアラインの金田ICを降りて5分も走れば着く距離だが、何しろ道が狭くて分かりづらい場所である。

篠田そば店

6月中旬の平日、12:20というお昼時に訪問。これで三度目の来店だが、初めて来た時は「こんな場所に焼きそば専門店があるのか……?」と半信半疑で随分探した。店舗はプレハブ造りで、客用スペースと厨房の半々に仕切られている。客席もテーブルを二つ並べて簡易ベンチ2本を渡したとてもシンプルな造りである。

先客は作業着姿の3人グループとおっちゃん1人。3人組は漁師かも知れない。前回、土曜日に来た時は若いご夫妻が調理をしていたが、今日はおばあちゃん一人だ。昼時だけの営業かつ日曜が定休日なので、平日はこの体制なのかも知れない。持ち帰りの注文も溜まってるようで、「ちょっと待っててねー」と言われた。セルフのお冷やを汲んで奥の方へ着席しておとなしく待つ。

とてもシンプルなメニュー

メニューもシンプルに「やきそば(トリヒキ)」と「肉やきそば(ブタバラ)」の2種類のみ。やきそば(トリヒキ=鶏挽肉入り)が小350円、中500円、大600円、肉やきそば(ブタバラ=豚バラ肉入り)が中650円、大750円という価格構成。これまでの私の観察によると「やきそば」の中サイズを頼む人が多いようだ。今回は自分もやきそばの中にしよう。

おばあちゃんの手が少し空いた頃合を見計らって注文。テイクアウト用の調理も終わり、しばらくして白いお皿で焼きそば登場である。

やきそば(トリヒキ) 中500円

麺はやや細めで柔らかめ。かなりボリュームがある。精算時に麺を入れるトレイがチラリと見えたが、どうやら木更津にある「文明軒」という製麺所で作られてる生麺らしい。この地域では乾麺を焼きそばに使っている店が多いので、これはちょっと珍しい。

乾麺を使う点について、近接地域のB級グルメ・竹岡式ラーメンに関連付けて考察する向きもある。ちなみに帰宅後に調べたところ、竹岡式ラーメンの店には同製麺所の生麺を使ってる店もあるようだ。やはり普及に至る過程で何かしら共通点があるのかも知れない。

味付けはあっさりめでソースはやや辛口。具はキャベツと鶏挽肉だが、あくまでも麺が主役の焼きそばだ。鉄板ではなく中華鍋で炒めているためか、あるいは蒸し麺ではなく生麺を使っているためか、しっとりした仕上がりである。卓上には一味唐辛子と粉々の屑海苔、そしてソースが置かれている。この一味を焼きそばの表面全体が真っ赤になるほど掛け、海苔もダバーっと振り掛ける。こいつをワシワシ喰うのが実に美味しいのだ。

唐辛子と海苔を掛けるのがこの地域の流儀らしい

この屑海苔は金田漁港の漁師さんたちが最高級浅草海苔の屑を進呈しているのだとか。一方、お店は漁師に焼きそばを提供している。なかなか理想的な共生関係ではないか。東京湾の海苔と共に、末永くこの焼きそばがこの地で味わえることを願いたい。

篠田 そば店

店舗情報TEL:0438-41-1672
住所:千葉県所木更津市中島4378-1
営業時間:11:00~13:30(麺がなくなり次第終了)
定休日:日曜・祝日
主なメニューやきそば(トリヒキ)
小350円 中500円 大600円

肉やきそば(ブタバラ)
中650円 大750円