温州軒

南伊豆で最大の町、下田にも何か特徴的な焼きそばがあるんじゃなかろうか。そう信じてネットでさんざっぱら探したが、ピンと来る品は見つからず。まあ、ラーメンやカレーならともかく、「訪れた土地で必ず焼きそばを食べる」なんて人はほぼ皆無だから、情報が無いのも仕方あるまい。

下田市 中華料理 温州軒

ただ、変わり種でなくてもせめて1軒くらい、老舗の中華屋さんでも紹介しておこう。そう考えて訪れたのが今回紹介する温州軒(おんしゅうけん)だ。店は入り組んだ町中にある。ちょっと離れた場所に駐車場があり、そこにバイクを停めて店まで歩く。

温州軒 店頭の食品サンプル

店頭のガラスケースには食品サンプルが置かれていた。また入り口に右手の壁には、岡持ちを携えたタヌキのイラストが描かれている。これがこの店のマスコットか。ユーモラスで可愛らしい。

温州軒 店内の様子

店内はいかにも昔ながらの中華食堂という趣。客席はテーブルが2卓と、小上がり5卓。土曜の昼前という時間帯で、先客は家族連れが一組のみ。ただし出前の注文も入っているようで、厨房は忙しそうにしていた。

温州軒 メニュー

さてメニュー。焼きそば類は3種類あった。定番のソース焼きそば(650円)。それと中華屋らしくカタヤキそば(750円)。そしてチキンいためそば(650円)。ん? チキンいためそば? 聞きなれない品だな……

「すみませーん」
「はーい」
「このチキンいためそばってのは、焼きそばですか?」
「焼きそばですけど、ケチャップ味になります。それと豚ではなく鶏肉です」
「ほほー、じゃそれを」

興味津々で見慣れぬメニューを注文。5分も掛からずに配膳された。早い!

チキンいためそば 650円

麺はストレートの細麺で、かなり柔らかい。具は鶏肉・キャベツ・人参・ニラ・タケノコ。注文時に言われた通り、味付けはケチャップなのだろう。赤みがかってて、しっとり仕上げ。それが小さめの楕円皿にてんこ盛りになっている。

かなり柔らかい細麺をケチャップ味で

食べてみるとナポリタンぽい味わいで、粉チーズとかタバスコがふと欲しくなる。そしてちょこちょこ入っている鶏肉が良いアクセントになっている。要はチキンライスの焼きそば版で「チキン炒めそば」か。なるほど、納得。ありそうで無かった焼きそばだ。面白い。

チキンライスの焼きそば版

皿は小さめだが、ボリュームがなかなかあり、特に麺の量が多い。テーブルには色々な調味料が置かれている。終盤、ケチャップ甘さにちょっと飽きたので、コショウを足してみたらなかなかいけた。

テーブルの調味料類

ケチャップ味の焼きそばというと沖縄のケチャップ焼きそばが有名だが、町中華からのこういうアプローチがあるとはなあ。実際に訪問してみると、こういう珍品があるから油断できない。ネットでは得られない情報にこそ、価値がある時代なんだなとしみじみ思う。

温州軒食堂

店舗情報TEL: 0558-22-0647
住所: 静岡県下田市二丁目4-24
営業時間: 10:30~19:00
定休日: 不定休
主なメニューチキンいためそば 650円
ソース焼きそば 650円
カタヤキそば 750円