プチアキ

お蔵だしシリーズ。今週は東京下町のもんじゃ屋さんです。2011年に訪問した記事を今頃公開ってのは、さすがに気が引けてしまいますが、まあお蔵だしってことでご寛恕願います。


北千住駅から徒歩で10分ほどの住宅街にプチアキという店がある。もんじゃ焼きも商う昔ながらの駄菓子屋さん。刈部山本さんのブログでお店の様子を知って興味が沸いた。

足立区千住柳町 駄菓子屋 プチアキ

訪れたのは2011年12月、祝日の午後3時。もう4年以上前のことだ。店内はそこらじゅうに駄菓子が陳列され、カウンターの椅子に小学生が二人腰掛けてゲームをしていた。その奥に店主のおばばが居た。いかにも駄菓子屋の主でございというオーラを醸している。場違いな大人が訪れても落ち着いたものだ。

「いらっしゃい」
「もんじゃ焼きを食べたいんですが」
「はいはい」

誘われた奥のスペースには焼台テーブルが3卓しつらえられていた。一番手前の鉄板に着火して腰掛けるよう促す。

「今は品数が少なくてね、もんじゃでいいんだね?」
「えーっと……」

プチアキ メニュー

ここで初めて壁のメニューを確認。食べ物はもんじゃ400円、焼きそば450円、お好み焼き450円の三種類だけのようだ。あればそばもんじゃを食べようかと思っていたが、そんなオプションは無い。うーん。もんじゃが定番だろうが、焼きそばは外したくないなぁ。

「じゃ、もんじゃと焼きそばを両方」
「量、結構あるよ?」
「え? そ、それじゃ焼きそばで」
「はいよ」

おばばは厨房へ行き、油と調味料を持ってきた。

「これが油で、これが塩・コショウね」
「はい……え?」
「ソースはちょっと待ってね」

そう告げるとまた厨房へ戻り材料一揃えが入ったどんぶりと小手を持ってきて私に渡した。

「はい、お待たせ」
「あ、ども……これ、自分で焼くんですね?」
「うん、そうよ」

そっか、そういうことか。もんじゃはセルフの店が多いので慣れているが、焼きそばを自分で焼く店はここが初めてだった。(この後、何箇所も経験して今はだいぶ慣れた)

自分で焼かねばなりませぬ

いきなりなもので焦ってしまったが、ともかく油を引いて材料をドバーっと鉄板に広げた。麺は市販の3食入りチルド麺だ。なかなか解れなくてますます焦る中、おばばはどこ吹く風で話しかけてくる。

「飲み物は水にする? お茶?」
「ビールとかありますか?」
「はいはい、あるよ。(奥の扉を開けてゴソゴソ)これだけど」
「(缶の発泡酒か、まあいいや)じゃ、それください」
「300円ね」
「あ、ところでソースは?」
「あー忘れてた、はいはい、これね」
「ありがとうございます」
「キムチも入れる? 美味しくなるよ?」
「じゃ、貰います」
「紅ショウガは?」
「ください!」

焼きそば 450円

悪戦苦闘しながらも適当にまぜこぜして調味料を加えたら、どうにかそれらしい焼きそばが出来上がった。鉄板からお皿に移し、紅ショウガをトッピング。発泡酒(サントリー・ジョッキ生350ml・300円)をグビグビと呑みながら、焼きそばをもぐもぐと食べはじめる。

発泡酒 300円

麺は前述の通り市販の蒸し麺1玉。具はベーコン、桜海老、揚げ玉、キャベツ、人参、キムチと意外に盛り沢山だ。普段はモヤシも入るがたまたま切らしてるとのこと。塩コショウ、アジシオ、ブルドッグウスターソースで味付けしたが、なかなかいける。揚げ玉のカリカリした食感や、桜海老やベーコンの風味が良い。

適当に作ってもそれなりに美味い

焼いてる途中で一度も味見しなかったが、それでもそれなりに作れてしまうのが嬉しい。もんじゃならばベビースターや切りイカは駄菓子コーナーで購入して投入するという手もあるようだ。

食べ終わってお会計は750円。私が帰るついでに「さあさあ、あんたたちももう帰りな。ここは遊び場じゃないんだから」と子供たちも追い出されてた。この辺のツンデレっぷりも駄菓子屋のあるじ然として面白い。営業時間は昼ごろから夕方くらいまでのようだ。今度来た時はもんじゃも食べたい。今回よりは落ち着いて作れることだろう。

なお、食べログへの転載は、刈部山本さんの記事にある「穴場であって欲しい」という趣旨に賛同して、私も控えておくことにする。もし訪れる際は食堂などではなく、あくまでも駄菓子屋という心構えでお願いします。

店舗情報TEL:03-3881-5885
住所:東京都足立区千住柳町4-4
営業時間:昼ごろから夕方くらいまで
定休日:不明
主なメニューもんじゃ 400円
焼きそば 450円
お好み焼き 450円