古沢商店

6月上旬、埼玉県北部の行田市・熊谷市・深谷市の3市をバイクでざっと食べ歩いてみた。ご存知の方も多いだろうが、利根川の対岸にある群馬県の太田市を含めて、この地域には昔から粉食文化が根付いている。うどんや焼きまんじゅう、焼きそばなどなど、小麦粉文化には事欠かない。

行田市 元祖フライ 古沢商店

その粉食文化のひとつ、行田フライ。元祖とされる古沢商店は大正14年(1925年)の創業だ。2006年に一度訪れたことがあるが、ご当地B級グルメの流行も経て行田フライも随分と有名になった。今回は10年ぶりの再訪である。

古沢商店 店内の様子

古沢商店は基本的には駄菓子屋さんだ。朝10時半過ぎでさすがに先客はなし。

「おはようございます、大丈夫ですかー?」
「いらっしゃいませ、どうぞどうぞ」

二代目店主の古沢芳子さんはもう80歳を超えているはずだが、相変わらずお元気そう。これまでマスコミの取材も多数あり、色紙や新聞の切抜きが何枚も壁に飾られていた。

古沢商店 メニュー

初回訪問時のことを少し思い出しつつ、奥のパイプ椅子に腰かけて、メニューを確認する。フライも焼きそばも300円から500円まで100円刻みという価格設定。フライは400円から青海苔と桜エビが入る。前回はソース味のフライだったから今回は醤油味にするか。

「ご注文はどうしましょう」
「400円のフライを醤油で、あと300円の焼きそばをください」
「はい、お待ちくださいね」

フライを焼く古沢さん(許可を得て撮影)

女将さんが厨房に入り、まずはフライから調理を始める。生地を溶いて鉄板に丸く広げ、焼き加減を見て裏返し。上から押さえつけ、両面焼いて醤油を塗って、折りたたんで外側にもう一度醤油を塗って出来上がり。

フライ 400円

「お待たせしました」と渡された皿には半月状のフライが乗っている。一緒に出されたフォークで一口大を切り分けてパクっ。ふんわりとした柔らかい口当たりだ。醤油風味の素朴な味わいが郷愁をそそる。

ふんわりした口当たりの懐かしい味わい

戦前にこの辺りは足袋工場が多く、そこで働いていた女工さんたちがおやつの時間にこのフライでお腹を膨らませたという。どんどん焼や一銭洋食にも通じる昭和のパンケーキ。軽い食べ応えで、ぺろりと平らげてしまった。

続いて焼きそばも出来上がった。麺は太くて短い蒸し麺。具は豚ひき肉、キャベツ、モヤシ。トッピングに青海苔、紅生姜。

焼きそば 300円

味付けはソースだが見た目よりあっさりした味わいだ。甘味と酸味の程よいバランス。豚ひき肉由来の旨味もあり。麺のもちっとした食感と相まってフライに負けない美味しさだ。こちらもフォークでいただいた。

シンプルながらも美味しい焼きそばです

店は一応不定休だが、もう何十年も一日も休まず営業しているそうだ。「休むと億劫になるからねー」という女将さん。息子さんが来年定年で後を継ぐと言ってるとか。「そうそう上手く焼けるものではないけどね」と言いながらも嬉しいだろうな。

ラムネもいただいて、お会計は合計で830円。ごちそうさまでした、いつまでもお元気で。なお行田のもう一つの名物、ゼリーフライは10年前に続いて今回も食べずじまい。ま、縁があればそのうち口にすることもあるだろう。また来なきゃだわ。

古沢商店