Crustacean

アメリカ西海岸の焼きそば特集、いよいよこれでラストですっ!


太平洋とサンフランシスコ湾を隔てるゴールデン・ゲート・ブリッジ。旅の最中に自転車を借りてこの橋も渡ってみた。この橋が架けられたのは1937年というから、和暦なら昭和12年のこと。橋を渡った先からフェリーで戻るルートを辿ると、サンフランシスコが海に面した港町であることが実感できる。

サンフランシスコ ゴールデンゲートブリッジ

海に囲まれている街なので、もちろん魚介類、海の幸も豊富だ。中でもアメリカイチョウガニ、通称・ダンジネスクラブ(Dungeness Crab)はこの街を象徴する味として知られている。海岸沿いの Fisherman’s Wharf にはカニの看板が掲げられ、提供する店がずらっと軒を連ねている。

Crustacean, Nob Hill, SF

今回、アメリカ西海岸の焼きそば特集の最後に紹介する Crastacean は、そのダンジネスクラブで有名な老舗レストランだ。屋号の Crustacean は「甲殻類」の意で、ルーツはベトナム料理だが、EURO ASIAN CUISINE を標榜している。ローストクラブとガーリック・ヌードルが名物で、日本人の観光客やビジネスマンは必ず寄るとまで言われている人気店なのだ。

Crustacean の入り口を示すカニマーク

訪問したのは6/21(水)、18時半過ぎ。今回の旅の最後の晩餐だ。Crustacean は Nob Hill というエリアの外れにある。ガイドブック『地球の歩き方』によると店の周辺は治安があまり良くないらしいが、なぜかドレスコードがある高級店とのこと。そのためにわざわざジャケットとスラックスと革靴を日本から持ってきた。よりカジュアルな Thanh Long という系列店もあるらしいが、せっかくなので本家本元へ行かないとね。

Crustacean 店内の様子

入り口で一人と告げると手慣れた感じで窓際のテーブルへ案内され、日本語表記のあるメニューを渡された。お一人様の日本人客は多いらしく、ちょうど隣席にも眼鏡を掛けた日本人ぽい青年がいて、一人で黙々とカニをほじっていた。後から来た現地の人っぽい客の中にはTシャツとジーンズ姿もチラホラ見かけた。もしかしたら普段着でよかったのかな。余分な荷物を減らせたかも……。

Crustacean メニューの一部

注文する品は決めてある。「カニのロースト(The Roast Crab)」と「アン特製ガーリックヌードル(An’s Garlic Noodles / $10.95-)」。あとは地元カリフォルニア産の白ワインを。ロンドンで食べたロブスター焼きそばと同じく、カニは時価だ。幾らになるのかは、会計時まで分からない。ドキドキ。

Duckhorn Sauvignon Blanc, $30

ワインはすぐに運ばれてきた。ナパバレーの Duckhorn Vineyards という醸造所で作られたソーヴィニヨン・ブラン。ハーフボトルで$30。フルーティな香りにすっきりした味わい。無難に美味しい。

The Roast Crab w/ Garlic Noodles

さらに10分ほどでローストクラブとガーリック・ヌードルが運ばれてきた。巨大なダンジネスクラブに、たっぷりのスパイスとガーリックバターソースを塗り、オーブンでじっくり焼き上げてある。真っ赤な甲羅の色が食欲をそそる。

甲殻類、万歳!

せっかくなので店員さんにお願いして記念写真をパシャッとな。皿がずっしりと重い。カニの巨大さが伝わるだろうか。甲殻類、万歳!

An's Garlic Noodles $10.95-

名物のガーリックヌードルは「アン特製、ニンニク風味のエッグヌードル」と日本語で紹介されている。前回、 Perilla という店のガーリック・ヌードルを紹介したが、恐らくこちらの店がオリジナルだろう。ニンニク風味の具無し焼きそば。ベトナム語だと「Mì Xào Tỏi」と呼ぶはずだが、本国には無いアメリカ式ベトナム料理だ。他の店も含めて調べてみると、様々な料理と組み合わされていて、とても汎用性が高い焼きそばなのだ。

