エル・ボスケ

横浜市鶴見にはリトル沖縄、あるいは沖縄ストリートと呼ばれる一帯がある。歴史的な経緯もあってこのエリアは沖縄出身者の住民の割合が高く、商店街にも沖縄料理店が点在している。と同時に沖縄出身の南米移民の2世3世も多いらしい。

鶴見 ボリビア料理・沖縄料理 エルボスケ

今回紹介するエルボスケはその鶴見にある、沖縄料理と南米ボリビア料理を提供する店だ。オーナーは沖縄生まれでボリビア育ちの女性。屋号の「エル・ボスケ(El Bosque)」はスペイン語で「森」を意味するらしい。

エルボスケ 公式ページのキャプチャ

こちらの店のぐるなび公式ページを眺めたところ、「やきそば(山羊肉入り)」というメニューを見つけた。沖縄の焼きそばでも山羊肉入りとは珍しい。どんな品かを確かめに行ってみた。

エルボスケ 店内の様子

5月上旬の日曜に訪問。GWの最終日のかなり暑い日だった。エルボスケは潮風大通りと仲通りの交差点角にある。店内はかなり広く、フロアにはテーブルが並べられ、カウンター席や小上がりもあった。先客は1人だけだったが、あとから近所の家族連れもやってきた。

お通しはスクガラス豆腐と島らっきょう

カウンターに着席して、とりあえず生ビール(450円)を注文。お通しに出てきたのはスクガラス豆腐と島らっきょう。あとで逆算したら、値段はたぶん400円。いかにも沖縄というお通しで、夏のようなこの日にピッタリだ。

肴として注文したのは、ボリビア料理のアヒ・デ・パンサ(Aji de Panza/牛ハチノスの煮込み/950円)。黄色いスープの中にはハチノスだけでなくハツも入っていた。ピリ辛な味付けで酒に合う。五反田のアルコイリスで食べたペルー料理のカウカウ(Cau cau)にとても良く似ている。同じ南米のスペイン語圏の国なのに、料理名が変わるのが面白い。

アヒ・デ・パンサ(牛ハチノスの煮込み) 950円

添えられたアヒ・アマリージョ(Aji Amarillo)=イエロー・ペッパー・ペーストを足して、さらに辛くするも良し。飲み物もボリビアのカクテル、チューフライ(Chufly/600円)というやつを飲んでみた。癖が無くて美味しいカクテルだが、これならレモンハイでもいいかな……

エルボスケ 沖縄そば メニュー

さて、目当てのやきそばだが、メニューを探してもどこにも載っていない。そのうちに、沖縄そばのページにある「やぎそば(山羊肉入り)」という品に眼が留まった。スマホで確認すると価格も同じ。なるほど、「や『ぎ』そば」と「や『き』そば」。「ぎ」と「き」の入力ミスだったのか。うーん、ショック。

エルボスケ ボリビア料理メニューの一部

代わりに注目したのが、ソバ・サルタド・コン・マリスコ(Soba saltado con Marisco/1180円)というメニュー。「ソバ」は沖縄そばの麺、「サルタド(saltado)」はスペイン語で「炒める」、「コン・マリスコ」は「シーフード入り」を意味し、沖縄そばを使った海鮮入りの焼きそばらしい。本来は予約のみの品だが、ダメ元で訊いてみたら作ってくれることになった。ラッキー。ついでにシークァーサーサワー(500円)も注文。

ソバ・サルタド・コン・マリスコ 1180円

しばらくしてホタテ貝の貝殻を象った皿が運ばれてきた。麺は沖縄そば用の縮れた平打ち麺。具はイカ、アサリ、小エビ、エビ、ムール貝、ニンニクの芽、キャベツ、トマト。面白いことに香菜(パクチー)も入っていた。味付けはガーリックと醤油であっさり風味。魚介の旨味が活かされている。

沖縄とボリビアの融合です

以前、ペルー料理店のタヤリン・サルタード(Tallarin Saltado)を紹介したが、隣国ボリビアでもこういうスタイルで麺を炒めた焼きそば系の料理は日常的に食べられているようだ。それがさらに沖縄そばと結びついたなんて、ここ鶴見ならではの珍品だろう。山羊肉入りのやきそばは無かったが、思いのほかの掘り出し物に大満足できた。

会計は4400円ちょっと。近所のブラジル料理店も面白そうだったし、沖縄料理店も美味しそうな店をちらほら見かけたし。平日の夜にでもふらっと足を延ばして、また訪れてみたいなあ。

エル・ボスケ

店舗情報TEL: 045-504-4717
住所: 神奈川県横浜市鶴見区仲通1-55-5
営業時間: 17:00~23:00(土は24時、日は22時まで)
定休日: 月曜・第4日曜
ホームページ
主なメニューソバ・サルタド・マリスコ 1180円(予約のみ)

アヒ・デ・パンサ 950円