ベール

2014年3月23日

4月頭から続けてきましたソース後掛け&塩焼きそば特集。西日本のお店を3軒ほどご紹介してひとまず今週で締めたいと思います。


新宮市 仲之町商店街

新宮市のアーケード・仲之町商店街にベールという食堂がある。ひなびた外観に違わぬ老舗で創業110年以上というからたいしたものだ。どんな焼きそばを出すのか気になって行ってみた。

新宮市 大衆食堂 ベール

訪れたのは昨年の5月上旬、平日の午前11時ごろ。地方都市の商店街の例に漏れずシャッターの降りた店も多いアーケードを探すと、風格さえ漂う店構えが現れた。店頭の食品サンプルや「大衆食堂」の看板まで申し分ない。

食品サンプルも趣がある

「いらっしゃいませ」

店内へ入ると人の良さそうなおばちゃんが迎えてくれた。客席はテーブルが5卓に小上がりが2卓ほど。おばちゃんがお冷やを汲みに行ってる間にメニューを確認。

ベール メニュー

メニューには洋食・丼・定食・麺類・中華が記載されている。ヤキメシは洋食でわかめそばは中華か。実際に出される品を見るまでもなく「うんうん、この分類で間違いあるまい」と頷きたくなる。

焼きそば(500円)を注文するとおばちゃんは厨房に引っ込み、鼻唄混じりに調理を始めた。客席からは見えないが、音から察するに麺を一度水で締めようだ。あとはフライパンで炒める音が聞こえてきた。

「はいどうぞ、焼きそばです」

おー。見た目からしてちょっと変わってるぞ。胡麻油で炒めてあるのだろう、よい香りが食欲を刺激する。

焼きそば 500円

麺は中細の中華麺。水で〆たはずなのに柔らかくてコシがない。具は人参・キャベツ・ピーマン・豚肉に細く切った蒲鉾。野菜もよく火が通ってて柔らか目の仕上がりだ。塩と化学調味料の味付けに胡麻油の風味も加わり、マイルドだけどこってりした不思議な味わいである。そのままでも美味しいが、ソースや胡椒を掛けても旨い。

食べてるうちに「どこかの店に似てるなあ」と思ったら、北海道・木古内の急行食堂がちょうどこんな味だった気がする。あちらはラードでこちらは胡麻油だが、化学調味料を効かせたしっとりした焼きそばはという点は似ていると思う。

ベール 店内

「ごちそうさま、美味しかったです」
「おおきにありがとう」

急行食堂との違いがもうひとつ。こちらの接客の方が明らかに丁寧である。熊野古道だけじゃなく、こういう店も世界遺産になればいいのになあ。

ベール

店舗情報TEL:0735-22-3010
住所:和歌山県新宮市仲之町2-2-3
営業時間:10:30~18:00
定休日:不定休
ホームページ
主なメニュー焼きそば 500円

きつねうどん 400円 中華そば 450円
トンカツ 850円 ポークチャップ 850円
オムライス 600円 ヤキメシ 550円
カツ丼 600円 焼肉定食 1400円