とりあえず甲羅を剥がして……

カニを食べるために渡された武器は小さなフォークと、てこの原理で殻を砕くスティックのみ。カニナイフやキッチンバサミを持参すれば良かった。とりあえず甲羅を剥がし、まず裏側の身肉や味噌を平らげる。うーん、美味しい。柔らかいカニの身に、ブラックペッパーとガーリックを利かせたバターソースが凄くよくなじんでいる。

カニ美味いっす

続いて足も一本捥いで殻を剥く。こちらも美味い。手が油で汚れるので途中の写真が撮れないが仕方ない。2・3本食べてから、あとはひたすら剥く作業に入る。バキバキ割って、ホジホジホジホジ。ガーリックヌードルを主役と捉え、そちらにカニ肉を盛り付けていった。黙々と剥き、時折つまみ食いして、手を拭いてワインを飲んだり。

カニと格闘すること1時間強。ようやくすべての肉をこそぎ終えた。店員さんが熱々のおしぼりを差出し、「こちらのヌードルを温め直しましょうか?」と訊いてきた。ありがたやとお願いする。ついでに団体客が来るそうで席の移動をお願いされる。あー、ここまで時間かけるとは予想されていなかったのかな。快諾してテーブル移動。窓際の明るい席から、落ち着いた雰囲気の席に代わった。

カニ焼きそば、ドーン!

やがてカニの身が山盛りに盛り付けられた熱々のガーリックヌードルが運ばれてきた。麺は太目でモチモチ。Perilla と同じく、ニンニクの風味だけではなくチーズのようなコクも感じる。本来は具無しなのだが、カニの身どっさり。1時間の苦労をじっくり味わう。いやー、贅沢なカニ焼きそばだ。

美味しいけど食べ飽きてしまうという悲しさ……

しかし麺の量が結構ある。おおよそだが400gくらいか。具は大量のカニの身だけなので、正直、途中で食べ飽きてしまった。ま、本来は複数人でシェアするものだからなあ。ロンドンのロブスター焼きそばもそうだったけど、誰かしら連れを確保してくるべきだったかも知れない。美味しいものは適量が良いんだな。そんなことを考えつつ完食。すっかり満腹だ。カニはしばらくいらないカニ。

日本円換算で約7700円

そしてドキドキのお会計タイム! カニは$55.95!! $35くらいが相場とされているけど、思ったよりずっと高いなー。ガーリックヌードルは$11.25。あれ、メニューより高くない? 合計で$67.20。日本円で約7,500円。ロンドンで食べたロブスター焼きそばの£38.00≒6,080円を凌駕する値段だが、大阪で食べたフカヒレ鉄板焼きそばの8,400円には今一歩及ばず! うーん、ハイレベルな戦いになってきた。財布がツライ。

ワインの代金に税金、”San Francisco Employer Mandates 4%”などが加算され、チップ抜きで110ドル。チップを加えて130ドルを支払った。高い高い晩餐でカードの残高がみるみる減っていくが、まあ旅の最後だから良いだろう。日本でもちゃんとした店で越前ガニを食べたら……と考えると納得できる。納得したい。

焼きそばというとB級グルメというイメージが付いて回るが、世界を眺めてみるとそうでも無いことがお分かり頂けただろうか。ほとんどはメインディッシュの値段なのだが、それを受け止めるポテンシャルが焼きそばにはあるのだ。エッヘン。

ちなみにガーリック・ヌードル(Garlic Noodles)は、”Vietnamese Garlic Noodles Recipe”で検索すると、具体的なレシピがたくさんヒットする。好奇心旺盛な方はチャレンジしてみてはいかがカニ?


ということでアメリカ西海岸の焼きそば特集は以上となります。大枚を叩いて訪れた旅・店ばかりで、写真点数は多く、文章も長くなってしまいましたけど、ご寛恕ください。今度はアメリカ東海岸か、あるいはブラジルへ行ってみたいですねー。お金貯めないとなー。

次回からは普段通り、日本国内の焼きそばご紹介に戻りまーす。

店舗情報住所: 1475 Polk St, Ste 6, San Francisco, CA 94109
TEL: +1 (415) 776-2722
営業時間: 17:00~21:00(金・土は21:45まで)
定休日: 無休
ホームページ
主なメニューThe Roast Crab (Seasonal Price)
An's Garlic Noodles $10.95-