お好み焼・焼そば 風月 本店

北海道レポ、3週目は札幌ですっ! 札幌が誇る2つの焼きそば専門店、大通地下のやきそば屋と中央区役所近くの焼そばランランを再訪した上で、さらに新旧、個性的なお店を巡ってみました!


8月8日に私が出演したSTV「どさんこワイド」の焼きそば特集では地元のお好み焼チェーン店、風月の二神社長(現会長)が直々に焼きそばを調理してくださり、大変お世話になった。こちらの写真で私と同じような髪型(頭型?)の福々しい方が二神会長。1943年(昭和18年)生まれで御年73才。会長の似顔絵が同チェーンのシンボルでもあり、公式サイトにもドーンと登場する。

どさんこワイド、スタジオにて

風月の創業は1967年(昭和42年)で、今年がちょうど50年の節目。札幌を中心に苫小牧や旭川などにも出店している、文字通り北海道を代表するお好み焼きチェーンだ。その風月の本店をSTV出演の翌日、雨の夜に訪れてみた。

お好み焼・焼そば 風月 本店

札幌市電の静修学園前停車場から徒歩数分。ドアを開けた店内には4人掛けの鉄板テーブルが6卓置かれ、ソースの香りが立ち込めている。入店時は6割ほどの入りだったが、そのうち満席になった。地元での人気ぶりがうかがえる。

風月 本店 メニュー

ホール担当の女性に促され、空いていたテーブルに着席。メニューはもちろんコナモン中心だ。メインはお好み焼きの店なのだが、焼きそばも負けず劣らず人気という。ざっと眺めて、いか・ぶた・えび野菜焼きそば(940円)と生ビール(440円)を注文した。

生ビール 440円

ビールはサッポロの黒ラベル。この店を訪問するつい2時間ほど前にサッポロビール博物館へ行ったばかりで、普段以上に美味しく感じる。黒ラベル・クラシック・赤星……やはり北海道はサッポロビールだよなあ。

いか・ぶた・えび野菜焼きそば 940円

焼きそばはお店の方で焼いて、チリトリ(と呼ばれる道具)で持ってきてくれた。予想通り、ボリューミー。お好み焼きも食べたかったが注文しなくて正解だった。麺は中太の茹で麺。玉子麺だろうか、モチモチした食感で風味も良い。北海道のラーメンの麺は中細の縮れ麺が一般的だが、こちらは中太ストレート。蒸し麺の食味とも全く違う。

モチモチ食感の中太ストレート麺が美味しい

具は豚肉、イカ、エビ、ざく切りキャベツ。揚げ玉も使われていた。花ガツオと青海苔、微塵切りの紅生姜は卓上からセルフでトッピング。味付けは関西風に甘めのソース味。ただ、甘口は甘口なのだが、そこまでくどくなく、以外にあっさりしている。ボリュームがあるけど食べ飽きない。北海道だけあって豚肉も海鮮もたっぷり入っていて、確かに美味しい焼きそばだ。人気なのも納得である。

豚肉も海鮮もたっぷり

ところで番組に関する事前のやり取りで、「北海道はあんかけが主流で、昔ながらのソース焼きそばというのは函館のまるきんなどごくわずか」という話をしたら、「なぜ、北海道にはソース味の焼きそばやお好み焼きが根付いていないのか?」という質問をされた。ふーむ、興味深いテーマだ。

試しにソースの消費量を確認したら、北海道だけでなく東北や沖縄も低順位だった。沖縄はアメリカ統治時代の影響だろうが、なぜ北海道と東北が? その理由を自分なりに考えてみて、「ソースやコナモンの需要がなかったから」という結論に落ち着いた。

全国にソースおよびコナモンが食文化として大きく広まったのは、戦後の食糧難の時期だ。味噌や醤油は政府に統制されていて手に入らず、その代わりとしてソースが広まった。しかし東北や北海道では、味噌も醤油も自前で作る家庭が多く、ソースを使う必然性が無かった。かつては東北・北海道にもチキンソースやワニソースという地ソースがあったようだが、姿を消してしまった。

また、コナモン文化もGHQがアメリカから持ってきた小麦粉を使って、子供たちの空腹を満たすというのが主な広まり方だった。しかし、北海道ではトウモロコシやジャガイモなど、わざわざお好み焼きや焼きそばを作らなくても、子供たちに食べさせる食糧には事欠かなかった。そんなわけで北海道にはソースやコナモンが広まらなかったのではないだろうか。風月の創業当時も、ソースやお好み焼き自体に馴染みがない土地だけに、さぞご苦労も多かったことだろう。

からしマヨも合います

閑話休題。お店も混んできたので、急ぎ目にハフハフと食べ進める。からしマヨによる味変も美味しい。基本的に私はマヨネーズをあまり掛けないのだが、関西風の味付けには合うんだよね。ビールも飲み終えてお会計は1380円。会計の際、お店の方とちょっと会話。

「昨日、どさんこワイドに会長さんでてらっしゃいましたね」
「そうなんですよ、私もびっくりしちゃって」
「実は私、一緒に出ていたものです」
「え……あらー! まー、ほんとだ!」
「会長さんに美味しかったですと、よろしくお伝えください(笑)」
「あらあら、わざわざありがとうございます」

「みんなでわいわい鉄板を囲む、そんな店を……」という二神会長の想いがまさに実現された、和気あいあいとした雰囲気の店だった。こういう地域密着型のチェーン店、見逃されがちだけど地域にとっては大きな存在なので、今後もできるだけ取り上げていきたい。あー、お好み焼きも美味しそうだったなあ。

風月 本店

店舗情報TEL: 011-521-4218
住所: 北海道札幌市中央区南十七条西6
営業時間: 11:00~21:30
定休日: 月曜・火曜
ホームページ
主なメニュー焼きそば 620円~
お好み焼 660円~