磯村屋

2023年5月5日

神奈川の焼きそばはバラエティに富んでいる。オーソドックスなソース焼きそばはもちろん、中華街の本場の味やアレンジを加えた店独自の品、果てはアメリカ経由でもたらされた珍品まで多種多様だ。ということで、まずは老舗のソース焼きそばから。


昭和25年創業の磯村屋は横浜市南区のこじんまりした商店街の一角に店を構える焼きそば屋だ。とんねるずのきたなシュランを始めマスコミに何度か紹介されているのでご存知の方も多かろう。

横浜市南区 磯村屋

訪れたのは昨年の11月、土曜日のお昼時。入るとすぐに名物のおばあちゃんがいた。

「いらっしゃい、お好きな席にどーぞー」
「はーい」

すぐ左手に鉄板やおでん台があり、右手から奥へと4人掛けのテーブルが5卓ばかり配置されている。店内のあらゆるものから歴史が感ぜられる。右手一番奥のテーブルに腰掛けるとおじちゃんが奥から現れた。

「温かいお茶と冷たい水、どちらにします?」
「お水で」

暑い日なので水にしておいた。お冷やを飲みつつ壁のメニューを確認。

磯村屋メニュー

事前に知ってはいたがそれにしても安い。焼きそばの小サイズが200円からってのはこれまででも最安値の部類だ。

「三色(にく・玉子・ポテト)の小(300円)を一つ」

そう注文して出来上がりを待つ。ちなみにこの店は具にポテトが選べる。

ポテト入り焼きそばは両毛地域独特のものだが、なぜこの店にそれがあるのかは不明だ。店主のおばあちゃんも生まれ育ったのは横浜らしく、そちら出身というわけでもない。そもそも昭和25年創業というと時代的にどちらが先かも微妙なところである。統制が解かれて入手しやすい食材を選んだら、どちらの地域もジャガイモに落ち着いたといったところだろうか。

三色(にく・玉子・ポテト)焼きそば 小 300円

さて出来上がった焼きそば。麺は中細でやや固め。具は肉、キャベツ、モヤシ、ポテト。玉子は軽く掻き混ぜて黄身を崩して焼いたものがトッピングされ、さらに青海苔と特製コショウが掛けられている。4種類をブレンドしてるというソースは割りとあっさりめだが、コショウが利いてなかなかスパイシーだ。懐かしい味かと想像していたがかなり刺激的な味わいである。全体的に具より麺が主体で、量はほどほど。中盛、大盛でも良かったかも知れない。

おでんは一品80円

ちょっと物足りなかったので、おでんを追加で食べた。おでんは真夏以外の限定販売で一品80円均一、セルフサービスで自己申告制だ。大根とゴボウ巻きをいただいたが、こちらはなんとも懐かしく優しい味わいだった。

もう80代というおばあちゃん。いつまでも元気で焼きそばを焼き続けて欲しい。

磯村屋

店舗情報TEL:045-261-0956
住所:神奈川県横浜市南区八幡町4
営業時間:11:30~18:00
定休日:水曜
主なメニュー焼きそば
やさい、ポテト玉子、にく、カレーポテト、カレー肉
 大300円 中250円 小200円
にくポテト、にく玉子、ポテト玉子
 大350円 中300円 小250円
三色(にく、玉子、ポテト)
 大400円 中350円 小300円