福ちゃん

2014年3月23日

最近、浅草近辺を歩くと東の空を見上げている人をよく見かける。来年5月に開業予定の東京スカイツリーがどうしても気になってしまうのだろう。明治に建てられ関東大震災で倒壊した地上12階の浅草凌雲閣は52m。戦後に再建された浅草寺五重塔は48m。浅草のランドマークは時代時代で移ろってきたが、さすがにスカイツリーの634mは桁違いだ。

さて、浅草の地に立ってスカイツリーから下の方へと目を転じてみると、時代に取り残されたかのような地下街が存在する。昭和28~30年頃()に作られたというその浅草地下商店街の一角にあるのが浅草焼きそば・福ちゃんだ。創業が昭和40年くらいで、焼きそばを売り始めて30年以上という店である。

浅草焼きそば 福ちゃん

福ちゃんを訪れたのは平日の14:30頃。丸椅子のカウンターと島テーブルで25席くらいあるだろうか。メニューは焼きそばの他にも軽食・つまみ類が充実している。噂通り、焼きそばがメインの一杯飲み屋の風情である。

先客は3人ほど。外はまだまだ明るい時間帯だが、二人は左隅の一角でテレビを見ながら一杯呑んでいた。もう一人はスーツ姿の若者で既に食事は終えたらしいが、お店の若い女の子と親しげに話をしていた。それともう少し年上の女性が奥にもう一人。

中央付近の席に腰掛けて生ビール400円と鉄板焼きそば(並)350円を注文。「あ、ギネスもあったのか」と気付いたが、すぐ生ビールが出されたので仕方ない。焼きそばは下味をつけて作り置いたものを炒め直して持ってきた。

鉄板焼きそば 並 350円

ステンレス製の銀皿が郷愁をそそる。麺はやや平たい蒸し麺で色は少し黒っぽい。具はキャベツと……この黒いのは揚げ玉か。僅かだが小さな干しエビも入ってる。青海苔と紅生姜はデフォルトでトッピングされ、卓上にはマヨネーズや七味やコショウが置かれている。

ビールをグビリとやりながら焼きそばをつまむ。麺は腰があって噛み応えがあるが、酒肴として考えると味は少しあっさり目か。この店はカレーをトッピングした焼きそばが名物なのだが、そっちの方が酒に合う気がする。さらに贅沢を言えば、もう少し紅生姜の量があると嬉しい。次回、ダメ元でリクエストしてみたいと思う。

※浅草地下商店街の成立年代についても調べたが諸説あって定かではない。

浅草 福ちゃん

店舗情報TEL:03-3844-5224
住所:東京都台東区浅草1-1-12 浅草地下街
営業時間:10:00~20:00
定休日:月曜日
主なメニュー鉄板焼そば 350円 大盛400円
カレーソース焼そば 450円
玉子入り焼そば 450円
ラーメン 450円
カレーライス 450円 大盛500円

生ビール 400円
おでん5点盛 350円